意外と見過ごしがちな「柱」の補修で安心の住まいを

長く住んでいると、家の柱が無傷というわけにはいきません。 ペットのひっかき傷やお子さんがおもちゃでぶつけたり、ひと昔前は背くらべの印を入れたものです。 しかし、単に傷だと思って見過ごしてしまうと、もしそこが腐食していた場合「柱のきずは おととしの……」と、思い出の傷だからと悠長なことは言っていられない事態になってしまうことも。また、腐食のまま放っておくと家の耐久性や耐震性に大きく影響することになるのです。 今回は「手遅れ」なんてならないためにも今一度、お住まいの柱をチェックし、きちんと補修するリフォームのアドバイスをしてまいります。


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柱を補修することになるその原因と対処は?


木造住宅において家を支える基材である柱。その柱を補修することになる、腐食のような事態に至るのはどんな原因があるのでしょうか?

柱が傷む(腐食)3つの原因

柱が痛んでいる、いや腐っているかも。どんなことでそうなるのか、原因を見ていきましょう。
・腐朽菌
家が腐食する大きな原因のひとつが腐朽菌です。耳慣れない言葉ですが、この腐朽菌が木材に繁殖すると木の養分が吸い取られ、亀裂や穴が生じて劣化が進んでいきます。柱としての強度が低減してしまうので腐朽菌はまさに住まいの大敵です。
腐朽菌は、次の4つの条件が揃うと発生すると言われています。
・水分:湿度85%以上、木材の含水率25%以上
・温度:20~30℃前後
・栄養:木材の主成分(リグニン、セルロース、ヘミセルロース)
・空気:栄養を取り込むために空気中の酸素が必要
この条件の中でもっとも管理しやすのが水分で、雨漏りなどがかからないようにすることは必須です。
・カビ
菌といえば、腐朽菌よりもカビのほうが連想されるでしょう。両者にはつながりがあるのです。高温多湿な環境では、カビが発生しやすくなり木材に付着します。
カビ自体が木材に亀裂や穴を生じさせることはありませんが、カビが繁殖すると柱の水分量が高まり、その結果、腐朽菌が発生しやすくなるのです。
・シロアリ
住まいの湿気が多く暗い場所を好むシロアリは、軒下や屋根裏、床下に生息します。そして木をエサにしているので、柱の中まで食べてしまい空洞にしてしまうのです。そうなれば住まいに大きな被害を及ぼすことになります。

■放っておくとどうなる?家の寿命が縮むことも

・柱の劣化は、住まいの劣化
腐朽菌やシロアリ被害で腐食が進めば、柱の強度が弱まっていきます。そうなると住まいの耐震強度も低下することにつながります。それは、震災などで倒壊する恐れがあるということで、柱の劣化は住まいの劣化となり、住まいの寿命が縮むことになるのです。
・自然災害に弱い住まいになる
地震だけでなく、夏場の大型台風や、線状降水帯によるこれまで経験したことのない豪雨や洪水が発生すれば、柱の強度が弱まっていると家が倒壊したり、傾いたりするかもしれません。柱の強度が保てないと自然災害に弱い住まいになる恐れがあります。

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もしかしたらシロアリ!? 柱を補修する際に気をつけておきたいこと


柱の補修は、お住まいが持ち家と賃貸の場合とでは進め方が違ってきます。また、腐食の原因がシロアリだとしたら大きな問題です。

柱を補修するときの注意点

柱を補修するには気をつけたい2つのポイントがあります。
■マンション等の賃貸物件に住んでいる場合
賃貸の場合は、柱に傷をつけたのなら原状回復が原則です。チェックするのはプロなので補修剤で塗った程度ではすぐに見破られてしまいます。
ペットによる傷はおそらくDIYでの原状回復は難しいので、まずは貸主や管理会社に確認してもらうことです。貸主側で専門業者に依頼するのなら、借りる際に預けた敷金から修理費用を引かれることになるでしょう。
■腐食していたら、必ず専門業者に依頼
亀裂があったり、黒ずんでいたり、叩いたときの音が軽かったりしたら、それは傷ではなく、前述の腐朽菌やシロアリによって腐食が進んでいる症状だと考えられます。その場合は自分で対処しようとはせずに速やかに専門業者に依頼し、シロアリなら完全除去と柱の補修を相談することをおすすめします。

シロアリのときはどうする?

シロアリによる被害は住まいへのダメージだけでなく、住んでいる人の精神的なダメージも受けるかもしれません。しっかりと対応していきましょう。
食い荒らす速度が速い
シロアリは集団で行動し、食い荒らすので、いったん巣くうと急速に柱を侵食します。1年で柱を3本とか、数カ月で家がボロボロになってしまった例もあります。
新築から5年経ったら予防対策を
新築住宅は防蟻処理がされていますが、5年を経過するとその予防効果は低減。新築5年経過したのなら専門業者に依頼し防蟻処理をしてもらいましょう。
こんな症状のときはすぐに専門業者へ
・例えば床下に入り、床下の柱と地面が接する一部がなくなっている
・柱を叩くと、軽くて中が空洞になっているような音がする
・柱の周辺に細かい木屑が散らばっている
柱以外でも次のようなシロアリ被害のサインはあるので見逃さないように注意しましょう。
・ドアや雨戸、押入れのふすまが開閉しにくくなっている
・フローリングや畳の床が沈む
・家の周辺で羽アリを見かけた
・ウッドデッキや庭の切り株が食害されている

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柱をきれいに補修するのに必要な費用は?


それでは柱を補修するのに必要な費用はどのくらいが相場なのかを見ていきましょう。

柱の補修にかかる費用相場

・賃貸住宅でペットなどによる柱傷の原状回復
ペットによる傷は深いのでDIYでの原状回復はまず難しいでしょう。高い技術を持つ修理リフォーム会社だと、傷がまったく分からなくなるまで仕上げます。ポイントなのは、どの程度まで修復させたいかを伝えましょう。
柱傷の補修費:2万~6万円(柱1つあたり)
・腐食が見られる柱の場合
腐食の程度によって補修方法と費用相場はかなり変わってきます。
部分的補修費:2万~6万円(柱1つあたり)
家の基礎も含めた大規模補修:100万〜300万円
・シロアリ駆除
駆除工法は2つ。シロアリが潜む床下に薬剤や殺菌剤を散布するバリア工法、毒餌が入った専用の容器を家の周囲の地面に埋めるベイト工法。
バリア工法の費用相場: 1坪あたり5,500〜7,000円
30坪の住宅:16.5万〜21万円
ベイト工法の費用相場:1mあたり7,000円~9,000円
30坪で外周が40mの住宅:28万~36万円
※シロアリ被害が出た場合の駆除や補修費用は雑損控除の対象となるので、費用負担を抑える手段として覚えておきましょう。予防で使った費用は対象外です。

柱を傷つけない、腐食させないための予防対策

補修リフォームが終われば、もう当分の間は柱を傷つけたくはありません。その予防法です。
・ペットから守る
見た目もあるので、表面化粧のある補修用テープや、ペット用の保護シートを貼るといいでしょう。猫の場合、壁に爪とぎ ケースを付けておくのも予防になります。

・腐食から守る
補修リフォーム時に腐朽菌やシロアリから守る処理を施しています。補修後にできることは、風通しをよくすること。また、床下に防湿フイルムを敷いてみましょう。そして、できれば乾燥した砂や砂利または木炭を防湿フイルムの上に敷けば地面からの水分を抑え、湿度を下げることができるでしょう。
また雨漏りは大敵なので、外壁の亀裂はすぐに塞ぐ手立てが必要です。

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まとめ

住まいの柱は、構造上とても大切であり、暮らしの中ではインテリアの一員としても傷のある柱はそのままにしておきたくはないですよね。ましてや腐食でもしていたら──。そんな時にはまずナサホームまでご連絡ください。現在の住まいの状況をしっかりと確認しながら、最適な補修プランのご提案させていただきます。