住まいの天井をデザインするなら、下がり天井で

住まいに欠かせない天井ですが、普段その存在を意識することは少ないものです。ところが、天井のしつらえは、空間の印象を大きく左右する要素のひとつです。一般には平らで均一な天井、これにちょっとした変化が加わると、住まいの空間に、深みや趣が生まれます。 その趣を醸し出す天井のひとつが「下がり天井(さがりてんじょう)」。本記事では、下がり天井とは何か、導入による効果、どのような部屋に向いているか、具体的なリフォーム方法と費用の目安などについて詳しくお伝えします。


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下がり天井とは?


「下がり天井」は、私たちが普段あまり意識しない天井の高さを意図的に一部下げた意匠の天井のこと。天井全体ではなく一部の天井高を低く作るこの下がり天井の効果としては、キッチンのレンジフードの配管や換気ダクトを隠したり、あるいは照明を仕込んで間接照明の陰影を演出したりする役割で設けられることがあります。ただし近年ではそれだけではなく、天井も含めた空間のデザインを重視する居室に取り入れるケースも増えてきています。その空間のムードは、色・素材・光の使い方次第で大きく変わるため、通常の天井よりも視界に入りやすい下がり天井は、この空間のありようを左右する重要な要素のひとつとなり得ます。

下がり天井を導入することで得られるメリットと注意点

◼️メリット
空間に「層」や「落ち着き」をもたらす
下がり天井がつくる段差が生む陰影や高さの変化は、空間における視覚的なアクセントになります。例えばリビングとダイニングの間で天井高を変えることで、パーテーションなどをつけなくとも、くつろぐリビングと、食事をするダイニングといったように役割に応じた空間の境界が自然と意識できるようになります。

すっきりとした空間を作る
下がり天井の影や内部に、キッチンのダクトや換気扇の配管、照明器具の配線といった設備をスマートに隠せるのも大きな魅力。どうしても見えてしまう部材を隠せることで、空間が引き締まりすっきりとスマートな印象を作り出すことができます。

間接照明などの空間演出の効果を高める
間接照明や音響効果を得るために、天井照明やスピーカーなどを下がり天井の袖の中に内蔵することも有用な方法。照明演出が映える下がった部分に間接照明を仕込むと、光が壁や天井に反射して柔らかく広がり、夜の雰囲気を高める効果があるので、くつろぎ空間やホームシアター空間を作るのに適しています。

◼️注意点
圧迫感が生じる可能性がある
デザインや空間に特別な演出を加えることのできる下がり天井。しかし、もとの天井高が低い住宅では圧迫感を 感じやすくなります。下がり天井を導入する際は、いざリフォームした後で「なんだか狭く感じる」とならないように、どこまで下げるかの見極めが重要です。

既存の天井の解体が必要
下がり天井の施工を行う際は、既存の天井を一部解体し、下地を組み、仕上げを行う必要があります。電気配線や照明の位置変更がある場合はそれに対応する工事も必要です。

メンテナンス・将来の変更の難しさ
下がり天井の中に間接照明やダクト隠しなどがある場合、それらのメンテナンスや照明器具の取り換えの際に天井を外す作業が発生することがあります。


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どのような部屋に向いていている?導入のコツは?


ここでは下がり天井が生える空間について、部屋・シーンと、導入時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

適した部屋・場所

◼️リビングやダイニング
住まいの中で、人が集まりくつろぐ場を、下がり天井によってゾーンを分けることで、家具配置や照明演出がしやすくなります。

◼️キッチン
キッチンの上部配管・換気ダクト・レンジフードなど、「見せたくない設備」を隠して、なおかつ照明計画を立てやすい場所もまた、下がり天井の導入が適している空間といえます。

◼️玄関ホールや廊下
住まいの中の通り道でありながら「歓迎する」印象を与えたい部分も下がり天井が効果を発揮する空間。わずかに入口の天井を下げ照明で光のアクセントをつけることで、家に入ったときの雰囲気がぐっと深まります。

◼️寝室や書斎
プライバシーの保護が重視され、個人がゆったりとした時間を過ごすべき場所にも下がり天井は有用。ベッドや机の上の部分を下げ、間接照明を併設すると、リラックス感が高まります。

導入のコツ

◼️段差の高さは慎重に決める
天井高2.5m以上あれば比較的余裕がありますが、2.3m前後だと下げすぎると圧迫を感じる可能性があります。10〜30センチほどのレベルで段差を設けることがポイントです。

◼️施工時には、照明計画も同時に考える
間接照明を仕込むならその位置、光の色(温かみのある電球色など)、暗くなりすぎないように拡散照明とのバランスも取ることが大切です。

◼️素材・仕上げで統一感を持たせる
下がった天井部分の素材(板張り、塗装、クロスなど)を壁や家具の素材とリンクさせると、段差が自然に馴染みます。

◼️将来の電気配線・設備交換を考える
下がり天井の施工後に、照明器具を取り付けたり外したりする予定があるのであれば、アクセスしやすい構造やメンテナンススペースを確保しておくと安心です。


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リフォームでの導入方法と費用の目安


実際にリフォームで下がり天井を取り入れる際の流れと、費用の目安を、ナサホームの実績も交えてお話しします。

導入の流れ

リフォームによって、下がり天井の施工を行う際はおおよそ以下のような手順を取ることになります。

1)現状の天井高を測る(複数の箇所で確認)
2)段差をつけたいエリアを決める(キッチン・ダイニング・リビングなど)
3)設計者に配管・配線・照明・ダクトなどの収まりを確認4) 下地工事→仕上げ材施工→照明や電気工事を順に進める
5) クロス・塗装など内装の仕上げで統一感を出す

費用の目安

空間の大きさやデザインによって、下がり天井の施工費用は変動しますが、一般的にリフォームで既存の天井に下がり天井を追加するだけであれば、20万円〜50万円程度がひとつの目安となります。さらに、間接照明やスピーカーの設置、デザインにこだわるなど仕様が増える場合は、50万円〜100万円を超えることもあります。

ナサホームの施工事例

◼️愛用の家具と調和した下がり天井で魅せる我が家

リノベーション済みの物件を購入され、愛用している家具に合うお家へとリフォームを行いました。こだわりの照明計画や、巧みな色使いで魅力溢れる住まいを目指しました。

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◼️アール天井が印象的な魅力あふれるキッチン空間

お持ちの家具にテイストを合わせるべく設備や内装共にリフォーム工事をご依頼頂きました。キッチン上部はアール形状の下がり天井に改修し、そこへコーブ照明を仕込みました。

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まとめ

天井を少し下げる。このシンプルなひと工夫が、暮らしに与える影響は大きなものです。テレビを見ながら家族がくつろぐリビングの一角、食卓を囲むダイニング、夜の読書や静かな時間を過ごす寝室……それぞれのシーンに、特別な空気を漂わせ、「この部屋はちょっと違う」という印象を感じられます。下がり天井を取り入れることで、普段見過ごしがちな天井も、大切なデザイン要素になります。
「下がり天井」でいつものお部屋のイメージをスタイリッシュに一新したい、そんな思いをお持ちの方はぜひナサホームにご相談ください。皆さまのご予算やデザインのご要望、お部屋お利用シーンの理想などをウカはいながら、デザイン・施工に長けたプロが皆様の思い描く通りの下がり天井のあるお部屋実現のためのお手伝いをいたします。