天井の断熱リフォームの施工方法と断熱材の種類
まずは施工方法と、使われる断熱材の種類です。
施工方法は大きくわけて2種類
天井の断熱リフォームは大きく分けて2種類の施工方法があります。
ひとつは、天井裏に入って断熱材を直接入れる方法です。もうひとつは天井を剥がして断熱材を入れる方法です。天井裏の広さや強度、リフォームの規模などによって、どちらかを選びます。
もし天井裏に十分な広さや強度があり、断熱材を入れるだけであれば、天井を剥がさずに施工できるでしょう。普段どおりに生活しながら、リフォームできます。
一方、室内全体の大がかりなリフォームの場合や、天井裏に人が入れるほどの余裕も強度もない場合は、天井を剥がさなければいけません。
天井裏で作業できる場合は、さらに2種類の工法があります。ひとつはパネル状や袋に入った断熱材を隙間なく敷き込む方法、もうひとつは綿状の断熱材を吹き込む方法(充填工法)です。
前者は安価に施工できるのがメリットですが、天井裏は配線やダクト、骨組みなどの障害物が多いため、隙間なく敷き込むには技術を必要とします。
後者は簡単に隙間なく断熱材を吹き込めるのがメリットです。天井裏が狭かったり、強度に不安があったりしても十分に施工できます。16cm以上の厚さになるよう吹き込めば、断熱効果を発揮できますが、実際は断熱材自体の重みで沈む分も考慮して20 cmから30cmほど吹き込むのが一般的です。価格は、敷き込む方法よりも高くなります。
なお、どちらの方法でも必ず事前に「気流止め」という作業を行わなければいけません。天井には、随所に壁の内部とつながっている隙間があり、その中を常に気流が移動している状態です。
そのままにすると天井裏の熱や冷気がそのまま壁に伝わり、断熱効果が下がるだけでなく、結露の原因にもなります。壁の内部で結露が発生すると、家が早く劣化するかもしれません。
これを防ぐために隙間を袋入りの断熱材でふさぎ、気流止めを行います。当然、作業のために人が移動するわけですから、天井にある程度の強度が必要です。また、吹き込みを行う場合も同様です。
断熱材の種類
断熱に使われる素材は、さまざまな種類があり、予算や施工方法に応じて適したものが使われます。どのような断熱材があるのか見てみましょう。
板状の断熱材
板状の断熱材は、主にポリスチレンというプラスチック系の素材を発泡させたものが使われています。例えば、ビーズ状のポリスチレンを金型に入れて発泡した「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)」や、押し出して板状に成形した「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」です。
どちらも断熱したい箇所の形状に合わせてカットし、敷き詰めます。水に強い反面、熱には弱いのが欠点です。
ほかにも、ポリウレタン樹脂を発泡させた「硬質ウレタンフォーム」や、フェノール樹脂を発泡させた「フェノールフォーム」などがあります。
袋入りの断熱材
袋入りの断熱材に入っているのは、繊維状の素材です。例えば「グラスウール」や「ロックウール」が入っています。グラスウールはガラス、ロックウールは玄武岩や鉱石の屑(スラグ)を繊維状に加工したものです。
断熱はもちろん、燃えにくく虫も付きにくく、防音も期待できます。低価格で施工できるのも強みです。一方で、湿気に弱いという欠点があるので、通気性を確保するなど防湿対策が必要になるでしょう。
ほかにも繊維状の素材には、羊毛を使った「ウールブレス」があります。先のふたつと違って調湿機能に優れていますが、価格が割高なのがデメリットです。
綿状の断熱材
綿状の断熱材は、主に吹き込む方法で使われます。その代表が「セルロースファイバー」です。紙や木片などを綿状に加工しています。
綿状であるため、隙間を作らずに断熱できるのがメリットです。吸湿や放湿、防音性にも優れています。欠点である虫のつきやすさや燃えやすさは、ほかの材料を混ぜて抑えているので安心です。
吹き込む方法では、植物系の素材で作られているセルロースファイバーが人気です。
ただし、天井にダウンライトを埋め込むなど引火の恐れがある箇所は、綿状の断熱材を使えない可能性があります。あらかじめ天井の状態を見てもらい、隙間なく吹き込めるのか確認しましょう。
また、この方法は専用の機械が必要になるため、どの業者でも施工できるわけではない点は要注意です。
天井の断熱リフォームのメリット・デメリット
天井の断熱をすると、どのようなメリットやデメリットがあるのか知っておきましょう。
メリット
夏場は屋根に当たった直射日光による熱を、天井で遮断してくれるので、家の中が極端に暑くなるのを防いでくれます。逆に冬場は、家の中の温かい空気が屋根から外に逃げるのを防いでくれるため、温度を一定に保ちやすくなります。
結果として冷暖房を強く効かせなくても良くなり、光熱費を抑えられます。
デメリット
一方、天井と屋根の間にある小屋裏で結露が発生しやすい点はデメリットです。特に冬場は、熱せられた空気と一緒に水分も上昇し、断熱材を通過して小屋裏に入り込みます。天井から上は外気に近い温度なので、結露するわけです。
小屋裏の結露は気づきにくいため、いつの間にか建材が傷んで、大がかりな修理が発生する恐れがあります。断熱の施工時に通気口を設けるなどの対策が必要です。
また、小屋裏に断熱材を吹き込んでしまうと、部屋代わりに使うことはできません。敷き込む方法でも、外気の影響を強く受けるようになり、快適に過ごせなくなってしまいます。
小屋裏を部屋として活用したい場合は、屋根で断熱する方法を検討しましょう。ただし、天井で断熱するよりも費用は割高になります。
天井の断熱リフォームの費用相場
では、実際にどれくらいの費用と工期がかかるのか、天井をはがす場合と天井裏で作業できる場合で比較してみましょう。
天井をはがす場合
天井をはがすと、解体やもとに戻す作業が発生するため、その分だけ費用が高くなり、多くの人員が必要で、工期も長くなります。費用は20坪で50万円から90万円程度が目安です。もちろん、使う断熱材の種類によっても費用は変動します。工期は3日から4日程度見ておくと良いでしょう。
天井裏から作業できる場合
天井をはがさずに作業できると、解体やもとに戻す作業が不要ですから、費用は20坪で20万円から50万円程度と割安です。人員もひとりで済むかもしれません。これまで説明したとおり、敷き込む方法よりも吹き込む方法のほうが高くなります。工期は2日から4日程度です。
天井の断熱リフォームならナサホーム!
ナサホームでは、リフォームアドバイザーが現地調査を行い、お客様のライフスタイルに合ったリフォームのプランを提案しております。天井の断熱リフォームの実績も豊富です。
例えば、こちらの施工事例では平屋建ての全面リフォームを行う際に、天井の断熱工事も行っております。ペアガラス仕様のサッシや無垢の床材との相乗効果により、冬でも暖かく生活できるのが強みです。
もちろん、先ほど説明した屋根の断熱にも対応しております。リフォームと同時に断熱もお考えの際は、ぜひご相談ください。
まとめ
天井を断熱リフォームするには、さまざまな方法があり、何が適しているかは、予算や目的、天井の状態などによって変わります。実績の豊富な業者に相談すれば、天井の状態を見たうえで、アドバイスをしてくれるでしょう。