新素材『オコシコン』、その魅力とは?
駐車場など面積の広いコンクリート舗装のコストパフォーマンスを考えたとき、選択肢の一つとしておすすめなのが『オコシコン』なのです。
オコシコンってどのような素材なの?
オコシコンは「透水性コンクリート」と呼ばれる製品の一種です。通常の土間コンはすき間や空洞がなく水を通しませんが、透水性コンクリートはポーラス構造という粒と粒の間にすき間が空いており、水を通す性質があります。
従来から透水性コンクリートはありましたが、オコシコンはセメントの量を減らさず強度を維持したうえで、コストダウンを実現しています。
オコシコンの名前は、表面の見た目が和菓子の『雷おこし』のイメージに似ていることからきています。
オコシコンのメリット&デメリット
実際にオコシコンを使うことで、どんなメリットがあり、注意すべきデメリットがあるのでしょうか。
■オコシコンが持つたくさんのメリット
① 水たまりができない
水を通さない土間コンでは、雨が降れば水たまりができてしまいます。透水性のあるオコシコンなら、水たまりができないのでクルマや靴が濡れる心配を減らせます。
② 雨で滑りにくい
土間コンは表面が滑らかなので、雨が降った後などは滑りやすくなります。オコシコンは表面に凹凸があるのでスリップしにくく、お年寄りやお子様が滑って転ぶリスクを減らす効果があるのです。
③ 雑草、カビ、コケが生えにくい
オコシコンは水が溜まらず抜けきることに加え、ポーラス構造は雑草やカビ、コケが根付きにくくなる効果もあります。
雨水による汚れやカビなどの発生が抑えられ、雑草処理が不要なので特別なメンテナンスは必要ありません。
④ 地面の温度上昇を抑える
オコシコンは遮熱性が高く、地面の温度上昇を軽減する効果があります。
アスファルト舗装と比べると夏場では約10℃も低くなるというデータもあり、ヒートアイランド現象を抑え、地球温暖化への対策にもつながります。
⑤勾配なしでも施工できる
土間コンの舗装は水が流れる勾配(傾斜)をつけて施工しなければなりません。その点オコシコンなら、水を通すので傾斜なしでフラットに舗装できます。そのため立地的に勾配が取れない場所や、犬走り(外構部分)などでも施工可能です。
⑥工事費用が抑えられる
勾配施工が不要なので、そのための盛り土や大掛かりな排水設備がいりません。その分工事費用を抑えられるのです。
⑦ 狭いスペースでも施工できる
側溝などの排水設備を作る必要がないので、隣家との境の狭い敷地などでも施工することができます。
⑧ 耐久性が高い
土間コンに比べて、ひび割れや色むらが起きにくく耐久性に優れています。また、アスファルトのように軟化したり油臭くなったりすることもありません。
⑨ 見た目がきれいに保てる
カビやコケなどによる汚れが抑えられるだけでなく、タイヤ痕が目立ちにくい特徴があるので見た目のきれいさが保てます。さらに施工後にお好みの色で自由に塗装することも可能です。
⑩施工が早い
オコシコンは数時間から半日程度で施工できます。また、土間コンは固まるまで3日間程度は立ち入りできませんが、オコシコンなら数時間後には歩行可能(車の乗り入れは1週間後程度必要)です。
■オコシコンの注意すべきデメリット
①コストが割高
材料費だけで比較すると、オコシコンは従来の土間コンに比べて2倍以上の値段になることがあります。
ただ、オコシコンは土間コンよりも施工工程が少ない(ワイヤーメッシュ不要、左官仕上げ不要など)ので、施工費用は安価になります。
※ワイヤーメッシュ:土間コンのひび割れ防止や強度の補強に用いられる鉄筋を縦・横に組んだもの。
② 仕上げに多少の凹凸がある
透水性コンクリートのため、材料の構造上、仕上げに多少の凹凸ができます。歩くとわずかにゴツゴツした感触があるかもしれません。
完全なフラット仕上げではないため、厳密に水平を保つ必要がある機器などの設置の際には注意してください。
③ ツルっとした見た目にならない
オコシコンは白とグレーの中間のような色調です。コンクリートのツルッとした白い仕上がりにはなりません。前述したように、施工後に好みの色に塗装することは可能です。
④ 目詰まりを起こすこともある
透水性コンクリートは経年により、雨や風などによる汚れなどで目詰まりを起こすことがあります。特に畑など大量の土砂に囲まれた環境では目詰まりが起きやすくなります。排水機能を保つために、高圧洗浄機などで流し落とせばいいでしょう。
⑤ 施工業者が少ない
舗装材といえば土間コンが一般的なため、比較的新しい素材のオコシコンを扱う施工業者が少ないというハンデがあります。そのため業者が遠方になったり余分な費用が発生したりする可能性があります。
オコシコンの最適な使い方と場所
家の駐車場やアプローチなど面積の広い部分の使用だけでなく、オコシコンには透水性を活かした次のような使い方もあります。
■スリットに使って雑草対策
土間コンには伸縮やひび割れを吸収する細長いスリット部を設けますが、雑草が生えてきて手入れに苦労させられます。このスリット部をオコシコンで埋めれば、雑草が生えてくるのを防げます。
■湿気の多い犬走りに
建物の陰になって、狭くて湿気が溜まりやすい犬走り(外構部分)は、カビやコケが生えやすくなります。また、狭いため掃除をするのも苦労します。オコシコンを施工することで、雨水は透水し、じめじめしない環境に変えることができます。
■オコシコンとオワコンの違い
オコシコンと同じ透水性コンクリートの仲間で、『オワコン』と呼ばれる商品があります。オコシコンと違い、細骨材(砂)が造粒されることで骨材(砂利・砕石)の安定性が高く、施工中の保水による施工のしやすさが特徴です。
もちろん水を通すので水たまりができず、滑りにくい性質を持っています。表面は粒々でザラザラした感じです。
ただしオワコンは、強度が低いので駐車場のように車が上に乗ることは想定していません。最大の特徴は低価格、オコシコンの約半額。耐久性があり劣化もしにくいので、従来の防草シートに代わって雑草対策に最適と言われています。
オコシコンとはまったく違う性質なので、適材適所を考えて選択してください。
オコシコンを使用する金銭的なメリットはあるか?
オコシコンと通常の土間コンの価格を比較してみました。
オコシコンVS土間コンの価格比較
■材料コスト比較
まずは材料価格を比較してみます。オコシコンの価格は生コンクリートの約2.7倍です。
<店頭価格(参考)>
・オコシコン
単価40,000円~/㎥
・生コンクリート
単価15,000円~/㎥
■施工コスト比較
オコシコンは短時間(1〜2時間)で施工できます。一方、土間コンは丸1日の作業になるだけでなく、さらにワイヤーメッシュ敷設などのコストと手間(事前作業)がかかります。
施工面ではオコシコンに優位性がありますが、材料費と施工費の合計では、オコシコンのほうが約1.3倍の費用が目安です。
<簡易駐車場(~20㎡)での比較>
・オコシコン
施工費約7万円+材料費約13万円=合計約20万円
・土間コン
施工費約10万円+材料費約5万円=合計約15万円
オコシコンの施工をおすすめしないケース
様々なメリットを持つオコシコンですが、施工に向いていない場合もあります。
排水に問題がない場所
排水に問題がない場所には、オコシコンを採用するメリットはそれほどありません。
2 周囲に畑が多い
家の周辺に畑など大量に土がある場合、オコシコンの粒のすき間に土や砂埃が詰まり、透水性を確保できないことがあります。
3 大雨が降ると水浸しになる
ゲリラ豪雨や台風の際、水が溜まりやすい地形にはおすすめできません。オコシコンの排水能力は地面に依存するので、もともとの水はけが悪ければ、透水性コンクリートの効果が発揮できないからです。
4 駐車場にカーポートを設置する場合
駐車場の大部分をカーポートテラスなどで覆うと、雨はカーポートの雨樋から流れていきます。そのためオコシコンの透水性のメリットが活かされません。
まとめ
従来の土間コンと新素材オコシコンについてご説明しました。舗装の場所や使い方など適材適所を考えて施工の選択肢が広がります。さらに詳しくお知りになりたい方は、ぜひお気軽にナサホームにお声掛けください。施工事例を交えてご提案させていただきます。