エコで暖かい&涼しい住まいを作る発泡ウレタンの吹き付け断熱

住まいの断熱や気密性を高めることは、真夏や真冬の室内の温度を一定に保ったり、光熱費が低減したりと、快適な住まいづくりにつながる優しくエコな手段。 その断熱や気密性の向上に役立つ素材が、発泡ウレタン。住まいに発泡ウレタンを吹き付け工事するときのポイントや、プロの施工でどのくらいの費用がかかるのかといったポイントを紹介していきます。


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発泡ウレタンの基礎知識

発泡ウレタンとは?

断熱に使用される発泡ウレタンとは、ウレタン樹脂に発泡剤を加えてプラスチック程度の硬さまで固体化させたものです。その名の通り、気泡を多数内包しており、この気泡によって熱や冷気を遮断することで断熱効果を発揮します。また、発泡ウレタンは、吸音や防音素材、緩衝材として使用されることもあります。

なお、建築やリフォームに使用される発泡ウレタンには大きく分けて以下のような4つの形状が存在します。

■硬質発泡ウレタンボード
FP板とも呼ばれるもので、建築物や、冷凍・冷蔵施設の断熱材として
使用される他、自動車などの内装部材としても使用されています。
この硬質ウレタンは板状に成形して使用されることの多い素材です。

【メリット・デメリット】
硬質発泡ウレタンボードのメリットは、ボード状のため施工がしやすい点。建物内の断熱材として、壁や床、天井など平らな場所には容易に敷き詰めることができます。デメリットとしては曲面やカーブなどへの施工がしにくく、また建物が経年劣化で変形した際にその変形に対応できずに隙間を生じてしまう点などが挙げられます。

■液体状の発泡ウレタンフォーム
吹き付けによる断熱工事に使用されるのがこちらの液体状のウレタンフォームになります。液体状ウレタンフォームは異なる薬剤を現場で混ぜ合わせて機械によって吹き付けることで断熱際の施工を行います。

【メリット・デメリット】
液体状の発泡ウレタンフォームの最大のメリットは、施工場所を選ばない点。液体を吹き付けるため曲面や凹凸のある場所などにも断熱施工を施すことができます。デメリットとしては、吹き付けに高い技術が必要となること、また液体となっているウレタンフォームの硬化が1〜数時間と非常に早く、熟練の技術者による素早い施工が必要になります。

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発泡ウレタンによる吹き付け断熱施工の手順

泡ウレタンの吹付けでの施工方法

住まいのリフォームで発泡ウレタンの吹き付け工事が適しているのは、壁内部や天井裏、床下など。主に断熱を目的として行われます。なお、発泡ウレタンによる吹き付け断熱施工を専門業者に依頼した場合、以下のような手順で工事が行われます。

■事前準備・清掃
まずは、施工する壁面の素材が、木材なのかコンクリートなのか、金属なのかを確認。
さらに、発泡ウレタンの吹き付けを行う際、壁面や床面に油分や水分、ほこりなどの汚れがこびりついていると、発泡ウレタンが密着しづらくなり、施工後の剥がれなどの不具合が発生することがありますので、事前に清掃し、しっかりと乾燥させます。
また、発泡ウレタンの吹き付け工事の場合、トラックからホースを引き込んで作業をするため、事前に施工場所の近くに十分な駐車スペースを確保しておく必要もあります。

■養生
発泡ウレタンが付着してはいけない窓のサッシや額縁、配管。仕上げ材、素地面などにビニールとマスキングテープを貼り付けて養生していきます。

■発泡ウレタンの準備
マスクや保護メガネ、防護服、手袋などの保護具を身につけた上で、風通しを確保。
その上で、ウレタン樹脂と硬化剤を混合して発泡を促進させていきます。このとき重要なのは作業環境の温度と湿度の管理で、おおよそ温度は15〜30℃、湿度は40〜50%を保っておかないと施工にムラが出やすくなります。

■吹き付け作業
トラックからホースを引き、先端にスプレーガンを装着して液状の発泡ウレタンを吹き付けていきます。吹き付けられた発泡ウレタンは、数秒で発泡・膨張し、数分で硬化が始まります。なお、発泡ウレタンは吹き付けた直後に20〜30倍に膨張するため、初めは少量から吹き付けを始めていきます。

■厚みのチェック
吹き付け作業中に、施工後に想定した厚さ(通常は1〜3cm程度)が確保できているかを測定器やピンを使ってチェックしていきます。このとき、一部分だけ厚くし過ぎて、中に隙間ができてしまうと断熱効果が低下する恐れがあるので入念に検査を行ってきます。

■硬化と仕上げ
吹き付けた発泡ウレタンが完全に硬化したのが確認できたら、下地に付着してしまったり、余分につき過ぎてしまったりした発泡ウレタンをカットしていきます。

■確認と片付け
最後に再度、吹き付けた発泡ウレタンの厚さや密着状態を確認します。隙間や断熱効果が足りない部分があれば、追加で吹き付けることもあります。
問題なく施工できているようであれば、養生を撤去して、周囲のゴミを清掃してきます。最後に吹き付け面に隙間がないかなどをチェックして吹き付け作業は完了です。

■住宅の壁や屋根、天井、床:
発泡ウレタンは住宅の断熱材として非常に有効で、家全体のエネルギー効率を向上させます。

■工場や倉庫
広い面積を効率よく断熱できるため、温度管理が重要な施設での利用が適しています。

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発泡ウレタンの吹き付け施工の価格と断熱に使用される主な素材


発泡ウレタンの吹き付け施工費用は、使用するウレタンの種類や施工面積、ウレタンの厚みなどによって異なってきます。
住まいの壁・床・天井に吹き付け工事を行う場合の一般的な施工価格は、1㎡あたり 3,000円〜8,000円程度です。 30㎡ほどの住まいの壁の内側に断熱処理を行おうと思った場合は、おおよそ9万〜24万円ほどの費用が必要となってきます。

発泡ウレタン以外で断熱に使用できる主要な素材

曲面などに使用でき、また施工も1〜2日程度で完了するため、比較的短時間で行える発泡ウレタンの吹き付け施工の魅力。こちらでは、住まいの断熱を検討される方に向けて、発泡ウレタン以外に採用されることの多い素材について紹介していきます。

■グラスウール
ガラス繊維を使用した断熱材で、コストパフォーマンスに優れ、耐火性や防音性も高いのが特徴ですが、湿気には弱く水分によって性能が落ちてしまうことがあります。また、施工時にガラス繊維が飛散すると、肺や皮膚に健康被害が発生してしまうこともあります。

■ロックウール
高温で溶かした鉱石を繊維状にしたものがロックウールです。耐火性が非常に高く、断熱・防火に高い効果を発揮します。こちらもグラスウールと同じく、コスト的には安価なのですが、湿気や水分によって性能が低下しやすい素材です。

■ セルロースファイバー
古紙や新聞紙をリサイクルして作られる断熱材です。環境に配慮されている点と吸湿性が高いのが特徴で、断熱性や防音性能にも優れています。ただし、施工に専門的な技術が必要な上、グラスウールなどと比べてややコストが高いのも難点です。

■ポリスチレンフォーム(EPS)
発泡スチロールを使用した断熱材です。北極で長年使用しても劣化が見られなかったという長期耐久性と優れた断熱性、さらに軽量で施工しやすい点も魅力です。ただし、耐火性は低く、防火目的としては不向き。また紫外線によって劣化するため、日光に当たる箇所には施工できません。

■真空断熱材
パネルの内部を真空にした断熱材で、近年では省エネ住宅や業務用の冷蔵庫などで活用されています。非常に高い断熱性能を誇り、また軽くて薄いという特徴もあるのですが、価格も非常に効果なうえ、衝撃などによって真空状態が保てなくなると、一気に性能が落ちてしまいます。

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まとめ

コストが比較的安く、対応可能な場所や下地の素材の幅も広い、吹き付けによる発泡ウレタン。断熱によって光熱費を抑え、住まいをエコで快適な空間にリフォームしたいという方にお勧めしたい方法です。ただし、発泡ウレタンの吹き付けには、事前の現地調査と計画立案が必要となりますので、施工をご依頼の際はまず、ナサホームまで事前の現地調査とお見積りのご依頼をお願いいたします。