丈夫そうでも油断は禁物。放置すると怖い土間のヒビや割れ

土間のコンクリートにひび割れや欠けが見つかった時。「もともと丈夫そうなものだから放っておいてもいいのか」、「それとも建築年数が経っているし、何か早急に手を打った方が良いのか」、そんなお悩みを持たれたご経験はないでしょうか。 今回の記事では土間の補修や日常のお手入れの方法などをお伝えします。


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土間に起こる問題には早めの対処を!

小さなひび割れや欠け穴をそのまま放っておくと、そこから水などが入り込みコンクリートが劣化し、傷みがどんどん広がっていく可能性があります。早めの対処を考え実行しましょう。

土間のコンクリートに起こるひび割れの種類

まずはひび割れの種類を確認しましょう。それによって補修の必要度が変わってきます。

■浅くて幅が狭いひび割れ(ヘアークラック)
幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひび割れは「ヘアークラック」と言います。
ヘアークラックは、定期的にひびの大きさや長さなどの進行を確認しましょう。幅2mm深さ約10mmくらいまでなら、自分で補修することも可能です。

■深くて幅が広いひび割れ(構造クラック)
幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れは、「構造クラック」と言います。
内部の鉄骨までひびが届いている可能性が高く、放っておくとひび割れ部分から水分が浸透して割れ目が拡大したり、コンクリート内の鉄筋が錆びたりする危険があります。
また、ひびに段差がある場合は建物の構造に問題がある可能性もあります。災害などが原因の地盤のゆがみなども考えられますので、専門業者に確認してもらうことをおすすめします。

土間にひび割れや欠けができる原因は?

コンクリートにひび割れが発生する原因は主に次の5点です。

①乾燥収縮
コンクリートは打設後しばらく湿潤状態を保っていますが、徐々にコンクリートの表面の水分が奪われ、乾燥状態になると表面が収縮しひび割れが発生します。
また、コンクリート内の水分が蒸発するとコンクリート自体が収縮します。周辺の梁などはあまり収縮しないので、コンクリートとの引張応力によりひび割れが発生します。

②気温変化
温度が急激に低下するとコンクリートが収縮しひび割れが発生します。冬場は内部の水が氷になり体積が大きくなることで、ひび割れすることもあります。逆に夏場はコンクリートが膨張し内部の圧力が高まり、ひび割れることもあります。
寒冷地では冬から春にかけて、夜間にコンクリート中の水が凍結・膨張し、日中に融解する繰り返しによって「表面亀甲状クラック」と呼ばれるひび割れが起こることがよく知られています。

③不同沈下
地盤が不均一に沈下するとコンクリートが斜めに傾き、力のかかり具合が不均一になるためひび割れが発生します。地震や大雨など災害が原因の場合、地盤自体が緩み傾いているため非常に危険です。早急に修復する必要があります。

④中性化
コンクリートの中に入っている鉄筋の周囲のコンクリートが、空気中の二酸化炭素などと化学反応を起こし中性化すると、鉄筋が錆びて膨張します。そのためコンクリートに圧力がかかりひび割れが発生します。

⑤施工不良
施工不良により、コンクリート内部の鉄筋から表面までの厚さが足りない場合や、コンクリートの強度不足、傾きなどによって、ひび割れが発生することもあります。

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土間の補修方法


ひび割れをそのままにしておくのは不格好で見た目が悪いだけでなく、割れや欠けの部分でつまずいたり、思わぬケガをしてしまう恐れもあります。できるだけ速やかに補修するようにしましょう。

DIYで直せるもの、直せないものとは?

土間のコンクリートは定期的にメンテナンスすることで、長期間強度と美観を保つことができます。補修はDIYで可能な場合もありますが、できる限り専門業者に依頼されることをおすすめします。

■DIYで直せること
ごく小さなひび割れなどの表面を応急的に補修する場合は、専門的な知識や技術がなくても簡単に補修できるキットがホームセンター等で販売されています。
【ひび割れ】
小さな部分的なひび割れは、コンクリート補修剤を埋め込んでいきます。
【凹凸】
表面に凹凸が出ている場合は、盛り上がっている部分はカンナやヤスリなどで削り、へこんでいる部分には補修剤を埋め込んで平らにし、サンドペーパーを使用して仕上げます。

【破片】
コンクリートが割れた場合、小さな破片で形状がしっかりしていれば、コンクリート補修剤で貼り付けられます。

■専門業者に依頼する場合
DIYは、とりあえずの応急処置と考えましょう。
ひび割れが大きい場合、特殊な工具や樹脂の注入が必要なこともありますので、こうした道具の扱いに不慣れな場合は、早めにプロに補修を依頼されることをおすすめします。

【コンクリートの種類の確認】
コンクリートは一般的な建築・土木に使用される普通コンクリートと特殊なコンクリートがあるので、その見定めが必要となります。
普通コンクリートなら、市販の補修剤でDIY補修も可能です。特殊なコンクリートは、高強度、高流動、低発熱、低収縮などの機能を持っており、プロ以外は扱うことは難しいでしょう。

【ひび割れが地面と水平方向に走っている場合】
地面と水平方向にひび割れがある場合は、乾燥や温度変化によるひび割れではなく、コンクリートに大きな負荷がかかっている恐れがあります。
設計や施工不良が原因の場合も考えられますので専門業者による調査や補修が必要です。

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土間の補修に必要な費用&お手入れ方法って?


では、土間の補修を専門業者に依頼する場合、一体どれくらいの予算が必要でしょうか。また、土間コンクリートを長持ちさせる日ごろのお手入れはどうすればいいのでしょうか。

土間コンクリートの補修費用の目安

補修費用はひび割れの程度や施工内容などによって大きく異なります。補修を依頼する際、値段だけでなく工法についてもよく確認しておきましょう。

【応急的な補修】
コンクリートのひび割れ専用の補修材を流し込んで補修します。ひび割れが小さな場合は、1カ所につき1万〜2万円が目安。1日作業であれば3万〜5万円前後かかることもあります。

【Uカット(Vカット)シール工法による補修】
ひび割れの周りを電動工具でU字型またはV字型にカットして補修する方法です。1㎡あたり4,000円~1万円が相場です。

【アラミド繊維シートによる補修】
アラミド繊維という強いシートを貼り付けた上からモルタルで補修する方法です。費用は若干割高ですが耐震性の高い工法です。1㎡あたり2万~3万円が目安。

【ビックス工法】
ひび割れの表面に特殊な注入器を設置して、時間をかけて低圧で樹脂を注入します。1㎡あたり1万~2万円ほど。

【打ち直し】
大きなひびの場合は、コンクリートの部分的な打ち直しや全体の打ち直しなどが必要となるケースがあります。
土間コンクリート工事を行う費用は、20㎡で15万~25万円、30㎡で20万~30万円、40㎡で25万~35万円、50㎡では35万~50万円が相場です。

■土間コンクリートの補修の作業日程と期間
ひび割れ補修に使用する補修材は、硬化するまでおよそ1週間かかると言われます。
打ち直し施工の場合は、掘削・砂利敷き約1日、配筋・コンクリート打設約1日、コンクリートの養生に約1週間。天候の予備日を含め約10日は必要です。

日ごろのお手入れで土間を長持ちさせましょう

■土間の汚れの原因は?
家の内外をつなぐ土間は、外から砂・土・泥、花粉、排気ガスなどが入り込みやすくなります。それがゴミとなって溜まり、時間が経つと床にこびりついて汚れとなるのです。水分や泥などは、湿った状態が長時間続くとカビの原因になります。
また、コンクリート土間の乾湿の差が大きい場所に白いシミができることがあります。これは水分が蒸発したときにコンクリート内部の石灰石が表面に染み出すことが原因です。

■土間を長持ちさせる日常のお手入れのコツ
土間掃除の基本は、掃き掃除・拭き掃除・拭き上げです。

【掃き掃除】
ほうきで土間の砂ぼこりやゴミを取り除きます。できれば毎日サッと、少なくとも週1回程度の掃き掃除が効果的です。
掃除機を使えば、細かい砂ぼこりや目地の中もきれいに、花粉も除去することができます。土間用のヘッドを用意して使い分けると良いでしょう。

【拭き掃除】
基本的にはデッキブラシやたわしでごしごしこすって汚れを落とせます。ただし、水シミが気になる場合は固く絞った雑巾で拭いてください。
頑固な泥汚れや黒ずみは酸性なので、アルカリ性の住宅用洗剤や重曹、セスキ炭酸ソーダなどの使用が効果的です。

【拭き上げ】
せっかく拭き掃除をしても、水分が残ったままだとカビやシミの原因になるので、雑巾でしっかり拭き上げて水分を取り除きましょう。
さらに窓やドアを開けて風を通し土間を乾燥させます。開け放しにできない場合は扇風機を使います。

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まとめ

土間コンクリートの気になるひび割れの補修についての考え方や、長持ちさせるための日常の上手なお手入れ方法などをご紹介しました。
また、ナサホームマガジンでは、このほかに玄関土間タイルの割れの対処方法についてもご紹介しています。併せてご覧いただき参考にしていただければ幸いです。

『放置は危険!?割れたタイルの張り替えリフォーム方法』