バルコニーやベランダを守るFRP防水が、劣化してしまうと起こること

ベランダやバルコニーの防水対策として人気の高いFRP。 建物の下地を守るためにも塗装しているお宅も多いのではないでしょうか。しかし、FRP の塗装も使っているうちに徐々に劣化していくもの。塗装が剥げてしまったり、ひび割れてしまったりしたものを放置すると、大きなトラブルが生じる可能性もあるのです。今回はこうした FRPの塗装に起こる劣化の症状の解説に始まり、FRP防水の再塗装方法や費用、さらにほかの素材との比較などを詳しくご紹介します。


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バルコニーやベランダのFRPが劣化してしまったら…

FRP防水とは

FRPとは、「繊維強化プラスチック」の略称で、ポリエステルなどの樹脂とシート状のガラス繊維を合わせることで、耐久性を向上させたものを指します。このFRPは耐久性に優れるだけでなく、紫外線や水に対しても強く、なおかつ軽量であるという利点を持っているため、その特性を利用しベランダやバルコニーの防水として、さらに浴室やプールサイド、船舶など水に濡れる設備の保護を目的として多用されている素材です。

今回のテーマであるFRP防水はガラス繊維を床に敷き、その上にポリエステル樹脂を塗布することで防水層を作り、さらにトップコートを塗って仕上げたものです。

FRP防水のメリットと耐用年数

■FRP防水のメリット
FRP防水のメリットとしては、防水性と衝撃耐性が挙げられます。FRP防水は、雨水などがバルコニーやベランダの基礎に染み込むことを防ぎ、劣化を防いでくれます。さらに、床の上を人が頻繁に行き来したり、荷物などが落下したりする際にも基礎がひび割れたり摩耗したりすることを防いでくれます。

■FRP防水のデメリット
FRP防水のデメリットとしては、施工直後にやや独特な匂いが発生することや、歪みに弱いため、下地が動くような環境には施工できないという点が挙げられます。またベランダやバルコニーの床が板張りの場合も施工できません。

■FRP防水の耐用年数
FRP防水の耐用年数は10年〜25年程度とされています。一度施工を行ったら、長期間にわたって基礎を守ることができるのですが、7〜10年ほどでトップコートや防水層が劣化するため塗り直しが必要となります。

FRPに現れる劣化

FRP防水の劣化は、大きく分けてトップコートと防水層の劣化とFRPシートの劣化の2つが挙げられます。

■トップコートの劣化
7〜10年ほどでみられる劣化としてはトップコートの摩耗や剥がれが挙げられます。塗布面に引っ掻いたような傷ができていたり、水膨れのように浮き上がっていたり、塗装面がボロボロと剥がれてきたら、再塗装のサイン。なお、塗装の一部に傷ができたり剥がれたりしている状態を放置すると、そこから水分が中に入り込み劣化の症状が、ベランダの床面全体へと広がってしまうことがあります。一部の傷や剥がれでも見つけ次第、対処することをおすすめします。

■防水シートの劣化
トップコートと防水層の劣化が激しくなってくると、下の防水層やシートに塗布したガラス繊維が外部に露出するようになります。この症状をさらに放置すると、やはりガラス繊維そのものが紫外線や水分、衝撃に晒されて傷ついたり、ひび割れたりしてしまうことがあります。こうなると、FRP防水全体のやり直しとなってしまいます。また、FRP防水は歪みに弱いため、地震によって無理な力がかかった場合も割れてしまうことがあります。

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FRP防水のメンテナンスとやり替えの方法


FRPのメンテナンスの基本はトップコートの再塗装と防水層の補修です。この再塗装は、傷やひび割れ、剥がれが生じてしまう前に行うのが効果的。再塗装は5〜10年程度でやり直す必要があり、この期間を過ぎると目に見える瑕疵がなくとも、劣化が進んでいることが考えられますので、安全を確保する意味からも再塗装を依頼するようにしましょう。

FRP防水のメンテナンス方法

■トップコートの再塗装
トップコートを塗り直す場合は、まず高圧洗浄によって表面の汚れを掃除し、さらに電動グラインダーなどを使って既存の塗膜を剥がしていきます。さらに、塗膜の下にあったFRPシートに残った油膜を取り去るために、特殊な薬剤で表面を拭きます。シートの表面をきれいにしたら、トップコートとシートの密着性を高めるためのプライマーを下塗りし、これが乾いたらトップコートを塗り直し(中塗りと上塗りの2度)して再塗装は終了です。

■防水層の補修
FRP防水を行っている面のトップコートが剥がれ、中のガラス繊維シートが露出してしまっているような場合は、防水層の貼り直しによるメンテナンスを行います。トップコートの再塗装時と同じく、高圧洗浄によって既存の塗装を剥がし、清掃したら防水膜の表面に傷をつけて目荒らしし、上塗りの塗料の付着性を高めます。その上に再度ガラス繊維と樹脂を塗布して防水層を再形成します。その後、トップコートの再塗装をすれば完了です。

FRP防水の全面やり直し

FRP防水のひび割れや傷が深く、広範囲にわたっていたり、トップコートの下の防水層が大きく浮き上がっていたりするケース。あるいは地震によるズレや落下物の衝撃で内部のガラス繊維部分が破損してしまっている場合は、残念ですがFRP防水を全面的にやり直さなくてはなりません。

FRP防水をやり直す場合、まずは高圧洗浄で既存のFRP防水の表面を洗浄し、合板を床に敷き詰め、板と板の隙間にパテを充填しフラットな面を作ります。その後、合板の表面をグラインダーなどで目荒らしし、その上からプライマーを塗布します。プライマーが乾いたら、ガラス繊維のシートを敷き、上からポリエステル樹脂を塗って浸透させ、中に残っている空気を抜いていきます。ポリエステル樹脂が乾いたら、再度ポリエステル樹脂を塗布して防水膜を形成。これもしっかりと乾いたら、最後にトップコートを塗布して、再施工は完了です。

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FRP防水のメンテナンスや再施工にかかる費用の相場は?


では、ベランダやバルコニーのFRP防水が劣化してしまった時、これを元通りの状態に治すにはどのくらいの費用が必要なのでしょうか。

FRP防水の施工単価

FRP防水のメンテナンス方法の項目で解説した施工方法それぞれの費用の目安はおおよそ以下のようなものになります。

■トップコートの塗り替え:1㎡あたり1,500〜2,500円
■防水層の再形成:1㎡あたり4,000〜6,000円
■FRP防水の全面やり直し:1㎡あたり5,000〜7,500円

上記の価格はあくまで目安となります。ベランダやバルコニーの面積や、既存のFRP防水の劣化具合、使用する材料の種類やグレード、追加工事の有無などによって価格は変動します。まずは、リフォーム業者に現地調査をお願いした上で、正しい見積もりを算出してもらうようにしましょう。その見積り内の費用が適正かどうかを見極めるために、上記の価格を参考としてお役立てください。

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まとめ

ベランダやバルコニーの床面に施されているFRP防水のための塗装は、普段その存在を意識しないもの。しかし、この防水塗装はベランダの下地を、雨や風、落下物から守ってくれる大切な役割を持っています。FRP防水の劣化を放置すると、隙間から水や汚れがベランダの下地に染み込み、雨漏りや腐食などの深刻な問題をもたらしてしまうこともあります。
FRP防水を長持ちさせ、安全に使い続けていくためにも、定期的に状態を確認し、傷やひび割れなどを発見した際は、いち早くプライマーの再塗装や防水層の再形成のリフォームを依頼するようにしましょう。