火にも湿気にも強い伝統素材漆喰でリフォームを

日本の伝統的な壁材である漆喰。最近では新築やリフォームの際に漆喰を使った壁をつくりたという方も増えてきました。古くから家づくりに使われている漆喰は白く独特の光沢のある美しい見た目だけでなく、機能面を見ても優秀な素材なのです。その漆喰の魅力に改めてスポットを当てながら、実際に現代の住まいの中で、漆喰を使ったリフォームを行う場合の手順や価格などを詳しくご紹介してまいります。


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改めて見直す、漆喰の魅力

漆喰とはどのような素材?

漆喰という言葉は知っていても、漆喰がどういった素材でできているかを知っている方はそれほどいないのではないでしょうか。伝統的な漆喰は、石灰を基本の材料とし、そこに糊や海藻などを混ぜて、粘りや質感を出したものを指します。ただし、現在では漆喰の明確な定義があるわけではなく、消石灰などを使った壁材で、主にコテ塗りで施工されるものを総称して漆喰と呼んでいます。

漆喰の魅力とは

漆喰の歴史は古く、世界では5000年以上前のエジプトのピラミッドで使われたのがその始まりと言われています。また日本でも1300年以上前の平安初期からお寺など壁などに利用されています。これほど長い間使われてきた大きな理由としては、耐火性が高いという点が挙げられます。樹脂などを使った壁紙などは、火災が起こった際に有毒なガスが発生する危険がありますが、天然素材の漆喰であればこうした心配はありません。また、火が壁を伝って燃え広がりにくいため、火災の被害を抑えるという効果も期待できます。

もうひとつの漆喰の魅力は優れた調湿性能。漆喰を塗った壁は、湿度の高い日は湿気を吸い込み、反対に乾燥している時には湿気を放出するという特性を持っています。これは漆喰の表面にある無数の穴によるもので、この小さな穴が湿気をコントロールしてくれるのです。気密性が高い現代の住まいは、梅雨時などにカビやダニが発生しやすくなるのですが、漆喰の壁を使うことでこうした悪影響をある程度まで抑えることができます。

漆喰の壁にリフォームする際の注意点

優れた機能を持つ漆喰の壁ですが、その反面デメリットも存在します。ひとつはコストや時間がかかること。漆喰は施工前に養生をして下塗りを行い、仕上げ塗りを行う必要があり、また漆喰を塗るための左官職人の費用もかかってきます。ただし、現代の住まいに見られるビニースクロスなどの壁と比べると、耐久性は非常に高いのですが、その分補修費用も高く、地震などの影響で壁面にヒビがはいるとビニールクロスよりもコストがかかってしまいます。

漆喰の種類を知ろう

現在、建材として用いられている漆喰にはいくつかの種類が存在します。

■既調合漆喰
現在、建材として使われる漆喰の中で最もポピュラーなものが既調合漆喰。漆喰は本来、現場で調合する必要がありますが既調合漆喰は製造工程で調合されて製品となっています。この製法から非常に品質が安定しており、熟練の左官工以外でも美しく仕上げられるため、施工費用を抑えることが可能。もちろん漆喰としての機能はそのほかの漆喰と変わりません。

■本漆喰
消石灰を基本に、麻の繊維と海藻からできた糊だけを使った、伝統的な漆喰で、古くからお城や社寺の壁に使われている漆喰です。建材として使う際には、熟練の技術が必要となるため、コスト面では高額になりますがそのコストに見合う白く輝く美観が特徴です。

■土佐漆喰
高知県で古くから利用されてきた漆喰で、藁すさと呼ばれる左官材料を糊や繊維の代わりに使っています。特徴としては非常に強度が強く、壁だけでなく床材としても利用できます。

■西洋漆喰
イタリアなどで利用される漆喰で、日本に建材として輸入されているものを指します。西洋漆喰は日本の気候に合わないことが多く、また輸入業者によってその質もまちまちなので注意が必要です。

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漆喰の壁へのリフォームのコツ

外壁に使う場合

住まいの外壁に使う漆喰は、既調合漆喰に加え、本漆喰や土佐漆喰が使用されます。雨の多い地域であれば、水に強い土佐漆喰を使うか外壁が長持ちします。
また、苔やカビなどの発生が気になるという場合は、アルカリ性の強い西洋漆喰を用いることもあります。ただし西洋漆喰の苔や雑菌を防ぐ機能は年々低下していきます。

室内の壁や天井に使う場合

お部屋の壁に漆喰を使う場合は、既調合漆喰と本漆喰がスタンダード。白い漆喰に、顔料を混ぜたものを使用することでアクセントウォールのように用いることも可能です。

漆喰壁へのリフォームの注意点

漆喰壁へのリフォームは、既存の壁の上に漆喰を塗ることで比較的簡単に実現できます。ただし、もともとある壁にカビが発生していたり中が腐朽していたり、割れやひびがあったりと、状態が良くない場合は壁を一旦剥がして、下地を張り替える必要があります。また、リフォームに合わせて間取りを変更する場合も、石膏ボードなどを使って新たに壁を作り直す必要があるため注意が必要です。リフォームを依頼する際に、この壁の状態や間取りの変更によって必要となる費用が大きく異なりますので、まずはリフォーム業者としっかりと状況を確認して計画を立てていきましょう。

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真っ白い漆喰壁で素敵な和の暮らしを

ナサホームでの漆喰リフォームの施工事例

■漆喰を使った古民家のキッチンリフォーム

築100年以上の古民家のリフォームをご依頼いただきました。風格あるそのイメージを崩さないようキッチンは落ち着いた色目で統一し、タイル貼りの洗面は竹の水栓と漆喰を利用して造作しました。

この施工事例の詳細はこちら

漆喰のリフォームにかかる費用はどのくらい?

漆喰の壁をリフォーム業者に依頼するは、壁の面積によってコストが変わってきます。平均的な価格は、1平方メートル当たり5000〜8000円程度。6畳ほどのお部屋の壁がおおよそ30平方メートルですので、単純計算で15〜24万円ほどの費用となります。
ただし、下地となる壁の状態が悪く作り直しを行う場合や本漆喰や土佐漆喰など材料費が高く、また施工技術が必要となる漆喰壁の場合、職人の技術料な施工費用がかかることがあるので注意が必要です。

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まとめ

日本の伝統的な建築材料である漆喰は、無垢な木材との相性も良く、意外にも現代的なインテリアにもしっくりと馴染みます。加えて、高い耐火性や調湿効果などをもつ優れた素材ですので、漆喰壁はこだわりの住まい作りのために、ぜひご検討いただきたい選択肢です。
ナサホームでもこれまでに多くの古民家や和モダンな住まいのリフォームに際して、漆喰を利用してまいりました。その仕上がりの美しさには自信を持っておりますので、ぜひご相談ください。
既存の砂壁や洋室を漆喰壁に変更するご依頼はもちろん、住まい全体のリフォームに合わせた漆喰壁の導入などのご依頼も承っております。