張り替え?それとも建具変更?障子リフォームの基礎知識

平安後期から存在すると言われる日本古来の建具である障子。 和室に使うとぐっと趣きがよくなる建具なのですが、和紙を使っていることから破れたり、定期的な張り替えが必要など、長持ちさせるための使用方法やお手入れには工夫が必要です。特に小さな子どもやペットのいるご家庭では、なかなか使いづらい障子ですが、近年では破れにくく強いものやお手入れの手間がかからないものも登場してきています。 今回はこの障子のある和室をより住み良い空間にするための、張り替えや変更といったリフォーム方法をご紹介していきます。


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障子のある部屋のメリット&デメリット


かつては和室のマストアイテムであった障子ですが、最近では和室に障子を使わないという方も増えています。まずは障子がもたらすメリットと、デメリットについて知っておきましょう。

障子の各部位の名称について

障子のリフォームに関する説明を深く理解するために、まずは障子の各部位の名称と役割を知っておきましょう。

■上桟(上框)・中桟(中框)・下桟(下框)
上桟は、障子の上部に横に渡された部位のこと、中桟は後述する腰板と障子をつなぐ部位、下桟は障子の一番下にある部位。強度の問題から、下桟が一番大きい寸法となっています。

■竪桟
竪桟は、上桟・中桟・下桟をつなぐ縦方向に渡された部位を指します。

■腰板
障子の下部分に足や調度品などが当たって破損しないように設けられた板。
障子の種類によっては、腰板のないものもあります。

■組子
竪桟と上下の桟の間に使われ、障子の特徴的な格子模様をつくる細い木材。
縦に渡されるものを竪子、横に渡されるものを横子とよびます。

■付け子
障子の竪桟と上下の桟の内側に設けられた部分。この付け子に糊と障子紙の端が付くことで張り代となります。

障子がもつ優れた効果

■多彩な種類で住まいを演出できる
障子は古くから日本建築の中で使い継がれており、その歴史の中で様々なバリエーションが生まれてきました。例えば大きなガラスがはめ込まれ、室内から庭の雪などを眺める「雪見障子」、組子が縦に並んだ「柳障子」、夏の日差しを遮るためにすだれを張った「夏障子」。これらを適切に選ぶことで、お部屋の中での住み心地がアップします。

■部屋が明るくなる
障子には障子紙という和紙が使われているため、外部からの光が和紙を通して淡く室内に差し込みます。そのため、ドアなどを締め切ると暗くなってしまうような室内でも障子を使えばほのかに明るく、優しい光による採光が可能となります。

障子のある部屋で気をつけたいこと

■破れる
障子に起こるトラブルで最多のものは、おそらく破れるという点になるでしょう。障子は和紙を張っているため、衝撃や水濡れに弱く、破れてしまうことが多々あります。特に、小さなお子さんやペットにとって、破れる障子は格好の遊び道具となってしまいますので注意が必要です。

■暑く、眩しい
南向きや西向きのお部屋では、夏などに障子紙がもつ断熱性能では十分に日光を遮ることができず、まぶしかったりお部屋の温度が高くなってしまうことがあります。

■洗えない・掃除に手間がかかる
カーテンのように取り外して洗うことができないのも障子の難点。さらに、組子部分に埃が溜まりやすいため、掃除に手間がかかると感じてしまう方もいるかもしれません。

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残す?それとも取り替える?障子のリフォーム方法


デメリットだけでなくメリットも多い障子ですが、暮らしの中でもっと使いよいものに変えようと思った際は、リフォームを検討してみるのも良い方法です。

障子を張り替える・補修する方法

現在お使いの障子が破れてしまったり組子が折れてしまったものの、そのまま使い続けたいという場合は、障子紙の張り替えや組子の取り替えによって補修することができます。また、こうした補修に合わせて、障子の桟にニスや漆を塗るなどのアレンジを加えると、お部屋雰囲気をガラリと変得えることができます。

デザイン性に優れた障子に変更する方法

障子紙は和紙でできているものというのは昔の話。最近ではプラスチックなどでできたものも多く、これらは衝撃に強いのが特徴です。また、もともとの障子を生かして組子の格子部分に色ガラスを入れたり、すだれにしたりといったリメイクをすると江戸や明治・大正時代を彷彿とさせる趣ある室内空間が出来上がります。

内窓やブラインドに変える方法

障子が窓からの入る日差しをさえ技きれず、室内が暑くなってしまう、眩しくなってしまうという場合は、障子を取り外し、その部分に内窓やブラインドを設置するという選択肢もあります。内窓にした場合、断熱性がアップするだけでなく、施錠もできるようになるため防犯性能もアップします。また、内窓には断熱性の高い和紙風のシートを貼り付けた障子調のアイテムも発売されていますので、これらを選ぶと従来のお部屋の見た目を変えずにリフォームが可能です。

和室を洋室にリフォームする

障子を完全に取り払って、お部屋のイメージを一新したいという場合は、思い切って和室を洋室に変更してしまうのも良い方法。畳をフローリングに、押し入れをクローゼットに変えるなど、大掛かりなリフォームとはなりますが、見た目も住み心地も全く違う、自分好みのお部屋を1からつくることができます。
ナサホームマガジンでも、和室を洋室に作り変えるコツをご紹介しておりますので併せてご覧ください。
和室を洋室に!マンションでもできるリフォーム例と費用を徹底解説

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障子リフォームにかかる費用の相場は?


さまざまな方法がある障子のリフォームですが、費用は方法によってどのくらい異なってくるのでしょうか。

障子の張り替え・補修費用

障子紙の張り替えを行う場合の費用は、1枚あたり2,000〜8,000円といったところ。
組子が折れてしまったり桟が割れてしまった場合の修理費用は15,000〜50,000円程度。これは破損の具合や障子の種類によって異なります。

デザイン性に優れた障子に変更する費用

障子を新たに設置する場合の費用は通常の荒間障子であれば1枚20,000円ほど、雪見障子などは30,000〜40,000円ほどの予算が必要です。これらは、選ぶデザインや形状によって異なるため、リフォーム会社と相談してみましょう。
また、障子紙を衝撃に強いプラスチックのものに変える場合は、障子紙の費用が3,000〜5,000円ほど、さらに張り替えで1枚あたり3,000〜8,000円の費用が必要です。

和室を洋室にリフォームする費用

和室を洋室に変える場合の費用は、和室の大きさやリフォーム箇所によって大きく異なります。詳しいポイントに関しては、過去のナサホームマガジンに掲載しておりますので併せてご確認ください。

和室を洋室に!マンションでもできるリフォーム例と費用を徹底解説

ナサホームでの障子リフォーム施工事例

■縦格子建具で明るい和室

襖で仕切られたくらい和室を、ガラス入りの縦格子に変更し、光が差し込む明るい部屋へとリフォームしました。

この施工事例の詳細はこちら

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まとめ

破れる、暑くなるとデメリットのある障子ですが、近年では障子紙の進化なども進み、機能的な商品も多く出回るようになっています。また、和モダンな空間が人気を博し、デザイン性に優れる障子をお求めになる方も増えてきています。
なお、障子の耐久年数は一般的に10年と言われておりますので、皆様もリフォームなどの機会に、一度障子の状態も一度チェックしてみてはいかがでしょうか。