窯業系サイディングとガルバリウム、どちらがいいの? 外壁選びをアドバイス

現在、外壁材の主流と言えば「窯業(ようぎょう)系サイディング」です。一方ガルバリウムなど金属系の外壁材も人気があります。とはいえ実際どのような外壁材なのか、詳しくご存じの方はそう多くないのではないでしょうか? そこで今回は、それぞれの外壁材の特徴やメリット・デメリットなどを調べてみました。リフォーム時の選択のご参考になれば幸いです。


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窯業系サイディングとガルバリウム、それぞれの特徴は?


外壁材として多く使われている窯業系サイディングとガルバリウム、それぞれの特徴、性能についてお伝えします。

窯業系サイディングとは

そもそも「サイディング」とは、建物の外壁に貼る仕上げ用の板材で、サイディングボードとも言われます。
窯業系サイディングは、セメント質原料、繊維質原料を混合成型し薄い板状に加工した外壁材と、日本産業規格(JIS A 5422 2019)に規定されています。製造過程で窯の中で高熱処理されるため、「窯業系」と呼ばれています。
1990年代以降、外壁仕上げの主流になり8割程度のシェアとなっています。

ガルバリウムとは

窯業系サイディングと並ぶ外壁材が、金属を成型した金属系サイディングです。ガルバリウム鋼板(略称:ガルバ)はその一種で、1972年にアメリカで開発された金属素材です。
金属鋼板をアルミニウム・亜鉛・シリコンでめっきしたもので「アルミ亜鉛合金めっき鋼板」とも呼ばれます。
金属系サイディングの中では最もポピュラーな金属素材で、多くの建材メーカーから製品が出ています。また、「次世代ガルバリウム鋼板(SGL)」と呼ばれる製品も出てきました。これはめっき層を強化し、一層サビに強く非常に高い耐食性を実現したものです。

■その他の金属系サイディングの種類
・トタン
亜鉛メッキ加工された鋼板。特に「波板」と呼ばれるトタン板が広く使われてきました。安価で加工しやすいため、倉庫や工場などでよく使われています。
・アルミサイディング
ベースとなる鋼板にアルミニウムを使用した建材です。軽くて錆びにくい特徴があります。価格は高めです。
・ステンレス鋼板
サビや高温に強く耐久性に優れ加工も容易、メンテナンスも簡単ですが、金属系サイディングの中では最も価格が高価になります。

■その他のサイディングの種類
窯業系、金属系サイディングの他に、次のようなサイディングがあります。
・木質系サイディング
天然木を材料にして、表面に塗装を施したものです。木ならではの温もりのある雰囲気が魅力です。反面、水に弱いのが難点でこまめなメンテナンスが必要となります。
・樹脂系サイディング
プラスチックの一種(塩化ビニル樹脂)を板状に加工したものです。日本では取り扱っているメーカーが少なく、あまり知られていないのが現状です。

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窯業系、金属系、それぞれのメリット・デメリットは?


窯業系、金属系、どちらかを選ぶ前にしっかりと知っておきたいポイントをお伝えしましょう。

窯業系サイディングのメリット・デメリットは?

■窯業系サイディング の3つのメリット
1.初期費用が抑えられる
他の外壁材と比べ初期費用が安く抑えられます。その理由は、製品自体が工場で大量生産されていること、さらに現場施工が簡単で人件費が抑えられるためです。
2.耐火性に優れている
窯業系サイディングは「防火外壁材」とも言われるほど耐火性に優れています。多くの製品が不燃・準不燃材料として国土交通大臣認定を取得しています。
3.デザイン・カラーバリエーションが豊富
デザインの自由度が高くバリエーションが豊富。洋風、和風、モダンなどのテイストに加え、木目調、レンガ調、石柄、タイル柄、ストライプ柄などがラインアップされており、好みの外壁に仕上げられます。

■窯業系サイディングの3つのデメリット
1.こまめなメンテナンスが必要
劣化を放置すると、ひび割れや塗膜の剥がれで雨漏りなどにつながるおそれがあります。
塗装メンテナンスは、アクリル系塗料は5年〜8年、シリコン系は10年〜15年程度が目安です。目地のコーキングも5~10年が耐用年数なので、併せて打ち直しましょう。
2.熱が蓄積しやすい
セメントは熱を吸収しやすく蓄熱性が高いのが特徴です。特に夏は外壁の温度が上がり室内温度も上昇しやすくなります。
遮熱や断熱効果のある塗料を使い、下地とサイディングの間に断熱材を施工するなどの対策をおすすめします。
3.防水機能がやや低い
原料であるセメント自体に防水機能がないため、表面を塗装することで防水機能を持たせています。ですから塗膜が劣化すると水がしみ込む可能性があります。

ガルバリウムのメリット・デメリットは?

■ガルバリウムの5つのメリット
1.耐久性が高く長持ちする
めっきに含まれるアルミニウムは耐久性に優れており、ガルバリウムの耐用年数は約25年〜35年。他の外壁材と比べ長いのが特徴です。さらに10年~15年を目安に塗装メンテナンスをすることで、より長持ちさせることができます。
2.軽量なため地震に強い
ガルバリウムの重さはモルタルの約10分の1。建物は軽い方が地震の影響を受けにくいので、建物への負荷を減らすことができ、耐震性に優れています。
3.防水性が高く、錆びにくい
他のサイディングと比較すると外壁の隙間が少なく、水が内部に侵入しにくい構造です。またアルミニウムは他の金属外壁材と比較して錆びにくいという特徴があります。
4.熱に強い
ガルバリウムの表面は熱の反射性に優れ、熱の吸収率が小さいため室内の温度上昇を防いでくれます。
5.独特の質感が魅力
素材に金属が使用されているので独特な質感があるのも魅力です。特にシンプル・モダン・都会的・シャープ・スタイリッシュなどのイメージ演出に向いています。

■ガルバリウムの5つのデメリット
1.傷が付く
ガルバリウムは表面のめっきに傷が付いてしまうことがあります。傷をそのままにしておくと内部が錆びやすくなるおそれがあります。
2.錆びる場合がある
ガルバリウムは基本的には錆びにくい素材ですが、沿岸地域や工場地帯などでは、やはり注意は必要です。錆を防ぐためには適切なメンテナンスが大切です。
3.衝撃に弱い
例えば野球ボールや小石など外部からの衝撃で凹みができることがあります。気になる場合は厚みがある製品や波型のデザインなどを選びましょう。
4.デザインのバリエーションが少ない
ガルバリウムは金属独特の質感が魅力ですが、窯業系サイディングと比べると、デザインバリエーションは幅が狭いのが事実です。
5.断熱性や遮音性が低い
一般に金属素材自体は、断熱性・遮音性は低い傾向にあります。建築する際に断熱性や遮音性をカバーすることは充分可能なので、専門家とご相談されることをおすすめします。

どちらかを選ぶポイントは?

リフォームの目的に合わせて外壁材の選択を検討してみましょう。

■目的別のおすすめはどちら?
・耐震性を重視したい=ガルバリウムがおすすめ
サイディングと比べ軽量なので、建物にかかる負荷が少なく地震による影響も受けにくいのでおすすめです。
・メンテナンス費用を抑えたい=ガルバリウムがおすすめ
ガルバリウムは防水性が高いので、塗装やコーキングのメンテナンスが少なくて済みます。
・トータルコストを抑えたい=ガルバリウムがおすすめ
ガルバリウムは長期的に考えるとメンテナンスが少なくて済み、トータルコストを抑えるには有利です。
・初期費用を抑えたい=窯業系サイディングがおすすめ
大量生産で価格が安く、さらに工事の手間も少ないので初期費用を抑えられます。

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窯業系サイディング・ガルバリウムのリフォーム費用の相場


外壁をリフォームする工法は、大きく分けて張り替え工法とカバー工法(重ね貼り)があります。外壁材と工法別に相場価格を調べてみました。

「張り替え」と「カバー工法」

・張り替え
既存の古い外壁材を撤去して新しい外壁材を取り付ける方法です。特に窯業系サイディングへのリフォームの場合は張り替えをおすすめします。
・カバー工法(重ね貼り)
既存の外壁材を撤去せずにその上から新しい外壁材を貼り付ける方法です。古い外壁材の撤去費用がかからないため、その分安くできます。建物の重量が増加し、耐震性が弱くなるので、重量が軽い金属系サイディングを選ぶことをおすすめします。

窯業系サイディングのリフォーム費用相場は?

2種類の工法の費用相場を約30坪(外壁面積約120㎡)の住宅で比べてみます。
■張り替えの費用相場
内訳
サイディングボード費: 35万〜75万円
既存外壁材の解体・処分:20万〜50万円
足場・養生:15万〜35万円
コーキング※:20万〜30万円
内部補修など:40万〜70万円
合計: 130万〜260万円
※ボードとボードの継ぎ目をシーリング材で埋める工事
張り替えの場合、既存外壁材の解体費用と処分費用がかかります。

■カバー工法の費用相場
内訳
サイディングボード費: 35万〜75万円
足場・養生:15万〜35万円
コーキング: 20万〜30万円
内部補修など: 40万〜70万円
合計: 110万〜210万円
カバー工法の場合、既存外壁材の解体費用と処分費用がかからないので、張り替えよりも総額を抑えられます。

ガルバリウムのリフォーム費用相場は?

一般的なグレードの鋼板で30坪の家の外壁をリフォームした場合の例です。
■張り替えの費用相場
内訳
ガルバリウム鋼板価格:50万〜120万円
既存外壁材の解体・処分:20万〜50万円
足場・養生:15万〜35万円
下地処理・補修:30万〜50万円
作業費用:20万〜30万円
その他諸経費: 10万〜20万円
合計: 145万〜305万円

■カバー工法の費用相場
内訳
ガルバリウム鋼板価格:50万〜120万円
足場・養生:15万〜35万円
下地処理・補修: 30万〜50万円
作業費用: 30万〜40万円
その他諸経費: 10万〜20万円
合計:135万〜265万円

他の金属系サイディングのリフォーム費用相場は?

ご参考までに、ステンレスとアルミサイディングの費用相場は以下のとおりです。

■ステンレス鋼板サイディング:1.2万~1.8万円/㎡
ガルバリウムと比べるとやや高価ですが、耐久性やランニングコストを考えるとコストを抑えられる可能性があります。

■アルミサイディング:1万~1.5万円/㎡
アルミサイディングの大きな特徴は軽さです。窯業系サイディングの約8分の1、ガルバリウムの約4分の1なのでカバー工法に向いている外壁材といえます。

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まとめ

窯業系サイディングとガルバリウム、2種類の外壁材それぞれの特徴やメリット・デメリット、工法などをご説明しました。さらに詳しくお知りになりたい方は、ぜひお気軽にナサホームにお声掛けください。ご相談をお待ちしております。