ナサホームの20年(13)

4.    反省と感謝

国吉さんのCD以外にもう1つ私に大きな影響を与えたCDがあります。不動産会社の社長からもらったCDです。この社長さんご自身、バブル崩壊の影響で破産状態となり自殺を考えたこともあった方でそんな折にこのCDと出会い影響を受けたとおっしゃっています。それは八起会という倒産者の会の会長、野口誠一さんが公演されているCDでご自身の2度に亘る会社倒産の体験談が主な内容です。体験から来る実話なので迫力・説得力があり、もう宗教的な空気さえ感じます。この中で野口さんが特に強調させているのが反省と感謝。この反省と感謝の気持ちを忘れなければ会社が倒産することは無いと言い切っておられます。
人は勢いが有るときはついつい有頂天になってしまいがちです。自分には能力がある才能があると勘違いしてしまうのです。そして傲慢になる。傲慢になった人間からは反省と感謝など生まれてくる筈もありません。今日一日、自分が行った行動や言動に行き過ぎたところはなかったか?また言い足りなかったことはなかったか?常に自問自答して反省することが必要です。そしてその結果として従業員、お客様、協力業者、自分に、会社に関わった全ての人に感謝する気持ちを忘れてはなりません。このCDは自分への戒めの意味も込めてもう軽く100回以上は聞いています。

5.    最近思うこと(2010年7月当時)

最近思うことに『会社は何のためにあるか?』と言うのがあります。売上も今年(2010年12月期)24億円くらいにはなりますが、このことが常に頭をよぎります。
今後のこの会社をどの方向へ進めて行くかはすごく重大な判断です。会社は

利益を出さなければならない?
それは会社が継続する為に必要で利益を出し納税することが社会貢献でもある。会社が継続しない、即ち倒産するとスタッフや協力業者は仕事を失い、経済的損失を負う。また工事中のお客様は勿論の事、過去に工事をしてくださったお客様にもメンテが出来なくなり多大な迷惑をかける事になる。

では利益を出しながらどんな会社であればいい?
スタッフの経済的安定は勿論の事であるがそれ以外にもスタッフ各々が自分の能力を発揮できる場であってほしい。各々がやりたい仕事、得意な仕事に取り組みそれぞれの能力を開花させ、そして互いに認め合い賞賛しあい輝きあう企業風土を築き上げたい。
こんな企業風土が築けたら、それに関わるお客様も協力業者もこの上なく幸せになるであろう。

これからの私の仕事の中で一番大きいものは、この企業風土をつくることだと思います。

6.テレビCM

あるとき、チラシの反響でお客を紹介したいから社長に来てもらってくれという依頼がありました。会社の女性社長のようでした。どんな話かと思い営業の中村君と一緒に福島区の事務所へ行きました。
第一印象、「すっげえ、おばさん」
色が黒く、大きな体でスタッフに怒鳴り散らしながらベルサイユ宮殿のような調度品の社長室で待っておられました。部屋にはタイガー・ウッズと2ショットの写真などがところ狭しと飾ってあります。
工事の内容はご自身所有マンションのエントランス工事とそこの1階に入るテナント(学習塾)の工事でした。
ただその時、ご自身の会社がCM関係の仕事をされているということで過去に製作されたCMをいくつか見せられました。いずれも普段よく見るCMでした。その後、いろいろあったのですが要はお客さんを紹介するからテレビCMをナサホームでやってみては?ということです。とにかくやり手の女性特有の強引さのあるトークです。どちらかと言えば、嫌いではないですが苦手なタイプです。なかば押し切られるような形でテレビCMをすることになりました。
先ず、CMに出てもらう役者さんの選定ですが勝手にやってくれるのかと思いきやオーディションをするとのことです。オーディション会場へ行くといろいろなタレント事務所から沢山の女の子たちが来ています。数人ずつ面接のようなことをやるのですが、毎回「この方がCMをする会社の社長さんです。」と女社長から紹介され、その度にAKBみたいな女の子たちが黄色い声で「よろしくお願いします。」と返ってきます。不覚にもなんかだんだんいい気持になってきます。そうさせるのがその女社長の作戦なのでしょうが…。
そんなこんなで役者が決まり弊社逆瀬川店で撮影しコマーシャルがテレビで流れるようになりました。土曜日の午前中に読売テレビで2回流れます。それで毎月、数百万かかります。
このCMの効果として同窓会やら家の近所の人から「CM見てるよ、すごいね。」と言われたりして何となくこれまた不覚にも気持ちよくなってきます。また女社長の紹介で郷ひろみとゴルフが出来たり、元宝塚の女役の美女と寿司を食べに行けたりと、別世界の気持ちよさを味わわせてもらいました。ただ、販促には直接つながらず、そういう人たちとの付き合いで自分を勘違いするようになっては本末転倒です。危険な香りを感じます。約1年でCMは打ち切りその女社長との付き合いもやめました。

ナサホームの20年(12)

第3部

1. 組織づくりと仕組みづくり

創業10年を超えてからの3年間はそれまでの10年間と明らかに違っています。売上の10億円越えも達成しましたし新卒採用も始めました。社員数も急激に増え、ある意味全く違う会社になってきたといえます。一言で言えば「組織づくりの3年」と言えると思います。
ただ良かった点として人が増えいろいろな問題が起こってからその対処としていろいろ手を打ったのではなく意識せずに自然と事前準備が出来てきたことでしょう。そのため多くの異業種も含めた他社が『10億円の壁』といって10億円付近で足踏みすることが多い中で全くその壁を意識することなくブレークスルーできました。

2. 理念実践型経営の真髄

自然と組織づくりの事前準備が出来た理由に、あるCDとの出会いがあったことは大きいと思います。
SMBCコンサルティングから毎月送られてくる日経ベンチャー経営者クラブのCDでブリングアップ社長の国吉拡氏の「理念実践型経営の真髄」と言う講演が収められていました。このCDを聞き深くこの考え方に傾倒して行き、それがその後、大きくなっていく組織を束ねていける結果につながったと言えます。
そのCD自体は毎日の通勤の車の中で50回以上は聞いたでしょう。また国吉拡氏の講演も数回聴きに行きました。
内容はお金や物、待遇でスタッフを束ねるのではなく考え方、理念で人を束ねると言うものです。すなわち考え方や価値観を共有し全社員が基本的に同じ方向で考え行動することが必要であると言う考え方です。当時まだ組織運営で困っていたと言う状態ではなかったのですが、この先必ずそれが問題になることは判っていましたので本当に参考になりました。
もちろん自分ひとりで考えるだけではなく弊社の理念である「ナサホームに関わった全ての人を幸せにする」という考えを社員に定着させなければなりません。これに特別な何かを実施したわけではありませんが会議の場や事ある毎に価値観を共有できるように話したつもりです。これも時間は掛かりましたしまだその道半ばでありますが徐々に徐々に浸透してきていると思います。この考え方への気づきが無ければ今の弊社は無かったと思えるほど重要なことでした。

3.淘汰の時代

平成18年の終わり頃からそれまで弊社より先行していた同業者の倒産や大幅な規模縮小が相次ぎました。
先ず神戸の(仮称)ループ。早い段階からチラシ反響型営業で業績を伸ばし(仮称)大滝社長自身も(仮称)オールサポートというコンサルティング会社を立ち上げ中小リフォーム業者を元気にしたいと多くの講演をこなしておられました。私自身も何回か出席して多くの出会いや勉強の場を提供していただきました。しかし他業者を元気にさせるどころかその足元で自社が崩壊してしまいました。これと同時期に大阪の(仮称)システムコンストラクションも事実上の廃業となり、また同じ大阪の(仮称)ダイキョウホームも店舗の閉鎖、規模縮小に追い込まれました。
去年はなんと言っても横浜の(仮称)リモアの倒産が衝撃的でした。リモアの(仮称)西崎さんとは船井総研の坂本氏を通じて知り合い7~8年前からの友人で弊社より先行していたのでよく仕事を教えていただいていました。しかし西崎さんも途中からリフォーム業よりオーダーメイドキッチンのメーカーとしての運営に注力されていました。
これらの企業の倒産や規模縮小の原因には共通する部分があって経営者自身がリフォーム業より別の業態に力を入れだしたことが上げられます。
大滝さんも西崎さんも業界では目立った存在で同業者からある意味あこがれられ目標とされる存在でした。またお二人ともお話が上手で多くのセミナーを主宰されていました。このことも地味な本業が疎かになった理由のひとつであると思います。
何れにせよ友人である西崎さんがこの業界から退場されたことは寂しい限りです。