実家のリフォームを考えるとき、押さえておきたいポイント

長年住み慣れた実家も、年月を経るとあちこち修繕が必要となってきます。高齢の親世帯にはバリアフリーが必要でしょうし、一緒に住むのなら二世帯住宅も検討したいところ。どうすれば住み良くなる? 費用はどれくらい? 実家のリフォームにまつわるポイントをまとめてみました。


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実家のリフォームを始める前に考えておきたいこと


築年数が経ってくると建物は経年劣化が進んできます。定期的な点検や適切なメンテナンスとともに、快適に住み続けられるリフォーム計画を考えていきましょう。

長年暮らした実家、どうリフォームする?

重点ポイントは、「バリアフリー」「断熱」「快適」です。子世帯が引き継いで暮らすなら、リノベーションも選択肢のひとつです。

<バリアフリーを念頭に>
高齢者が安心して暮らせるように家の中を見直しましょう。バリアフリーのポイントは、「床の段差」だけでなく「床を滑りにくく」「手すりをつける」「照明を明るく」「ドアから引き戸へ」などです。

<断熱でヒートショックを防ぐ>
冬場の寒暖差による「ヒートショック」を防ぐリフォームを検討しましょう。壁や床下などに断熱材を入れると保温性が高まり暖房の利きも良くなります。窓は二重サッシにするなどの断熱リフォームが効果的です。浴室はユニットバスに変えると保温性が高まり、光熱費の節減にも役立ちます。

<キッチンなど水廻りを使いやすく>
おすすめしたいのが、キッチンスツールに腰かけて作業できるタイプのキッチンです。足もとにスペースがあると、ひざが当たることがなく、車椅子でも使いやすいキッチンになります。
水栓は水の量と温度が一つのレバーで調整できるシングルレバーがおすすめ。シャワーヘッドが伸びるタイプも便利です。
コンロは安全面を考えれば、火を使わないIHクッキングヒーターですね。IHなら表面が平らなので、お鍋が動かしやすく、五徳に引っかけるおそれもありません。

<寝室は洋室・1階・トイレ近くに>
和室の立ち座りは高齢者の腰やひざに大きな負担がかかります。布団よりベッドのほうが起き上がりしやすいので、寝室は洋室がおすすめです。1階を寝室にすると家の中での移動距離が少なく、階段の上り下りも必要ありません。さらに夜中にトイレに行きやすいよう寝室の位置を配慮しましょう。

<シンプルな動線の間取りに>
部屋ごとの間仕切りが多いと家の中を移動するにも手間がかかります。家の中心にリビングダイニングを配置する間取りに変えると、動線がシンプルに。高齢者の寝室をリビングの隣にすると、家族と一緒に過ごす機会も多くなります。

<建築コストを考えればリフォームを検討>
建て替えか、リフォームにするか。大きな問題ですが、コスト面で見ると、建て替えの平均相場は2,500万~5,000万円、間取り変更を前提としたスケルトンリフォームは2,000万~3,000万円。リフォームのほうが建築コストを抑えることになります。

二世帯住宅にして長く住み継ぐためのポイント

長く住み継ぐために二世帯住宅にリフォームして一緒に暮らす場合、基本的な間取りプランは次の3つのタイプが考えられます。
どのタイプの間取りがお互い暮らしやすいのか、親ともじっくり話し合って決めていきましょう。

■完全分離型
親と子それぞれの世帯の生活空間を玄関から完全に分けるタイプが完全分離型です。

■部分共用型
部分共有型は、親と子それぞれの世帯の生活空間のうち、トイレや浴室など一部の住宅設備を共有します。

■完全同居型
ほとんどの生活空間や住宅設備を共同で使用し、寝室や個室など一部の部屋だけをそれぞれの世帯で専有する完全同居型です。

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実家をリフォームするなら、ぜひ知っておきたいお得な制度


実家のリフォームには補助金や減税制度が利用できます。ぜひ事前に確認し、上手に活用してください。

実家のリフォームに使える補助金

・耐震リフォーム
自治体の多くは耐震診断、耐震補強・改修工事に対する補助金制度があります。1981年5月末日までに建築確認を受けた木造住宅(旧耐震基準建築)が対象です。

・バリアフリーのリフォーム
要支援または要介護認定を受けていると、介護保険からリフォーム費用の7〜9割(上限20万円)が支給される場合があります。ケアマネジャーに相談されるとよいでしょう。

■省エネ・断熱リフォーム
高断熱仕様の窓やドアへの交換、壁などの断熱工事、太陽光発電、高効率給湯器の採用などで補助がある自治体が多くあります。
国からの補助が受けられる「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「次世代省エネ建材の実証支援事業(次世代建材)」もあります。

実家リフォームでは減税制度を活用しよう

所得税
返済期間10年以上の住宅ローンやリフォームローンを借りた場合、中古住宅なら10年間、年末ローン残高の0.7%(上限あり)が所得税や住民税から控除されます。
バリアフリー化などを自己資金で行なった場合は、「リフォーム促進税制」として工事費用相当額の10%の控除が受けられます。

固定資産税
リフォーム工事の翌年度分の固定資産税が減額されます。
耐震リフォームは固定資産税額の1/2、バリアフリー化または省エネリフォームは1/3、長期優良住宅化リフォームは2/3。市町村役場や区役所、税務署などに問い合わせましょう。

相続税
二世帯住宅にリフォームすると「小規模宅地等の特例」が受けられます。
この制度は子(相続人)が親(被相続人)の住居を相続すると土地の相続税評価額が最大8割減額できるものです。
適用には様々な条件があるので事前に市町村役場や区役所、税務署、税理士等に相談してみましょう。

実家リフォームは贈与税に注意

親名義の住宅を子が110万円以上の費用を出してリフォームすると贈与税が発生します。
例えば、固定資産評価額が200万円なら贈与税は10万円以下です。子が実家を購入し名義変更すれば贈与税は不要です。
2024年1月からは、年間110万円までの贈与なら申告不要で、贈与税・相続税ともに発生しなくなりました。この制度を上手に使うのもよいでしょう。

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実家のリフォームにかかる費用はどれくらい?


手ごろなバリアフリー化からリノベーションまで、リフォームの種類による費用の目安をご紹介します。

実家リフォームの費用の目安

<バリアフリー>
手すり設置
・トイレ・浴室:3万~5万円
・廊下:5万~10万円
・階段:10万~20万円
段差の解消
・出入口の敷居の取り替え:2万〜3万円
引き戸ドアへの変更:
・システムバスの出入口:5万~15万円。

<断熱工事>
・壁:200万〜300万円
・天井:15万〜90万円
・屋根:40万〜250万円

<キッチンなど水廻り>
キッチン
・システムキッチン交換:50万〜150万円
・キッチン移動:20万〜250万円

浴室
・ユニットバス交換:約50万〜150万円
・在来浴室からユニットバスへ交換:約70万〜150万円

トイレ
・洋式から洋式に交換:15万〜50万円
・和式から洋式に交換:20万〜60万円
洗面所
・洗面台交換のみ:10万〜55万円
・洗面所全体の工事:20万〜65万円

<間取り変更その他>
・アコーディオンカーテンの設置:5万~8万円
・間仕切り壁設置:5万~20万円
・壁とドアの新設:15万~30万円
・内装リフォーム:10万~50万円
・ダイニング、キッチン、リビングをLDKに変更:100万~300万円
・外構、エクステリアリフォーム:20万~100万円
・フルリフォーム:500万円~2,500万円(一戸建)、300万円~1,500万円(マンション)

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まとめ

実家のリフォームについて、その種類や助成制度、費用の目安などまになるポイントをご紹介しました。具体的に検討されるならまず、専門業者のアドバイスを受けられることをおすすめします。ナサホームではみなさまのご質問やご相談をお待ちしています。