畳の構造・種類について
畳の交換を考える前に、まずは畳の構造や種類について知っておきましょう。
畳の構造
畳は大きく分けて3つの部位から成り立っています。
畳の芯の部分にあるのが「畳床」といわれるもので、畳に柔軟性や耐久性を与える役割を果たしています。素材としては、伝統的なものは稲藁、最近では畳ボードと言われる木質系の素材や、ポリスチレンが使用されることもあります。
この畳床を巻くようにして付けられているのが「畳表」。い草と呼ばれる植物を麻の糸などで折り合わせたものとなっています。この畳表だけを独立させたものが、ゴザとなります。
畳床に畳表を固定する役割を持っているのが「畳縁」。畳縁は畳の個性を決定するものでもあり、色鮮やかな金糸や銀糸を織り込んだものからシンプルなものまで様々な種類があります。
畳の種類
意外なようですが畳にはいくつもの種類があります。リフォームなどに合わせて畳そのものを交換する場合は、違う種類の畳への変更を検討してみるのも面白いかもしれません。
■縁付き畳
一般的な畳がこの縁付き畳。間取りの一畳の元となったのがこのタイプで、和室や茶室などに広く使われています。
■縁なし畳
半畳サイズの縁のない畳で、色分けをして市松模様のように敷き詰めると和室の床面にインパクトが生まれます。また、この縁なし畳に良く似たものに、沖縄ビーグや七島いぐさといった植物を使った琉球畳があります。琉球畳は、通常の畳に比べていぐさの繊維が太くツルツルとした触り心地の良い表面をしているのが特徴です。
■カラー畳
畳表に和紙や樹脂を使用し色をつけた畳です。褪色しにくく、水濡れや擦れに比較的強いという特徴を持っています。
■フローリング畳
別名をユニット畳ともいい、通常の畳よりも薄くカーペットのように敷くことができます。この薄さのため安価で取り扱いやすいのですが、耐久面では他の畳より劣ることがあります。
■ビニール畳
畳表に樹脂やプラスチックを使った畳のこと。安価で水に強いのですが、ややチープな印象になってしまうのが難点です。
■洗える畳
旅館の浴室や脱衣所、福祉施設や病院などで使われることもある畳で衝撃吸収性に優れ、水に強く洗えるため水回りや汚れやすい場所への施工に適しています。最近では一般化y亭などでも使用されるようになってきました。
畳のサイズ
畳には4つのサイズ規格があります。
一つは「江戸間」と呼ばれるもので、これは関東以北から北海道で用いられるもので1.76m×0.88m。主に東海地方で使われるものは「中京間」と呼ばれ1.82m×0.91m。関西地方で使われるのが「京間」で1.91m×0.96mと西に行くほど、サイズが大きくなっています。
一方、近代になって生まれた規格には「団地間」というものがあり、これはその名の通り、団地などで使われるサイズで1.70m×0.85mとやや小さめです。
畳の張替え・交換時期の目安
畳の種類やサイズ、構造につづいては畳の張り替えやその時期についてご案内します。
裏返し
裏返しとは既存の畳の裏表を返して、使用する方法。畳床の周囲には畳表が巻かれていますので裏と表で2回使用することができます。
通常裏返しの時期は、畳を利用し始めてから2〜5年後。日光などで畳が焼けてしまったり、毛羽が目立つようになってきたら裏返しのサイン。
畳の裏返しに必要な費用は、畳1枚につき4000円ほど。工期は半日〜1日と非常に短期間で行えます。
表替え
表替えは畳表と畳縁を新品のものへと交換するもので、裏返しをして5年程度経過した頃が交換時期の目安。この頃になると畳の褪色や毛羽が衣服に付着するのが目立ってきます。表替えに必要な費用は一畳あたり、5,000〜20,000円程度。この価格は、いぐさのグレードによって変化します。裏返しは居室内で行うことができますが、畳表の場合は一度畳屋や作業場に持ち込んで、畳表を外し新規に付け直す作業が必要となります。この作業もおおむね1日ほどで完了します。
新調
新調はその名の通り、畳床も含めた畳全てを交換するもの。畳を敷いて10年以上経ち、畳床が傷んできて上に乗るとたわんだり沈んでしまうような場合や、ダニや紙魚(しみ)などの害虫が気になる場合は新調がおすすめです。
新調の場合は既存の畳のサイズを測って新しい畳をつくり、交換を行います。畳の製作期間は2〜10日ほど。価格は1〜3.5万円程度。価格や費用は、使用する畳床・畳表、畳縁のグレード位によって変化します。
畳を長持ちさせる方法
裏返しや表替え、新調で新しくなった畳はできることなら長く、綺麗に使い続けたいものです。以下では畳を長持ちさせるコツについて解説していきます。
畳のお手入れ方法
畳のお手入れは、掃除機や雑巾で行うのが定番。その際畳の目に沿って優しく、掃除機をかけたり、乾拭きを行いましょう。水拭きをしなくてはならない場合は、雑巾を固く絞って畳に水が残らないように注意しましょう。
避けた方が良いこと
畳の上にコロ付きの家具などを置いてスライドさせたり、水に濡れたまま放置するのは畳が傷みやすくなるため厳禁。また、最初はみずみずしい緑だった畳も、日光によって褪色してしまうので、長持ちさせたい場合はできるだけ直射日光が当たらないように、カーテンなどで畳を守ってあげましょう。
また、畳は湿気に弱いため、畳の部屋で洗濯物を干したり、水槽や観葉植物など水分多いものを置かないように配慮しましょう。またカーペットや布団を敷きっぱなしにしないように注意。畳の表面が乾いている状態を保つよう換気を心がけてください。
畳を使ったリフォーム事例
■半帖畳と無垢フローリングを組み合わせたモダンな和室
おしゃれな半帖畳の周りには無垢のフローリングを組み合わせた板間を設けました。
スリット格子は障子紙ではなく強度がある素材「ワーロン紙」を使用したものを採用し、光がたっぷり入る足元の2枚引き違い戸と併せても明るい印象の和室になりました。
■洋室のようなゆったりと寛げるカラー畳の休憩室
事務所の一角の床に直接座ってゆっくりと体が休められる畳を提案。畳は作業場の油などの汚れが目立たないブラックのカラー畳を採用しています。このカラー畳は、和紙でできており、ささくれも出にくく傷みにくいので、フローリングのお手入れとあまり変わらないのが特長です。
■縁なし琉球風畳の市松敷きでモダンな和室
正方形の縁なし琉球風畳を市松敷きにした、モダンな和室の施工事例です。市松敷きにすると、袖には板の間を設けて趣をプラスしたスペースにしました。
■天井に黒竹をあしらったスタイリッシュな和室
天井に黒竹黒竹をあしらい、窓枠やクローゼットのダークブラウンと調和させることで和室のアクセントとしています。お部屋の正面にはディスプレイ棚を設け、施主様のお気に入りの陶磁器などを飾っていただけるよう工夫いたしました。
■スリット格子『Panasonicリビエ』で空間にアクセント
リビングとつながる和室ということで、半帖の畳を使い、障子を外してロールスクリーンに変更。さらに、襖をクローゼットドアに、照明は天井埋め込みのダウンライトに変更したことで、和室でありながらモダンな印象となりました。
まとめ
数十年前までは街のあちこちにあった畳屋さんですが、最近ではすっかりその数を減らしてしまい、多くの方が畳の交換に悩んでいるのではないでしょうか。関西で年間8750件を超えるリフォームを手掛けるナサホームでは、和室のリフォームに加え畳の張り替えなどの施工も行なっておりますのでぜひお声がけください。
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