異常が出る前にチェック&交換。配管リフォームのすすめ

水やガスを適切に住まいの中に届けることで快適な暮らしに貢献してくれている給排水管。 重要な役割を果たしているにもかかわらず、住まいの中では内装や家具ほど目立たないため、経年劣化や隠れた問題に気づくのが遅くなってしまう箇所でもあります。 みなさんも長年住んだ住まいで、「水道から赤茶色の水が出た」「水の出が悪くなった」という経験をしたことがあるのでは? 長く安全に水道を利用し続けるためには、こうした問題が出る前に配管のリフォームを行うことが肝心。今回は配管に起こるトラブルや、リフォームの方法などについて詳しくご紹介してまいります。


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配管には寿命があるって知っていましたか?


給水管や給湯管などの住まいの配管は、一度設置してしまった後はいつまでも使えるものと思ってしまいがちですが、実はこれらの配管も劣化するため、定期的なリフォーム時が必要なのです。

配管の種類

一般的に住まいの中で使われる配管には以下の3種類があります。
■給水管
水道局の配水管から家庭へ上水を流すための管。

■給湯管
給湯設備から、台所・浴室・給湯式床下暖房などで温水を運ぶ管。

■配水管
家庭で出た生活排水を下水道に流すための管。

配管の寿命とリフォーム時期

配管の耐久年数は?

給排水やガスなどの配管は、使用されている素材によってその耐久年数が異なります。
かつては鉄や鉛、銅などの金属製のものが使われていましたが、近年ではこうした金属管は使用されることがほぼなくなっており、これに変わって塩ビなどの樹脂製の配管が使われるようになってきています。

■金属製の配管の耐久年数
鉄製の配管は、高い耐震性がありその耐久年数は15〜20年。ただし錆に弱いため、近年ではほぼ使われなくなっています。鉛製の配管の場合も、鉄と同様に耐久年数は15〜20年。鉛管は漏水しやすく、鉛による健康被害も懸念されることから1978年から使用禁止となっています。現在も住まいの配管に鉛が使用されているという場合は速やかにリフォームによる交換を行いましょう。
温水を通す給水に使用されることが多い銅製の配管の耐久年数は20〜25年。
現在でも比較的配管の素材としてよくみられるのは、ステンレス製のもの、これは耐久年数が30 年以上。ステンレスは錆に強く丈夫なため、半永久的に使えると言われていますが、配管の継手として使用されるパッキンなどは30年程度で劣化するため、交換が必要です。

■樹脂製の配管の耐久年数
樹脂製の配管で一般的なものは「塩ビ管」とも呼ばれる硬質ポリ塩化ビニル製で、安価なものの熱変化や衝撃にやや弱い「VP管」や衝撃に強いものの熱の変化に弱い「HIVP管」、衝撃にも熱変化にも強い「HTVP管」などの種類がありますが、いずれも耐久年数は20〜25年ほど。
塩ビ管以外の素材としては、加工性・耐久性・熱の変化にも強いポリエチレンの管もよく使われており、こちらの耐久年数は30〜40年ほどと言われています。

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配管リフォームを行う必要がある場合

劣化した配管を放置すると起きる問題

■赤茶色の水が出る
配管の劣化として最も気付きやすいのが水道から「赤茶色の水が出る」というもの。これは鉄製の配管などの内部の、錆や腐食部分が水に混入した結果です。ただし、この通称「赤水」は家庭の配管だけでなく、水道局の区分の配水管近くで、工事があったり消火栓を使用した場合にも起こることがあります。水道局などに確認して、工事や消火栓の使用がないという場合は、速やかに配管の交換を行いましょう。

■水が漏れる
配管が劣化したり、配管同士の継手のパッキンが緩んだ場合に起きる水漏れ。放置すると、配管周りの湿度が上がり、カビが生えやすくなるほか、重度の漏水は、家具や家の基礎が傷んだり、場合によっては階下に影響が出ることも。

■水の出が悪くなる
掃除や洗浄を行なっても水の出が改善しなくなったり、詰まりや逆流が起きる場合も配管が劣化していることが考えられます。この場合もできる限り速やかに、配管のリフォームを行いましょう。

配管リフォームの流れ

配管の耐久年数が迫っている場合や、上記のような配管に異常が見られるという場合は、まずリフォーム業者などに依頼をして、配管状態をチェックしてもらいましょう。
配管調査では内視鏡による目視・写真確認、もしくは専用の機械を用いての非破壊検査を行います。ただし劣化や破損箇所が事前にわかっている場合は、配管を抜き取って直接調査する場合もあります。

古くなったり破損している配管を交換する場合は、一度壁や床を撤去して配管を交換します。またリフォームとして、配管位置を壁の中や床下に変更することも可能です。

■壁内に給排水管を設ける場合
給排水管を壁の内部に設置することで、配管を隠すことができるのが大きなメリット。また、水栓下のキャビネットの空間が広く使えるため収納力も高まります。ただし、壁の内部の空間は限られているため十分なスペースがない場合は、配管が細くなってしまうことも。また、床下への設置と比べて費用はやや割高となります。

■床下に給排水管を設ける場合
床下に給排水管を設置することのメリットとしては、ゆとりある床下空間を使って給排水管を太いものに変えたり、配管の勾配を緩やかにして詰まりにくくできる点。さらに、壁内への設置と比べてもコストが割安となります。ただし、床下に設置する場合はキッチンや洗面台の下に配管が通るため、収納スペースがやや狭くなることがあります。

マンション・戸建における配管リフォームの注意点

こうした配管のリフォーム工事を行う際、お住まいがマンションである場合はいくつか注意しなければならない点があります。

ひとつめはリフォームが可能かどうかという契約内容。マンションでリフォームが可能な箇所は、基本的に専有部のみですので、共有部に配管がまたがる場合はリフォームができないことがあります。また、床下のコンクリートスラブ内などに配管がある場合は、このコンクリートクスラブ事態の撤去が許されていないこともあります。

もうひとつは床の構造。構造物の躯体に床材を貼り付けている直床と躯体の上に空間がある、二重床の場合、二重床の方がリフォームのコストは安くなります。反対に直床の場合は、床を一旦撤去した上で工事しなくてはならず、工事期間や費用が割高となります。

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配管リフォームを行うための費用は?


戸建やマンション、それぞれの状況によって異なる配管リフォーム。こちらでは目安となるリフォーム費用を掲載しています。ただし、費用は配管の箇所や劣化具合、事前調査の内容によっても大きく異なりますので、下記を参考としてリフォーム会社などに見積りを取ることをおすすめします。

配管リフォームを行うために必要となる費用

■給排水管の一部を交換する場合
劣化した給水管の一部の交換:1mあたり10,000円〜
劣化した排水管の一部の交換:1mあたり15,000円〜

■給排水管の全体を交換する場合
劣化した給水管を全て交換:15〜20万円
劣化した排水管を全て交換:20〜30万円

■配管の移設
配管の移設に関しては、撤去する壁や床の面積や、直床・二重床などの別によって大きく異なりますので費用は10〜100万円程度となります。

水廻りのリフォーム時に配管を見直すのがお得!

配管リフォームはおおよそ20〜30年ごとに行う必要があります。リフォームに際しては、壁や床を一旦取り除くなとの大掛かりな工事になることも多いため、できるのであればキッチンや洗面所、トイレなどのリフォームもこの機会に行うと、それぞれのリフォームの手間とコストを上手に削減することができます。
水廻りを新しくしたいと思った時は、同時に配管も見直すチャンス。また、配管に異常を感じた場合も、住まいの設備をリフレッシュできるチャンスと考えて、リフォーム計画を立ててみましょう。

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まとめ

内装に大きく関わるものではなく、目にする機会も多くない住まいの配管。そのため配管のみのリフォームというのはなかなか想像しづらいものです。
しかし、長く住み暮らしていれば、いつかは配管も耐久年数の限界が来るもの。みなさんが安全に給排水を使い続けるためにも、定期的な配管の調査・交換・リフォームをおすすめします。