崩れる、汚れる。古くなった砂壁・土壁のリフォーム方法は?

和室の壁として使われることが多い砂壁や土壁。自然素材ならではの風合いや職人の仕上げ技術によって異なるさまざまな表情が魅力ですが、その反面、衝撃や経年劣化によってヒビが入ったり、砂が落ちてお掃除が大変といったトラブルにお困りの方も多いようです。 この「砂壁・土壁をどうにかしたい」と考える方に向けたリフォームの方法をご紹介。壁紙や漆喰といった別の壁材を使った方法から、その費用感や注意点などまで詳しくご案内していきます。


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砂壁・土壁のメリットとデメリット


リフォームの種類や工法について検討する前に、今一度砂壁や土壁の特徴やメリット・デメリットについておさらいしておきましょう。

砂壁・土壁とはどのような壁のこと?

砂壁は、石膏ボートやモルタルなどの壁に糊と砂を練ったものを塗りあげたもので、和室や床の間などの壁に使われることが多いものです。
一方、土壁は下地から表面までを土でつくった壁のこと。土壁の原料には土のほか、藁などの繊維がある植物なども用いられています。

砂壁や土壁のメリット

■多彩な表現が可能
砂壁であれば色砂の色を変えたり、色ガラスや貝殻などの素材を混ぜ込むことで、土壁であれば土の種類や左官職人のコテ模様の付け方などで千差万別のテクスチャを表現することが可能です。

■耐火性が高い
砂壁や土壁は、燃えることのない素材のため火に強く、火災の延焼を防ぐ効果が期待できます。

■調湿効果がある
高温多湿の日本の環境で、砂壁や土壁が根強い人気を誇るのはこうした調湿効果への期待も大きいから。壁自体が湿度の高い時は吸湿し、反対に乾燥している時は加湿してくれるため、お部屋の中の湿度をある程度一定に保つことが可能です。

■アレルギーやシックハウス症候群になりにくい
砂壁や土壁は自然素材を用いており、また前述の調湿効果に加え、壁が湿気を吸湿する際にアレルギーなどの原因となるアンモニアやホルムアルデヒドなども併わせて吸収してくれるため、アレルギーやシックハウス症候群になりにくい環境が期待できます。

砂壁や土壁のデメリット

■掃除の手間がかかる
現在砂壁のあるお部屋にお住いの方が悩むことが多いのが掃除の問題。特に砂壁は、経年劣化や衝撃によって表面の砂が剥がれ落ちてしまうことがあり、日々の掃除の手間がかかります。
土壁の場合も表面の土が乾燥して割れたり、衣類やカーテンに付着するなどの影響があります。また、こうした経年劣化やひび割れを放置しておくと、そこにダニが住み着いたりカビが発生することもあります。

■施工・リフォームに費用がかかる
砂壁や土壁の施工は基本的に職人による手作業となるため、壁紙などの張り替えと比べると費用や工期がかさむ可能性があります。

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砂壁・土壁のリフォーム方法


経年劣化や剥離が見られる砂壁や土壁を「どうにかしたい」と考えた際に、どのような補修・リフォームの選択肢があるのでしょうか。

砂壁や土壁の補修・塗り直し

砂壁や土壁のメリットを生かし続けるのであれば、元の壁と同じ素材や似通った素材を使い塗り直しをするのがおすすすめです。
砂壁のリフォームの時期は、表面の砂が崩れやすくなったり、匂いが気になるような場合。リフォーム方法はまず、既存の砂壁を剥がし、土台となる石膏ボードやモルタル壁をむき出しにしてクリーニングを行います。その上で、新たに砂を塗り直していきます。
土壁の場合は、補修するのが基本。ひび割れなどがある場合はその箇所の範囲を調べ、下地となる土を塗り込み、乾燥させたのちに複数回に分けて薄く土の層を塗ってつくり上げていきます。

壁紙で覆う

もっとも手軽で費用がかからないのは、砂壁や土壁の上から壁紙やクロスを貼り重ねる方法。壁にヒビなどがないか、また砂や土が頻繁に落ちるような劣化が見られないかを確認した上で、左官作業で下地を作るか、壁の上にベニヤ板などを貼るなどして、その上に壁紙やクロスを貼り重ねます。近年の壁紙には、様々なデザインがあるだけでなく、抗菌や防音といった機能があるもの多いため、お部屋の模様替えに加えこうした機能の付与も期待できます。

珪藻土や漆喰で上塗りする

砂壁や土壁の上に、壁紙を重ねるのではなく、別の素材で壁をつくるという方法も選択肢のひとつ。例えば壁を珪藻土で塗り替えれば、お部屋の印象が変わるだけでなく、従来の壁が持っていた調湿性や耐火性に加え、脱臭の効果も期待できます。また漆喰で上塗りを行なった場合も、従来の機能に加えカビの発生を防ぐなどの効果が期待できます。しかしながら、珪藻土の場合はシミになりやすく、また表面がさらさらと崩れることがあります。漆喰の場合も衝撃によってヒビが生じる場合もあります。別の素材で塗り替える場合は、費用に加えこうしたメッリットデメリットも十分に検討してから依頼されることをおすすめします。

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DIYよりも専門業者に依頼する方が良い理由


近年ではこうした砂壁や土壁のリフォームをDIYで行う方もいらっしゃるようですが、リフォーム後のトラブルなどを防ぐためにはやはり、専門のリフォーム業者や職人に依頼するのがおすすめ。こちらでは、DIYで砂壁や土壁を行う際のリスクと、業者に依頼した場合の費用や工期などについて紹介していきます。

砂壁・土壁の補修やリフォームをDIYで行うことのリスク

■砂壁や土壁の状態の把握が難しい
塗り替えや壁紙を重ねる場合、最初に砂壁や土壁の傷や経年劣化の状態を見る必要があります。この時、深い傷がある場合はまずその場所の補修が必要となりますし、表面に大きな凹凸や浮きがあれば下地処理の必要が生じます。
この判断の見極めはDIYでは難しく、下地が整っていない場合に上塗りをしたり、壁紙を貼ってしまうと剥離する原因となります。

■スイッチやコンセントなどの電気配線処理ができない
壁にスイッチやコンセントが埋め込まれている場合、壁の処理に加えて電気配線の対応も行わなくてはいけません。配線工事やコンセントの取り付けや取り外しは資格が必要な危険な作業なのでDIYで行うのは難しいと思われます。

■漆喰や珪藻土の塗り替えには専門知識と技術が不可欠
漆喰や珪藻土に塗り替える場合は、こうした素材の知識と左官の技術が必要です。また漆喰や珪藻土はメーカーごとに性質や塗り方が異なるため、DIYで行うとひび割れや凹凸の多い、美観や耐久性のない壁となってしまいます。

砂壁・土壁のリフォームにかかる費用はどのくらい?

■砂壁の塗り替え
砂壁を調査し、剥がした後に塗り替える場合の費用は6畳ほどで8〜10万円程度。工期は2〜4日ほどとなります。

■土壁の補修
土壁の場合は傷や損傷によって費用が大きく異なるため、費用の算出には事前の調査が必要です。また土壁は乾燥に時間がかかることもあり工期は1ヶ月以上になることも少なくありません。

■壁紙に変える
壁紙を壁の上に貼る場合の費用は、6畳のお部屋の場合10〜15万円ほど。ただし、こちらも壁の劣化具合によっては費用が異なることがありますので、事前の調査をされるのがおすすめです。工期としては1〜2日と短い時間で完了します。

■珪藻土や漆喰に塗り替える
珪藻土や漆喰に塗り替える場合は、職人の工賃がプラスされるためやや高価なものとなります。6畳程度のお部屋であれば、12〜20万円程度、工期は2〜4日程度必要です。

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まとめ

砂壁や土壁は日本古来の優れた壁ではありますが、そのお手入れにはなかなか手間がかかるものです。現代の忙しい生活の中で、頻繁なお掃除がお手入れの時間が取れないという場合には、リフォームを考えるのもやはり有効な手段と言えます。ただし、記事内でご紹介した通り、DIYで砂壁や土壁をどうにかしようというのは、非常に難しいと言わざるを得ません。

年間8,750件のリフォームを手がけ、高い技術を持つ職人とつながるナサホーム であれば、壁の事前調査や見積もり、最適なリフォーム方法の模索と実施まで、お客様のご要望に合わせた砂壁・土壁の改修が可能です。

「崩れる、ひび割れる、汚れる砂壁をなんとかしたい」とお考えの際は、ぜひ私たちにご相談ください。