メンテナンスの間隔が約10年といわれておりますが、塗料の効果がきれてしまったりきれかかってしまっている時に、塗り替えの時期だということを確認できる方法がいくつかあります。塗料がどのような状態にあるときに異変が生じているサインなのか、また塗膜だけでなく建物の構造や部分箇所の様子も合わせて、目で見て触れてチェックしてみましょう。
症状1:チョーキング現象
外壁や屋根の表面を手で触れたときにチョークのような粉っぽいものが付着することがあります。塗料の成分である顔料(色をつける成分)が劣化により表面にあらわれる現象です。塗料の保護効果や防水効果が低下しているので、外壁にダメージを受けやすくコケやカビなどの症状へ発展する恐れがあります。
症状2:ヒビ割れ
揺れや振動によって、外壁にクラックと呼ばれるひびが入ってしまう現象ですが、ひび割れの程度には2種類あります。髪の毛の細さ程度(0.3mm以下)のひび割れはヘアークラック、0.3mm以上のひび割れは構造トラックと呼ばれています。ヘアートラック程度の非常に細いひび割れなら、塗膜の経年劣化によるものが多く、柔軟性を取り戻す下塗り材で埋めてしまうことができます。
一方、構造トラックは建物の防水性に関わる比較的深刻なひび割れで、放置することで割れから雨水が外壁内部に浸水し、雨漏りや鉄部分に錆を引き起こす恐れがあります。
症状3:コケ、カビの発生
塗膜が劣化して防水性が低下すると雨水が浸水しやすくなるので、表面にコケやカビや藻が発生することがあります。さらに既にコケやカビや藻が発生している場合で経年劣化を起こしている場合は、雨漏れを起こす可能性も高くなります。
症状4:塗膜の浮き、剥がれ
塗料の耐用年数が過ぎて塗膜が浮いたりはがれてきてしまうと、壁内部に雨水が浸み込み、雨漏りを引き起こす原因になります。また、塗装の際に下塗りをしない、塗装前に壁表面の異物除去をしなかったなど手抜き工事が行われた場合も、塗装後すぐに塗膜剥離があらわれる可能性が高いです。
症状5:コーキング材(シーリング材)の劣化
コーキング材とは、建物の防水性や気密性を保持するためにサイディングのつなぎ目や隙間に用いる材料のことです。これが劣化すると雨水が壁の中に入り、建物の寿命を縮めることになります。
家の外壁を守ってくれている塗膜(塗料に上記の症例を見ていただき、塗り替え時だと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。外壁工事は基本的にはどれも同じで、足場設置→洗浄→塗装という流れで進みます。職人さんの施工技術や工事品質によってかわってくることもありますが、工事の際に使用する「塗料の種類」によって施工の質が大きくかわってきます。各塗料の特徴を頭に入れておくことは、どういった塗料が自宅に合っているかを判断する材料になりますので、よく使う種類を以下確認してみましょう。
塗料の種類や機能はお分かりいただけたところで、希望の塗料はどうやって見つけたら良いでしょうか。何を基準に選べばよいのかお困りの方は、以下に紹介するいくつかの選ぶ基準を参考にしてください。
「保護機能」から選ぶ
耐久性
塗料選びに迷う方は外壁を長持ちさせることに重点をおき、耐久性をもつ塗料を選ぶことをおすすめします。塗料は樹脂の違いによって価格や耐久性が異なります。安い塗料を選ぶと耐久性が低くなるので、次に塗り替えをするサイクルが早まってしまい、長期的に見ると費用がかさんでしまうといったケースもあります。塗装工事には、足場代や人件費、そのほか諸費用などかかってくることを考えると、耐久性の高い塗料を選んだほうが手間が少なくお得だということがわかります。
防水性
防水性の高い塗料は一般的なものよりも弾力性に優れています。外壁にひび割れが入ると、塗膜が上からカバーすることで雨水の侵入を防いでくれます。家を水の侵入から保護する観点からみると非常に重要な役割です。
遮熱性
太陽光を跳ね除けて熱さを塗膜に浸透させず、室内温度を低く保ってくれるので夏でも快適に過ごすことができます。熱による塗膜へのダメージをおさえることができるので、寿命が長く、光熱費の節約にもつながります。自治体によっては、遮熱系の塗料を使うと補助金を出してくれるところもあります。
「美観機能」から選ぶ
低汚染塗料
親水性(塗膜に水がなじみやすい)という性質をもち、塗膜にしっかり水が付着することで塗膜面についた汚れを雨で洗い流してくれます。雨がふるたびに外壁がきれいになるので、メンテナンスの手間が省けます。また、太陽の光を使って汚れを落ちやすくする光触媒塗料にも親水性があり、空気中の汚れや臭いがつきにくくなる空気清浄効果や防藻・防カビ効果を発揮してくれます。
クリヤー塗料
色がついておらず透明の塗料でコーティングします。外壁を現状の状態のまま長持ちさせることができ、明るくツヤのある保護膜を作ります。チョーキング現象が生じず、汚れがつきにくいです。
外壁の種類から選ぶ
希望の塗料は見つかったけど、ご自宅の外壁に合わなかったらもともこもないですよね?保護機能や美観機能の観点からでもイメージがわかなかった方は外壁の種類から選んでみるのもよいでしょう。ここでは外壁の種類と相性のよい塗料をご紹介します。
窯業系サイディング
セメントや砂が原料でコンクリートのイメージに近いです。近年の一般住宅ではもっとも多く使用されています。機能性やデザイン、コストパフォーマンスに優れ、色や柄のパターンが多く施工もしやすいです。サイディングは継ぎ目があるので約5~7年ほどでコーキング材が劣化してしまいます。コーキング材を長持ちさせるために防水機能のついた塗料や熱を跳ね除けてくれる遮熱性の機能をもった塗料がおすすめです。
モルタル下地
砂とセメントと水を練り混ぜて作られます。サイディングと違って継ぎ目がないので、どんな形状の外壁にも対応ができ、デザイン性が高いです。ただし防水性が低く、ひび割れが起こりやすいので水の侵入による雨漏れが発生しやすいです。防水性を強化してくれる防水塗料やひび割れをカバーしてくれる弾性塗料がおすすめです。
金属サイディング
表面はスチール板など、裏面には断熱材が施された金属製のサイディングのことです。断熱性や耐震性に優れておりますが、金属なので錆が発生したり熱の影響をうけやすいです。防錆性のついた塗料がおすすめです。
ALC(軽量気泡コンクリート)
高温圧縮で蒸気養生され、内部には小さな気泡がたくさんあります。耐火性・耐震性に優れていますが、吸水性が高いので一度水が入ってしまうとひび割れを起こしやすいです。水の侵入を防いでくれる防水塗料がおすすめです。
カラーから選ぶ
デザイン性を重視するなら、カラー選びは欠かせません。どんな色にするかは簡単なようで、失敗してしまうことも多々あります。
たとえば、手元にあるキャンバスに絵を描いて色を塗るのと、家といった大きいものに色を塗るのとでは、同じ色を使ったはずなのにイメージが全く異なって見えます。また、汚れが目立つ色だったり、玄関ドアや屋根の色が合わないなど、塗装後に気づき後悔してしまうこともあります。以下に人気のイメージのパターンをいくつかご紹介しますので、カラーコーディネートの参考にしてください。
ベージュ系
1番人気、優しいイメージです。環境になじみやすく、周囲との調和性を大切にしたいならこの色です。玄関ドアやサッシなどの付帯部を黒や濃い茶色にすることでベージュが引き立ち、メリハリのついた外観になります。また、真っ白な外壁よりもベージュのほうが汚れが目立ちにくいです。
ホワイト系
2番人気、清潔感のある開放的なイメージです。どんな色とも相性がよくベージュ同様、周囲になじみやすい色です。明るい青や黄色、オレンジなどを組み合わせると華やかさを、黒などの暗い色と合わせると全体にメリハリを演出することができます。色あせは目立ちにくいですが、汚れが目立ってしまうのが難点です。
グレー系
3番人気、落ち着いた大人っぽいイメージです。柔軟性のある色味で、白に近づけて明るくすれば清潔感を出すことができ、暗くすればシックな重厚感を出すことができます。周囲ともなじみやすく、汚れも目立ちにくいです。
外壁の塗り替えにかかる費用相場を知っておきましょう。費用相場がわかると、どのくらいのお金が必要なのかイメージしやすくなるので、業者に依頼した見積もりがご自身の希望に合っているかどうか判断ができるなど、スムーズに事が運びやすいです。
一般的に日本で多いとされる30坪の戸建て住宅の価格中心帯は、80~150万円(屋根塗装を含まず)です。
この額はあくまで目安の数字となります。使用する塗料の種類やご自宅の面積、劣化の具合などさまざまな要因によってかかってくる費用は変動しますので、費用の内訳を確認することでおまかな予算をイメージできます。
※外装の費用内訳
= 塗料代 +工事代(人件費)+ 足場代 + 利益
外壁塗装の工程は期間と工程の順番があらかじめしっかり決まっています。1つずつの工程をしっかり丁寧に行ってくれているかどうかは、ご自身が見極めることで信頼のおける業者なのかを判断できるポイントの1つです。
1日目:足場を組む
職人が安全に作業するために、工事の安全性を高める足場を組みます。
2日目:塗装前の洗浄
高圧洗浄機を使って外壁の汚れやほこりを除去します。新しい塗装の機能を発揮させるための大事な作業です。
3~4日目:下地処理
ひび割れ箇所を修復したり、錆を取って塗装面を整える「ケレン」という作業を行います。とくに問題がなければ1日で完了しますが、劣化が進んでいる場合は数日かかっていまうこともあります。
5~7日目:塗装作業
塗装の工程は3回塗りでまず、「下塗り」を行います。シーラーという下地強化剤で丁寧に塗ることで、塗料の剥がれを防ぎ、後の工程の土台をしっかり作ります。下塗りが完全に乾いたら次は「中塗り」「上塗り」作業です。
8日目:点検、手直し
塗り残しや塗りムラがないかを点検し、最終的な確認を行います。
9日目:足場解体、清掃
外壁の施工が終わった後、足場の解体と清掃作業を行います。
「外壁塗装の基礎知識」をお読みいただき、外壁塗装の必要性をご理解いただけましたでしょうか?ご紹介した塗料選びのポイントや工事の工程、費用相場などは知っておいていただきたい最小限の知識となりますが、小さな知識でも外装工事の成功への道しるべになってくれることは間違いないでしょう。
塗り替え時期がきたら、まず業者に電話。というのも間違いではありませんが、その前に自身でご自宅の様子を確認し、ご希望をイメージし、メモに留めておきましょう。そうすることで、のちのちの業者とのお話がスムーズに運び、最終的に満足する結果が得られることが多いです。
なにから確認すれば良いかわからない、おおよその金額を教えてほしいなど、
「ご相談は無料」となっておりますので、お気軽にご相談ください。