バリアフリーリフォームのすすめ、家の中の小さな段差に気づいていますか?

高齢者の怪我の主要な原因である転倒。 屋外だけではなく、住まいの中で転倒するケースも多くなっています。住み慣れた我が家だから勝手がわかっていて転んだりしないだろう、というのは危険な思い込みなのです。 しかも、こうした高齢者の転倒事故が起きやすいのは、家の中のちょっとした段差であるというのです。 今回は、ご家族様のだれもが過ごしやすい住環境を作るための第一歩。段差を解消するリフォームのポイントについてお伝えします。


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小さな段差だから、怖い

家の中には、玄関やアプローチの段差や部屋の敷居など数多くの小さな段差があります。その多くは、わずか数センチの高さしかありませんが、こうした小さな段差こそが転倒の元なのです。

なぜ高齢者は小さな段差でつまずいてしまうのか

人間は歳をとるに従い視力や認識力、筋力・バランス感覚などが低下していきます。よくお年寄りがすり足のようにして歩いているのは、足を上げる筋肉が衰えているから。膝や腰の疾患やパーキンソン病のような神経疾患を抱えている方は、さらに歩行が難しくなります。
視力や認識力の低下で、小さな段差に気がつかないまま、足を高く上げず歩くことでつまずいてしまい、バランス感覚や筋力が低下しているために姿勢を戻すことができずに転倒してしまうのです。
これが大きな段差であれば、高齢者でもその存在に気づくことができるでしょう。つまり、認識しづらい小さな段差は小さく低いからこそ危険なのです。

転倒事故が寝たきりに繋がることも

高齢者の多くは骨密度が下がっているため、若い人であれば怪我をしないような転倒でも骨折をしてしまうことがあります。特に歩行に欠かせない、腰と太ももの付け根にある大腿骨頸部を骨折して しまうと、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあるのです。また、場合によっては転倒時に椅子や机に頭をぶつけることで、重篤な怪我や死亡事故が起こることも少なくありません。

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最優先はまず段差!

住まいのバリアフリー化を目指すのであれば、手始めにすべきなのは段差の解消です。では実際に住まいの中には、どのような段差が潜んでいるのでしょうか。

住まいの中の気づかない段差

代表的なものでは、洋室や和室の間にある敷居やドアの下にある沓踏。この他にも庭の敷石やお風呂の出入口にも段差はあります。また意外なようですが、畳や絨毯のヘリなどでも転倒のケースが報告されています。
目に見えやすい段差には玄関や階段、縁側などが挙げられます。

段差解消方法1 スロープの設置

段差の解消方法として一般的なのが、スロープの設置。部屋の間にある敷居などに使う小さいものは「すり付け板」や「段差見切り」と呼ばれています。この小さなスロープは金属や木材、樹脂などさまざまな素材のものが販売されているので、住まいのデザインに合わせて選ぶことも可能。取り付けに関しても、接着剤やテープ、ネジなどで簡単に取り付けることができ、低コストで施工できるのが魅力です。さらにこのスロープに夜間に光る蛍光テープを貼るなどすると、夜に小用に立った際などにも安心です。

スロープの取り付けは大きな段差にも有効な手段。
玄関先の段差や、上がり框があるご家庭ではスロープを設置することで、大きな段差をまたぐことなく住まいの中に入ることができるようになります。なお、こうした大きな段差に設置するスロープはなだらかなで距離があるものとなりますので、滑り止めの加工をしておくとより安全に利用することができます。

段差解消方法2 階段&手すりを設置

玄関の土間と床の間が大きい住まいであれば、式台と呼ばれる足踏み台を取り付けるのも有効です。床と上がり框の間に固定することが多く、一段だけのものから複数段のものまでいくつかの種類があります。

そのほかの大きな段差でスロープを設置するスペースがない場合は、段差ステップを取り付け、高低差の少ない小さな階段を作るのも有効な手段です。

また、住まいの上階への階段であれば、階段を緩やかにしたり、段数を増やすといった方法も考えられます。しかしながら、こうした階段の大掛かりな改修は住まいの形状によっては施工できない場合があるので注意が必要です。

なお、段差ステップや住まいの階段・廊下、さらに転倒の恐れのあるお部屋の壁際に手すりを付けると伝い歩きができるだけでなく、万一バランスを崩した時にも支えとなるため安心です。

段差解消方法3 段差を完全撤去

敷居などの小さな段差は、リフォーム工事で取り払ってしまうことが可能です。敷居を取り除き、周りの床と同じ高さの床材を埋め込むことで完全にフラットな床面にすることができます。
また、カーペットや畳のヘリなどは、上からテープを貼ることで段差を埋めることができます。

そのほか住まいの中で気をつけたいこと

リフォームや器具の設置によって、ある程度の段差は解消することが可能です。
ただし、建具の段差を解消しても部屋の中に物が散らかっていたり、電源ケーブルが足元に横たわっていると、やはり転倒のリスクは高くなってしまいます。
転倒のリスクが少ない安全な住まいを作るためには、まずお部屋の中を整頓し、床にものが落ちていない、つまづきにくい環境を作ることが大切です。

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段差解消リフォームの費用&実例

Barrier-free house at the entrance with slope and wheelchair.

住まいの中の段差を解消するためのリフォームにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。それぞれの箇所ごとにご紹介してまいります。

段差解消リフォームにかかる費用

■部屋の間に「すり付け板」や「段差見切り」を設置する場合
敷居と床の間に小さなスロープをつける作業は、3〜7万円ほど。ただし設置する箇所や数によっても金額は異なります。

■玄関やアプローチにスロープを設置する
高い段差に対応するための大きなスロープをつける場合の費用は、40〜50万円ほど。スロープの大きさや手すり、滑り止め加工によって費用が異なります。またスロープをつけることで、高齢者の方が車椅子を利用される際にもスムーズな移動が可能となります。

■階段の段差をゆるくする
上階へ続く段差をゆるくするリフォームにかかる費用は50〜150万円ほど。ただし、住まいの形や階段の種類によっては施工できないケースがありますので、まずはリフォーム業者に相談することをおすすめします。

■敷居の段差を撤去する
敷居を取り払い、ほかの部屋と同じ高さにするリフォーム工事を行う際の費用は5〜15万円程度。これも施工する箇所や数によって費用が異なります。

ナサホームの段差解消事例

■段差を解消しフラットになった温かみのある浴室

洗面脱衣所から浴室への段差をフラットにした施工例。高齢のご家族様もつまづくことなくお風呂をお楽しみいただけるようになりました。

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■夫婦の安心バリアフリー住宅

住まいの中の段差を取り払い、安心してお住まいいただける空間を作るため、一度家全体を解体して間取りを一新。家全体を段差のないフラットな環境にする工事をお任せいただきました。

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まとめ

普段何気なく暮らしている住まいの中にも、危険なポイント・段差は数多くあるものです。ただし、住まいのバリアフリー化を目指して段差を解消する場合は、手すりの設置や水回りの変更など、そのほかのバリアフリーリフォームと併せて、トータルなリフォーム計画を立てることをおすすめします。
高齢化の進む中、ナサホームはこれまで数多くのバリアフリーリフォームのご依頼にお応えしてまいりました。その経験を生かして、皆様が末長く、安全にお過ごしいただける住まいを提案してまいります。
住まいのバリアフリー化、段差の解消をご検討の際はぜひナサホームにご相談ください。