ナサホームの20年(14)

7.   梅田出店

 2010年の春ごろです。TOTOの表彰式がありました。その際にTOTOの大阪支社長が「来春、梅田の阪急百貨店の上、20階にショールームを移転します。」と発表されました。あんな梅田のど真ん中の高層階でショールームなんて成り立つのかなというのが初めの感想でしたが、たまたま阪急に知り合いがいたので興味本位に「あのビル坪単価いくらぐらいするの」と聞いてみました。すると翌日にはそのビルのリーシング担当者から電話があり合うことになりました。話を聞けば思っていたより高くはない。しかし、われわれ中小企業には大きな投資であることは間違いありません。
ただ、遡ること5年くらい前に当時、北ヤードと呼ばれていたグランフロント大阪のナレッジキャピタルゾーンに出店することを一つの夢、目標にしていました。北ヤードの開発も遅れていたのでここでブランド力のある阪急百貨店と同じビルに入るのも悪くはないかもしれません。そして阪急側から2度目の面談の依頼がありお会いしました。
その担当者はおもむろに、しかも高飛車に「社内でリーシング会議がございまして今回のナサホームさんからのお申し出をお受けすることに決定しました。
???条件を聞きたかっただけで正式に出店依頼をしたつもりもないし、出店するにしてもうちからの申し出をお受けすることになったって言われても意味がわかりません。怪訝な顔をしているとその担当者は、「いや、入りたい会社はいくらでもあるのですよ。業種、業態、経営状況によってほとんどこちらからお断りしているのです。要するにもっと喜べと言いたげでした。阪急のプライドと言うのでしょうか、私にはよくわかりませんでした。細かい条件提示もありましたが、ほとんど値引き交渉にも応じず、まるで大名商売のようでした。さんざん悩んだ挙句、出店の話を断りました。やはり我々中小企業には過剰投資と考えました。
そしてやがて「梅田阪急ビルオフィスタワー」は開業し遠くを車で走っていても上層階に夜、電気がついているのが見えます。やはり私自身内心では未練があったのでしょう。もしかしたら自分の名誉欲の為に出店を考えているのじゃないだろうかと自問自答もしました。再び出店することのメリット・デメリット、出店を見送ることによるメリット・デメリットを洗い出し熟考を重ねていました。
そんな折、また阪急の担当者からエレベーターホールに面したいい場所をお貸しできますとの連絡を受けました。尚且つ条件的にも多少譲歩してくれていました。もうそれですんなり出店することになりました。このビルへ出店したことはブランディング効果を期待した部分が一番大きいです。人材採用にも集客にもその効果を大きく発揮してくれています。ただ、ビル1階のテナント名の銘板を見るとほとんど大企業、上場企業ばかりで初めに阪急の担当者が言った意味が今になって少しわかる気がします。