再建築不可物件でもリフォームできる?判断基準と「できること」をご案内

「再建築不可物件」に関するさまざまなお悩み。 現在お住まいの物件や相続した実家が、再建築不可物件であるとわかったなど、それぞれの事情からお困りの方がいると聞きます。 本記事をご覧の方は、再建築不可物件に関してご興味があるはず。ではまず、再建築不可物件とはなんなのか、そしてどのように活用できるのかという点について、しっかりと学んでいきましょう。


この記事は約7分で読み終わります。

そもそも再建築不可物件とは?


再建築できない物件とは、どんな事情があって何を禁じられているのでしょうか。また、どうしてそのような物件が生まれたのでしょう。

再建築不可物件の定義

接道義務を満たしておらず、今ある建物を解体して新しい建物を建てる、または増改築ができない不動産、それを「再建築不可物件」と言います。
都市計画区域内では、「建物を建てる際は幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」という接道義務が課されています。
接道義務は建築基準法で定められている道路と敷地に関する規定で、消防車や救急車などの緊急車両の通行を妨げない、災害時の避難路を確保するなどの安全上の理由によるものです。

■再建築不可物件の具体例
(1)道路に接していない物件
(2)接している道路の幅が2m未満の物件
(3)接している道路が建築基準法に準じた道路ではない物件
ちなみに、ここでいう道路とは公道・私道のどちらでも構いません。

なぜ再建築不可物件となるのか

再建築不可の土地に家屋が存在する場合、かつては建てられたのに、どうして現在は再建築が認められていないのでしょう。
建築基準法は1950年に、また都市計画法は1968年に作られた法律です。それ以前に建てられた家屋の中には接道義務を果たしていない物件が少なからず存在しました。それらが再建築不可物件として残っているためです。
また、道路として使っていた私道が使えなくなり、再建築不可物件となるケースもあります。

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再建築不可物件でできること/できないこと


では、再建築不可物件にはどのような利用方法があるのでしょうか。マイホームとして住むことは可能か、どういう点に注意したほうが良いのかをご紹介します。

再建築不可物件にもメリットはある

■物件価格が安い
接道義務を満たしていない再建築不可物件は、売却が難しく買い手がつきにくいため、相場よりもかなり安い価格で売りに出されているケースがあります。
■税金が安い
再建築不可物件は建物の建て替えができないなどの理由から資産価値が低く、評価額も下がるため、一般の不動産と比べると固定資産税が安くなります。
また、土地や建物の購入価格ではなく、評価額を元に計算される相続税も安くなり、大幅な節税効果が期待できます。

再建築不可物件を入手する際の注意点

こうした物件を、買うという方はそれほど多くはないかとは思いますが、それでも価格を抑えて物件を入手しようという方にとっては、再建築不可物件は魅力的な側面があります。しかしもちろん、その価格に沿うように不便な面もあります。入手する際は次の点に気をつけてください。

■銀行の融資を受けにくい
金融機関は返済を保証するために、購入する物件を担保としてお金を貸し出します。再建築不可物件は一般的な物件よりも担保評価としての価値が低いため、住宅ローンなどの融資が受けられないことがあります。
■災害により建物が倒壊・消失しても再建築できない
再建築不可物件は築年数の古い物件が多く、耐震や老朽化への対策が必要となる場合があります。万が一倒壊しても、建て替えることができません。
■売却が難しい
物件を手放したくなったとき、前述した理由から買い手が見つかりにくいのも、再建築不可物件の難点です。

再建築不可物件は条件が合えばリフォームできる

再建築不可物件で新しく家は建てられませんが、既存の建物をリフォームすることはできます。
リフォームが可能なのは、建築確認申請が不要な範囲となります。
建築確認申請とは、新しい建築物を建てるときに必要な申請であり、建物が建築基準法や各種条例を守っているかどうかを判断する審査です。

■再建築不可物件においてリフォームできる範囲
建物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段部分)の1/2以下の修繕、または防火・準防火地域外での10㎡以下の増改築・移転で、以下の条件をすべて満たしている場合、リフォームできます。
【木造建築の場合】
・2階建て以下
・延床面積500㎡以下
・高さ13m以下、軒高9m以下
【木造以外の建築の場合】
・平屋
・延床面積200㎡以下

■再建築不可物件でよく実施されるリフォーム内容
・耐震補強
・断熱性向上
・窓の交換
・水廻り交換
・内装材張替え など

暮らしの安全性・快適性に繋がり、優先的に行われるのは耐震補強・断熱性向上です。再建築不可物件は、リフォームが可能な範囲内で大規模な工事になるケースが多いことを念頭に置いておきましょう。

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他に再建築不可物件の活用方法はあるの? 費用は?


マイホームとして住むという手段以外で、再建築不可物件はどのように活用できるのでしょうか。またどのくらいの費用が必要となるか、調べてみました。

再建築不可物件の活用方法

再建築不可物件を活用する場合、次の二通りが考えられます。
・現存する建物を利用する
・建物を解体し、更地にして土地を活用する
収益物件として活用するならば、主に次のような方法があります。

■建物を利用する場合
・一戸建て賃貸
・シェアハウス
・トランクルーム

■土地を活用する場合
・駐車場
・自動販売機の設置
・資材置き場

再建築不可物件を活用する際に覚えておきたいこと

■維持費用が高くなりやすい
再建築不可物件は築年数が古いものが多く、旧耐震基準で建てられているので耐震基準を満たしていないこともあり、耐震・断熱、設備の更新などの工事費用は通常より高額となる場合があります。
耐震基準工事や給水管の交換、シロアリの駆除などが必要になれば、リフォーム費用は1,000万円を大幅に越える場合も。まずは、リフォーム会社に見積もりを依頼してみましょう。

■道路が狭い
再建築不可物件は接する道路が狭く、車が入りにくい土地です。駐車場や資材置き場として活用する場合は、出入りしやすいか、利用者が見込めるかなどをよく検討しましょう。

■災害リスクが高い
築年数が古いため、耐震性に問題のある物件もあります。さらに、接道義務を満たさないため、災害時には被害が大きくなるリスクを忘れないようにしましょう。

再建築不可物件を「再建築可能」にする方法もある

再建築不可物件は、以下のような手段で接道義務の条件を満たせば、再建築できる物件になります。

■周辺の土地を買い取る、または借りる
自分の敷地を広げ、道路に接する間口を2m以上確保すれば、新たに建築物を建てられます。

■「43条ただし書許可」を申請する
「43条ただし書許可」とは、無接道の敷地でも一定の条件を満たしていれば、例外的に建て替えを認めてもらえる制度です。土地の周辺に大きな公園や空き地がある場合などが条件として挙げられます。

■セットバックを実施し道路の幅員を広げる
接している道路幅が4m未満の場合でも、道路の中心から2m以上セットバックし、敷地の一部を後退させ4m以上の道路幅を確保すれば、建て替えが可能になります。ただし、建築面積は既存の建物より狭くなります。
セットバックには、土地測量費・分筆登記費用・道路整備費用などの費用が必要となります。道幅を広くして地域の防犯・防災に寄与するため、セットバックにかかる費用を自治体が負担する、補助金を支給するといった軽減措置も増えています。

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まとめ

再建築不可物件は一般的な中古物件と比べて価格が安く、制限はありますがリフォームも可能です。ただし、リフォーム費用が高額になる場合や、家屋が倒壊しても建て替えられないなどの注意点があります。メリット・デメリットを正しく理解すれば、こだわりのマイホームをお手頃な価格で確保することも可能です。気になる物件がある方は、お気軽にナサホームにご相談ください。