陸屋根から水が染み出してたら…、屋根のリフォーム&防水工事のすすめ

建築スペースも広く取れることから人気の高い陸屋根。意匠性に優れていることから、デザイン住宅などでもよく見られる屋根の形状ですが、陸屋根の住まいで暮らす人の中には、「雨漏りしやすい」などのデメリットを感じる方も多いようです。今回は、この陸屋根の特徴と、メリット&デメリットに加え、陸屋根に雨漏りや劣化などのトラブルが起きた際の、リフォーム方法に関して詳しくご紹介してまいります。


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陸屋根に起こりやすいトラブルって?


建築用語で陸屋根と言われる屋根の形状。実際にはどのようなものを指すのでしょうか、また一般的な切り妻のある屋根とはどのような点で異なっているのでしょうか。

そもそも陸屋根とは?

陸屋根(りくやね・ろくやね)の「陸」とは平らな面を指す言葉で、勾配のない平らな形状をしたものを指します。またこうした形状から、平屋根と呼ばれることもあります。

陸屋根のメリット

ビルの屋上などで目にすることが多い陸屋根。そのメリットとしては…

■屋上部分を有効活用できる
木造建築の三角屋根の場合は、屋根に登ることはまずできませんが、陸屋根であれば屋根が平坦であるため、バルコニーやベランダ・物干し場などとして有効活用することが可能です。また、サスティナブルな生活を目指す方にとっては、太陽光発電システムを導入するのに最適なスペースとなります。

■建築スペースを広く取ることができる
三角屋根の住まいと比べて、平坦な陸屋根は天井高を比較的高くすることができます。このため、最上階のお部屋が圧迫感のないものとなります。

■掃除がしやすい
屋上部分に人が立ち入る場合どうしても、屋根は汚れがちになってしまいます。そんな時も平屋根であれば、気軽に清掃などができるのも大きなポイント。また、瓦葺きの屋根の場合は定期的なメンテナンスや葺替えを行う際に、足場を組んだりと大掛かりな準備が必要ですが、陸屋根の場合はこうした手間が生じません。

陸屋根は雨漏りしやすい?

陸屋根には、さまざまなメリットがありますがその反面デメリットも存在します。
特に代表的なのが、「雨漏りがしやすい」という点。
陸屋根はフラットな形状ではありますが、それでも屋根の上に雨水がたまらないように、非常に緩やかな勾配が設けられています。

しかし、それでも大量の雨水が屋根に溜まってしまった場合は、雨漏りが起こりやすくなります。また通常は陸屋根には事前に防水工事が行われるのですが、防水処理が不十分であったり、屋根そのものや、屋根の防水塗装面が劣化している場合は、雨漏りを起こしやすくなってしまいます。

そのほかに起こる陸屋根のトラブル

このほかにも陸屋根は、屋根が平らなため直射日光を受ける面積が広くなるため十分な断熱対策が行われていない住まいでは、屋根の真下にあたる部屋が夏は暑く、冬は寒くなってしまうなどのトラブルが起きやすくなります。

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雨漏りの修繕&リフォーム方法


陸屋根で最も多いトラブルである雨漏り。では実際に、陸屋根が雨漏りを起こしてしまった場合はどのようにリフォーム・修繕すれば良いのでしょうか。

陸屋根が雨漏りした際に、リフォーム・工事が必要になる場合

陸屋根の雨漏りにはいくつかの原因があります。

一つ目の原因が、ドレンなどが詰まり排水ができなくなっていること。
陸屋根には雨水を流すための排水溝が設けられているのですが、これがチリや木の葉、砂などで詰まっていると、十分な排水が行えず次第に屋根の上に水が溜まるようになり、雨漏りが発生します。この原因の場合は、排水溝を掃除することで、雨漏りを止めることができます。

もう一つの原因は屋根の防水層の破損や劣化。
陸屋根に防水層が作られているのですが、長年の風雨で劣化してしまったり、ひび割れてしまった場合にはその表面から屋根の内部に雨水が浸透し、雨漏りが生じてしまいます。雨漏りが生じるくらいの破損や劣化がある場合は、リフォームによる防水層の再施工が必要になります。

最後は、屋根の外周に用意された壁であるパラペットが破損している場合。
パラペットが飛来物や紫外線によって損傷を受けた場合、その損傷部から雨水が屋根の内部に浸透してしまいます。この場合も、防水層の劣化と同様にリフォーム工事が必要となります。

陸屋根の防水工事の種類と特徴

■屋上の防水層をリフォームする場合
屋根の防水工事を行う場合、はじめに既存の防水層を剥がしたうえで、新たな防水層を作り直す必要があります。

この場合、工事方法には塗膜防水・シート防水・複合防水の3つの種類が存在します。

塗膜防水とは液体のウレタン材やFRP(繊維強化プラスチック)を塗ることで防水層を作るもので、安価・短期間に行え重ね塗りができるため、メンテナンスが比較的容易に行えるというメリットがあります。

シート防水とは塩化ビニールやゴムなどの防水シートを屋根に貼り付けるというもの。ウレタンと比べ、防水層が均一で、シートによっては頻繁に屋根の上を歩いても劣化しにくいのが特徴。そのほか、紫外線や熱などにも強く、耐久年数も長いというメリットがあります。

複合防水とは、合成繊維でできた布にアスファルトを含ませたものを屋根に貼り、バーナーで炙って液状化させて塗り広げていく、もしくは、あらかじめ液状となっているアスファルトを屋根に貼っていくことで防水層を形成します。ただし、防水性は非常に高いのですが、屋根が重くなってしまうという難点があります。

■パラペットの補修工事を行う場合
屋上のパラペットが破損している場合、ひび割れ部分にコーキング剤を流し入れた上で下地補修を行い、防水用のプライマー材を塗布します。ただし、パラペット内が雨水によって腐食している場合はパラペットそのものの交換が必要となります。

リフォーム工事の前には、プロによる調査が必要

陸屋根の下が雨漏りしている場合、屋根の上から見えるひび割れや損傷以外にも、屋根の内部に傷みがきている場合があります。
こうした場合、目視などでは発見しづらいため、正確なリフォーム工事を行うにはプロの目による調査が必要になってきます。
その際の方法としては、目視に加え、散水調査・赤外線調査・ガス調査などがあります。これらは状況に応じて使い分ける必要がありますので、リフォーム業者に相談して、適切な方法を選んでもらうようにしましょう。

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適切なタイミングでメンテナンス&リフォームするのが陸屋根を長持ちさせるコツ


陸屋根の防水層は経年劣化するものです。そのため、施工後5〜10年をめどに防水層の塗り直しなどが必要となります。こうした施策を行うことで、雨漏りのない快適な住まいを維持することが可能となります。「そろそろ家を建てて(リフォームして)10年経つ」という方は、リフォーム業者に、屋根の調査&メンテナンスを依頼してみましょう。

雨漏りする前に、こんな兆候が見えたらリフォームを!

また現在、陸屋根からの雨漏りがなくとも、下記のような症状が起こっていたら、屋根が劣化しているかもしれません。

■草が生えている
■目地やコンクリート面が割れている
■雨の日に一角だけ水が溜まっている
■屋根が撓んでいる

陸屋根の雨漏り調査&修繕にかかる費用

■リフォーム前の調査
・目視調査:0円
・散水調査:3〜15万円
・赤外線カメラ調査:18〜30万円
・ガス調査:18万円

■屋上の防水層のリフォーム
・塗膜防水:1㎡あたり6,000〜12,000円
・シート防水:1㎡あたり8,000〜15,000円
・複合防水:1㎡あたり11,000〜25,000円

■パラペットの部分のリフォーム
・パラペットの補修:1mあたり6,000円〜
・パラペットの交換:10万円〜30万円(腐食や劣化の範囲によって異なる)

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まとめ

放置しておくと家の基礎の腐食や劣化につながってしまう屋根の雨漏り。
定期的なメンテナンスと、万一の雨漏り発生の際には一早いリフォーム工事が必要です。ただし、どの程度のリフォームが必要かの判断を下すには、専門家の調査が必要になってきますので、まずは技術力や対応力のあるリフォーム業者を選んで相談してみましょう。
大阪を中心に関西各府県で、年間8750件を超えるリフォームを手掛けるナサホームでは、屋根の補修・リフォームにも豊富な実績がございます。
陸屋根のメンテナンス・リフォームでお悩みの際はぜひご相談くださいますようお願いいたします。