使いやすさに直結! キッチンの適切な高さはどのくらい?

キッチンに立つと腰や肩、腕が痛くなる。洗い物の後、服が濡れていることが多い。硬いものを切りにくい。それは、キッチンの高さがご自身の身長に合っていないのかもしれません。キッチンにおいて重要なポイントである高さの問題は、意外と解決の糸口が複数あります。リフォームの力でぴったりな高さのキッチンを手に入れて、楽しくお料理しませんか。


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キッチンの高さは何を基準に決めたら良いの?


一般的なシステムキッチンには、ワークトップ(作業台)、シンク(流し台)、コンロ(ガスまたはIHコンロ)、キャビネット(収納)の4つがセットになっています。通常、キッチンの高さとはワークトップの高さを指します。
標準的なキッチンの高さは85cmとされており、その高さのシステムキッチンを買い求める方がほとんどですが、お料理される方に合ったキッチンを使わないと身体に負担がかかってしまいます。

キッチンの高さと使いやすさの関係

ほぼ毎日使う場所であるキッチンでは快適に過ごしたいもの。調理しにくい、身体が辛いなどと違和感を覚える場合、キッチンの高さが合っていない可能性があります。
キッチンは家族全員が利用するスペースですが、一番長くキッチンに立つ人を基準にキッチンの高さを考えてみましょう。

理想のキッチンの高さを計算

使いやすいキッチンの高さは、身長から割り出すことができます。あなたにぴったりなキッチンはどのくらいの高さでしょうか?

 身長による計算式:身長(cm)÷2+5cm

日本産業規格(JIS規格)によって各メーカーで取り揃えられているシステムキッチンの高さは、5cm刻みの80cm、85cm、90cmの3種類、あるいは、2.5cm刻みの80cm、82.5cm、85cm、87.5cm、90cmの5種類がほとんどです。
近年主流となっている高さは85cm。以前は80cmが一般的でしたが、現在では日本人女性の平均身長は約158cmへと推移し、高さ85cmのキッチンが多数派となっているのです。

身長別におすすめしたいシステムキッチンの高さ

 ・身長160cm以下の方 →80cm
 ・身長160cm位の方  →85cm
 ・身長170cm以上の方 →90cm

身長から割り出した高さのキッチンを実際に使ってみると、しっくりこないように感じることも。その場合は肘の高さから計算してみましょう。
包丁で食材を切ったり、シンクで食器を洗ったりするとき、私たちは肘を起点に前腕を上下に動かして作業しています。
ワークトップが肘よりも高めだと、食材を切るときに力が入りにくくなってしまいます。キッチンの高さは肘高よりも10cmほど低いと使いやすいと言われています。

肘高による計算式:肘高−10cm

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キッチンの高さを決める際のポイント


先ほど計算した結果が、現在お使いのキッチンの高さと違う場合、使う方にとっての最適な高さを見極める必要があります。自宅で検討したら、次はショールームで実際の高さを検討してみるのがおすすめです。

自宅でキッチンの高さを検討するときの方法

・現在より高いキッチンを試したい場合
キッチンカウンターにまな板や本を重ねたり、マットを敷いたりして調節してみてください。
・低いキッチンを試したい場合
一般的にキッチンより低いダイニングテーブルに台を置いて確かめてください。

ショールームで高さを検討する際はここをチェック

・スリッパ持参か靴底の薄い靴を履いて行く
ショールームでキッチンの高さを確認するときには、ご自宅のキッチンに立つときと同じような動作でシミュレーションする必要があります。ヒールや靴底が厚いとそうはいきません。
スリッパを持参するか、なるべく靴底の薄いパンプスやスニーカーなどを履いて行きましょう。

・まな板の厚さも大切
作業台の高さがちょうど良くても、普段お使いのまな板が分厚ければ、キッチンが高くなり過ぎる場合もあります。お使いのまな板の厚さも考慮して検討しましょう。

・シンクの深さも重要
シンクで食材の下ごしらえや洗い物をするときは前屈みの姿勢になるため、高さが合わないとストレスに感じます。シンクの深さは一般的に17~20cm程度ですが、深さによっては、さらに前屈みになる必要があります。実物で体感しておくのが一番です。

・コンロやヒーターの高さもチェック
ガスコンロとIHクッキングヒーターは高さが異なります。IHクッキングヒーターはフラットなので高さは作業台の天板と同じですが、ガスコンロには五徳の立ち上がりがあるので、天板より数cm高くなることも考慮しておきます。
深さのあるお鍋を使う、フライパンを振るなど、頻繁に行う調理のスタイルから使いやすいのはどの高さか検討してみましょう。

複数人で使う場合や迷った時は「高め」がおすすめ

ご家族がおられる場合、ご夫婦で、または親子で一緒に料理することもあれば、二世帯住宅で同じキッチンを共有されているご家庭もあるでしょう。
複数の人がひとつのキッチンを使う場合、誰に合わせて高さを決めれば良いでしょうか。よく使う方に合わせるのがベストですが、使用頻度に大差がないなら、「背の高い方を基準に選ぶ」ことをおすすめします。
なぜなら、キッチンが高ければ、スリッパを履いたり踏み台を用いたりと工夫次第で調整できますが、低いキッチンを高くするのは難しく、前屈みの姿勢でキッチンを使うことになってしまうからです。
また、ご自分にぴったりの高さのものがなく、高めと低め、どちらにすべきか迷っている方も同じ理由から高いほうを選ぶと良いでしょう。

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既存のキッチンの高さを調整するのも一つの方法


キッチンの高さを全体的に調整するには、まずは現在使っているシステムキッチンの高さを変える、またはキッチンをフルリフォームするという2パターンが考えられます。

既存のキッチンの高さを変更するためには?

既存のキッチンをいったん取り外し、造作で台を作ってかさ上げをします。水道管や排水管、ガス管の延長工事を伴うこともあり、配管の延長には別途工事費が発生します。
逆にキッチンを低くしたいときは、キッチンの種類によってはキャビネットの底部に設けられている10cmほどの台輪をカットできるものもあります。

・費用の目安:10万~20万円
(一旦キッチン設備を撤去してかさ上げし、再設置するのは20万~30万円)
・工期:1日~3日
できるだけ出費は抑えたい、今のキッチンを継続して使いたいという方におすすめです。
〔ちなみにフルリフォームの場合〕
新しいシステムキッチンにするフルリフォームなら、希望の高さを伝えれば問題を解決できるので、比較的簡単です。キッチン自体の老朽化対策にもなります。
・費用の目安:100万円前後
・工期:5〜8日

既存のキッチンの高さを変更する際の注意点

キッチンの作業台は高くして、レンジフードの高さはそのままだと、火源とレンジフードの距離が近くなるので注意が必要です。法令や条例によって、レンジフードの下端と火源の距離は80〜100cmにおさまるように設置することが定められています。
また、キッチンの高さをアップすると、ガスコンロは五徳の高さ分だけ、位置が上がります。フライパンや鍋が振りづらくないか、チェックしておきましょう。

セカンドキッチンやミニキッチンといった対応方法も可能

二世帯で同居されている場合、多くは平均身長が高い子世帯に合わせた高さのキッチンとなり、高齢のご両親は高めのキッチンを使うことになります。
ご両親の身体への負担などを考えると、それぞれがご自分のキッチンを持つのも解決策のひとつです。セカンドキッチンやミニキッチンを新たに設置すると、食事の時間や好みのメニューなど、ご家族に遠慮することなく生活できます。
・本体価格:10万~30万円
・施工費:80万円前後(給排水、電気またはガス、換気工事含む)
合計:90万~110万円

ナサホームの施工事例

■セカンドリビングのミニキッチン

ご両親と住んでいた戸建住宅を2世帯にする際に、2階にセカンドリビングを新設しました。ミニキッチンを据え付けて、簡単な調理やティータイムを気兼ねなく楽しめるようになりました。

この施工事例の詳細はこちら

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まとめ

ほぼ毎日利用するキッチンは、料理をするのにベストな高さで、快適に使いたい場所のひとつです。現在、調理しにくい、腰痛や肩こりになりやすい、水がはねて服が濡れることがあるなどの悩みをお持ちの方はお気軽にナサホームにご相談ください。ご家族様それぞれの要望をお伺いし、現在の住まいの状況を確認しながら、最適なリフォームプランの提案をさせていただきます。