目次
電源タップや延長コード利用の注意点と、コンセント増設が必要となるケース
コンセントは家電製品の使用に欠かせないもの。現在では1部屋の中で、テレビやDVD、パソコンとモデム・Google アシスタントやAmazonのAlexaなどのホームアシスタント、エアコンや暖房器具に掃除機、携帯電話の充電と、10近い家電製品が動いていることも少なくありません。そうなると足りなくなってくるのはコンセントの数。
新しくコンセントの挿し口が欲しいが、工事してまで増やすまでもない場合、ホームセンターなどで延長コードや電源タップを購入してコンセントの数を増やしてしまいがちです。そういった「たこ足配線」をしている方もいらっしゃるかもしれませんが、これはあまり推奨できない方法。たこ足配線は、ブレーカーが落ちたり火災の原因となることもあるので、できればコンセント自体を増やして、安全に家電製品を利用することをお勧めします。
3つのコンセント増設方法と電圧変更
コンセントを増設する際の主な増設方法を3つご紹介します。また、電圧変更に関してのメリットや工事費用などもご紹介します。
コンセントの差し込み口の数を増やす
ご紹介する3つのコンセント増設方法の中で、一番簡単に差し込み口を増やすことができるのがこの方法です。
基本的には、既存の配線を口数の多いコンセントへつなぎ替えるだけで良いため、特に配線を大きく変更する必要がありません。
電気機器が多く集中するパソコン周りや、テレビ・録画機器周りなど、6口コンセントに増設するなどの対策をすると便利になります。ただし、この増設方法では使用できる電気量は変わらないため、消費電力の大きい家電、例えば電子レンジなどを使う場所の場合は、配線の電気容量を超えないか確認が必要です。(※1回路の許容電流=20A)
主な電気機器のアンペアの目安を参考に、コンセントの差し込み口を増やすだけの対応で許容量におさまるか検討してみましょう。
- ・液晶テレビ42型 2.1A
- ・電気カーペット(3畳用) 8A
- ・掃除機(強) 10A
- ・アイロン 14A
- ・ヘアードライヤー 12A
- ・電子レンジ(30Lクラス) 15A
- ・IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) 13A
電気機器の消費電力はワット数(W)で表示されています。
100Vの場合、アンペア(A)は「100Wで1A、1,000W(1kW)で10A」とお考えください。
出典:東京電力エナジーパートナー[主な電気機器のアンペアの目安]
既存の電気配線を分岐しコンセントを増設する
新しい場所にコンセントを増設する場合は、照明など家の中にある既存の電気配線から分岐させる方法があります。電圧が100Vのところからであればコンセントの増設が可能ですが、エアコンで使用しているコンセントからの配線は200Vの配線が通っているため、100V用の家電はつなげられないので注意が必要です。
一般的に、1回路につなげられるコンセントの数は4~5つまでです。
電気配線を分岐させる工事でも、先ほどの説明と同様に使用できる電気量に変わりはありません。
分岐させた配線が、電子レンジなどの電気消費量の大きい家電に繋がっている場合は注意が必要です。電力に余裕のある電気配線から分岐をさせてコンセントの増設をさせるようにしましょう。
分電盤から専用の線を引きコンセントを増設する
エアコンなど消費電力が大きい家電、冷蔵庫など継続的に使う家電や、ブレーカーが頻繁に落ちてしまう場合は、分電盤から専用の配線を引いてコンセントを増設する方法がおすすめです。
専用線を引く事で、他の電気機器の電力量を気にすることなく、安心して消費電力の大きい家電が使用できます。
以下は、専用の配線が望ましい主な家電のアンペア目安になります。
水気の多い家電を使用する場合は、必ずアース付のコンセントを増設しましょう。
- ・冷蔵庫(450L) 2.5A
- ・IHクッキングヒーター(200V) 20A~30A
- ・食器洗い乾燥機(卓上100V) 13A
- ・エアコン(10畳用)立ち上がり時など最大値 14A(冷房) 20A(暖房)
- ・ドラム式洗濯乾燥機(容量9kg) 2A(洗濯) 13A(乾燥)
電気機器の消費電力はワット数(W)で表示されています。
100Vの場合、アンペア(A)は「100Wで1A、1,000W(1kW)で10A」とお考えください。
出典:東京電力エナジーパートナー[主な電気機器のアンペアの目安]
ただし、分電盤に空きがあれば、そのまま増設するコンセントまで配線を引くだけですが、分電盤に空きがなければ、分電盤の交換を行うか、新たなブレーカーの設置工事が必要となります。
コンセントの電圧を変更する
そもそも電圧とはどのような意味があるのでしょうか?
電圧とは文字通り電気の圧力のようなもので、電気を押し出そうとする力のことをいいます。電圧はV(ボルト)という単位で表され、この数値が高ければ高いほど、より多くの電気を押し出せるようになります。つまり、消費電力量の大きいハイパワーな電気機器が使えるということです。
エアコンや一部の200V対応のIHクッキングヒーターなどが、これら消費電力量が大きい電気機器に該当します。
これらの機器は決まった場所で使用するため、コンセントを増設する場合は分電盤でボルト変更を行い専用線を引く必要があります。あるいは、既存のコンセントの配線を利用し違う電圧で使用する場合には、差し込み口の変更を行う必要があります。ただし、古い分電盤はボルト数を変更できないことがあるため、分電盤そのものの交換を行うか、新たにブレーカーの設置工事を行う必要があります。
工事を行うにあたり、やはり気になるのがその工事に掛かる費用で、新たに増設するコンセントの電圧が、100Vか200Vなのかで工事費用も異なります。
例えばエアコンの場合、200Vのコンセントが必要(エアコン専用のコンセント増設が必要)となります。 既存の100Vのコンセントを200Vに変更する場合は5,000円~8,000円程度で可能ですが、200Vのコンセントを新たに増設するとなると25,000~30,000円程度と、100Vのコンセントの増設費用の約2倍程度が必要となるので注意しましょう。
コンセント増設に関する疑問
DIYで、コンセントの増設はできる?
コンセントの増設など、電気の配線工事はDIYできません。
例え簡単な工事であったとしても、屋内の電気工事には、電気工事士二種の資格が必要です。感電や漏電、分電盤を劣化させるなどの危険性もあります。無資格での工事は、電気工事法にも触れ罰則を課せられるため、自力では行わず、必ずプロの業者に任せましょう。
賃貸マンションでもコンセントの増設はできる?
賃貸住宅でコンセントの増設を行うには、管理会社や大家さんに許可を取る必要があります。
コンセントの差し込み口を増やす工事であれば認められるケースも多いですが、コンセントの新設工事の場合は、壁やクロスに影響が出ることもあり、断られるケースもあります。
また、許可を取らずに勝手に工事を行った場合、退去する際に原状回復費用が高くつくので注意が必要です。
コンセント増設って壁を壊すの?
通線ワイヤーが使える場合、壁をほとんど傷つけることなくコンセントの増設が行えます。ただし、通線ワイヤーが使えるのは、CD管(電線を通す管)があったり、屋根裏を通すことができるなどの場合です。
壁に穴をどうしても空ける必要がある場合もあります。そういった場合は、配線カバーを使う事でその穴をなるべく目立たせなくすることが可能です。
まずはどういった方法でコンセントの増設が可能か、リフォーム業者に相談してみましょう。
増設するコンセントの配線の方法
増設するコンセントの配線方法には、近くにある既存の配線から分岐させる方法と、配電盤から新たに専用の配線を引く方法があり、専用の配線を引く方が費用は高くなります。多くの場合は、電気配線は住まいの天井部分を通っており、ここから配線を分岐させることになります。この増設工事の際には、壁や天井の一部を切り外しを行うことがあるため、こうした新設・延長・分岐した配線をどこに通すのかが重要になります。
■壁の中に配線を這わせる
既存の配線を分岐、または分電盤から増設したい場所まで、壁の中に配線を通して新たなコンセントを増設する方法です。
この場合、生活する上で配線が視界に入らずすっきりとした見た目になります。ただし、壁を壊して工事する必要があったり、場合によっては、配線がコンセントにつながる場所で施工できないなどの制限があったりします。
また、壁に這わす方法と比べると工事費も手間もかかります。
■床・天井・壁面に配線を這わせる
床や天井、壁面などに配線を這わせて新たなコンセントを増設する方法です。
配線カバーを用いて配線することも多いのですが、カバーの色や位置によっては、かえって目立つこともあります。配線カバーを使わない場合、配線が露出されたまま見えてしまう事が気になる点です。ただし、巾木の上や窓枠など段差がある部分に配線を這わせると、配線は目立ちにくくなります。
コンセントを増設できない場所と注意点
コンセントはどこにでも増設できるわけではありません。例えば、浴室や洗面など、水に触れる事が多い場所では漏電や感電の危険性が高いため、コンセントの増設ができません。
また、キッチンにコンセントを増設したい場合でも、コンロやシンク周りを避けて、調理や収納スペース側に設置をするようにしましょう。
賃貸マンションの場合、契約書に壁の変更が不可であると明記されていると、配線を壁の中に這わせる工事はできません。
また、明記されていない場合でも工事は許可されていないことが多いため、勝手に工事を行うのではなく、先に大家さんや不動産会社へ確認してください。
コンセントにも寿命はあるの?
みなさんのご家庭で利用されているコンセントですが、実は寿命があります。
使用環境や使用状況によってことなりますが、一般的に点検の目安は設置後10年といわれています。こうした点検・交換のタイミングに合せてコンセントの増設工事を検討すると、効率よく工事が行えます。
ただし、ホコリの多い場所、使用電力の多い場所、コンセントの抜き差しが多い場所、高温になる場所や低温になる場所での使用、キッチン等で塩気・油蒸気の多い場所での使用は、10年より早くコンセントに寿命がくることも。
コンセントカバーが熱い、変色しているなどが見られる場合、最悪は焼損・火災の原因となるので、10年点検を待たずに早期点検・交換をおすすめします。
出典:パナソニック[【コンセント】コンセントの寿命について、教えてください。]
コンセント増設費用相場
生活をする中で、こんな場所にコンセントがあったらいいなって思ったりしたことはないでしょうか?コンセントを増設したい!そういった場合に気になるのがコンセント増設工事費用です。使用目的、設置場所、配線状況別にそれぞれの増設費用をご紹介しています。
エアコン用コンセント増設費用
エアコン用コンセント増設に掛かる費用の目安は、増設する内容によって異なります。
- エアコン用の専用線を引いて増設する場合:30,000円~
- コンセント差し込み口をエアコン用に変更する場合:5,000円~
- コンセントの電圧を200Vに変更する場合:8,000円~
通常のコンセントは100Vですが、エアコンの機種によっては、200Vコンセントが必要な機種もあります。また、コンセントの差し込み口の形状も異なるため、エアコンを購入する際は、そういった所も確認しておきましょう。
食洗機用コンセント増設費用
食洗機には、ビルトイン型と置き型の2種類ありますが、どちらも食洗機専用線を設けるのが適切で、その増設に掛かる費用の目安は、増設する内容によって異なります。
例えば、日本製の食洗機は、そのほとんどが100Vの電源に対応しています。しかし、海外製の食洗機を使いたいと言われる方も最近では増えており、それらの製品によっては200Vの電源で作られており、200Vのコンセントが必要となる場合があるので、あらかじめどういった食洗機を設置したいのかリフォーム業者に相談しておきましょう。
- 100V専用線を引いて増設する場合:30,000円~
- 200Vの専用線を引いて増設する場合:40,000円~
- コンセントの電圧を200Vに変更する場合:8,000円~
屋外のコンセント増設費用
屋外コンセントは雨にさらされるため、防水タイプの設置をおすすめします。そんな屋外のコンセントの設置方法は大きく分けて2種類あり、増設に掛かる費用の目安は増設内容によって異なります
- 室内のコンセントから、屋外コンセントへ電源を分岐する場合:25,000円~
- 分電盤から、屋外コンセントへ新しく専用線を増設する場合:45,000円~
屋外コンセントの設置場所をどこにするか検討していきましょう。たとえば、玄関周りをイルミネーションで彩りたいなどの目的であれば玄関付近の設置を、お庭のお手入れで電動芝刈り機などを使いたい場合は、お庭付近への設置が便利です。屋外コンセントの用途を考え、その用途に合った場所への設置をおすすめします。
電気配線の距離で工事費用が変わる?
コンセントを増設する際に、配線を壁の中に埋め込む「埋め込み型」か?壁の外に露出させて這わせる「露出型」か?によって、工事費用は変わってきます。
例えば、100Vの配線で分岐からの距離が5mだとすると、
- 埋め込み型の場合:35,000円~
- 露出型の場合:25,000円~
ただし、埋め込み型は、見た目がスッキリしており、配線を破損する心配がありませんが、壁の中に配線を通すために壁紙の張り替えが必要であったり、建物の構造によっては壁の中を通すことができない場合があったします。
露出型は、比較的工事費用が安いですが、壁や天井、床に配線が通るため、見た目が気になったり、配線の破損などの注意が必要です。
場所別のコンセント増設おすすめ位置
キッチン・ダイニングのコンセント増設
キッチンやダイニングでのコンセント増設のおすすめ位置をご紹介します。まず、キッチンでコンセント増設する際は、吊戸棚とカウンターの間など、しゃがんでコンセントの抜き差しを行わない作業しやすい高さに設置することをおすすめします。
消費電力の高い、IHクッキングヒーターや、電子レンジ、食洗機などは、専用コンセントの設置がよいでしょう。
ダイニングのコンセント増設は、例えば、ダイニングテーブルを囲み、ホットプレートを使って家族で食事をする事がよくあるのであれば、テーブルの下に床用コンセントがあれば、延長コードを使う事なくコンセントを差し込むだけでホットプレートが使えます。
リビングのコンセント増設
リビングのテレビ周りのコンセント増設は、録画機器やLAN接続機器なども考えられるため、最低でも4口は必要です。また、ゲーム機やスピーカーなども設置する予定であれば6口あると安心です。おすすめの増設位置は、ぞれぞれの機器の配置位置を考え、6口のコンセントを一箇所に集中させないこと。たとえば、壁掛けテレビの場合は、テレビ裏に配線が納められるようにコンセントの位置や高さの調整が必要です。また、テレビボードなどを使う場合は、テレビボードとコンセントが重なり使えない・使いづらいといった事がないようコンセントと接続する機器の位置を考え、コンセントの増設位置を決めましょう。
その他、リビングでは季節に応じて扇風機、電気ストーブ、ホットカーペットや空気清浄機なども使用するため、テレビのコンセントとは反対側に、2つ以上コンセントを増設しておくとよいでしょう。
寝室・個室のコンセント増設
寝室・個室のコンセント増設は、テレビ、パソコン、エアコンを使用するかをまず検討しましょう。
おすすめの増設位置ですが、エアコンを設置をする場合は、エアコンの設置位置を検討し、その周辺に専用のコンセントの設置をするとよいでしょう。
テレビを設置する場合は、テレビの設置を考えている場所でテレビ台などに隠れない位置に、アンテナ端子付のコンセントを増設するとよいでしょう。
スマートフォンなどモバイル機器を使用する場合は、机やベッド、サイドテーブル付近にUSB付のコンセントを用意しておくと便利でしょう。机やベッド、サイドテーブルなどの高さを考慮し設置位置を検討しましょう。
屋外のコンセント増設
屋外コンセント増設のおすすめ位置をご紹介します。
玄関や勝手口付近に屋外コンセントを増設する場合、防犯カメラやセンサーライトといった防犯設備の設置に便利です。また、玄関周りをイルミネーションで飾りたいといった使い方なども可能です。
お庭のお手入れで、電動芝刈り機などを利用したい場合には、お庭付近へ屋外コンセントを設置すると便利です。
どういった利用が想定されるかを検討し、その用途にあった場所に設置するとよいでしょう。
将来を見据えてコンセント増設を考えよう!
■差し込み口の位置を考える
コンセントを増設する場合は、無闇に増やすのではなく生活動線を考慮して増設位置を決めることが大切。例えば掃除機などをかけることを考えて、廊下に近いドア周辺にコンセントの差し込み口を作ったり、常夜灯を利用するために階段周辺に差し込み口を増設するのも良い方法です。
■使用用途を考える
リビング周りや在宅ワークスペースであれば増設時に差し込み口の数を増やすだけでなく、インターネットに利用も可能なマルチメディアコンセントへの変更も考慮してみましょう。
■壁や床のリフォームと合わせて行うと効率的
壁に穴を開けて配線を伸ばす増設工事の場合は、合わせて壁紙の張り替えなどを行うと仕上がりがきれいになります。またこの機会にアクセントクロスなどを用いたリフォームも行うと、住まいの内装も自分好みに変更することができます。
まとめ
コストも比較的安く、短期間で行えるコンセントの増設。
ただし、こうした増設工事には「電気工事士」の資格が必要です。DIYなどで行うと、思わぬ事故や火災、怪我の恐れがありますので、必ずリフォーム会社などに相談するようにしましょう。
ナサホームではコンセントの増設はもちろん、増設工事に伴う壁や天井・床面のリフォームもトータルに提案いたします。
「家電製品が増えて、コンセントが足りない」「コンセント位置が遠くて、不便に感じる」とお悩みの際は、ぜひ弊社までご相談ください。