住まいの中を快適に!外壁でできる断熱方法の紹介

2023年の夏も連日酷暑が続き、なんとか涼しく過ごせないものかと誰もが思ったことでしょう。そこで感じたのは、快適な住まいにとって「断熱材」の存在はとても大きいということです。 夏の暑さから守るだけでなく、冬の寒さも防ぐ断熱材は、どのように住まいに取り入ればいいのでしょうか。 今回は外壁に最新の断熱材を使ってこれまで以上に快適な暮らしを実現する断熱リフォームについてご紹介しましょう。


この記事は約8分で読み終わります。

外壁でできる断熱方法って?


壁の断熱性能は、快適な暮らしを実現させる大切な要素と言われています。夏は涼しく、冬は暖かい住み心地を実感できる外壁の断熱方法をご紹介します。

外壁に使用されることが多い断熱材とその素材

まずは外壁に使われる断熱材にはどんな種類があり、特徴を持っているのかを理解することが大切です。

〔無機質繊維系〕
■グラスウール
ガラスを細い繊維にして綿状したもので、高い耐熱性だけでなく、不燃性、吸音性、耐久性もあります。ガラスの強さと繊維のしなやかさを持ち、生産される大半は資源ゴミとしてリサイクルされたガラス材。価格も安価です。
■ロックウール
鉄鉱石から鉄分を抜いた高炉スラグと呼ばれる製鉄副産物を主な原料とし、繊維状にしたもの。特徴はグラスウールとほぼ同じで、加工性にも優れています。アスベストの代替品として広く使用され、廃棄する場合も特殊な処分や手順が不要というメリットがあります。

〔天然素材系〕
■セルロースファイバー
新聞・段ボールなどをリサイクルしたエコな素材。吹き付けていく工法で施工するので高気密性を確保し、吸放湿性があるため結露を抑え、防音効果も期待できます。ただ、価格は少し割高。
■羊毛
ウールブレスとも呼ばれ、羊毛特有の高い調湿力と断熱性が魅力です。また、絨毯に使われてきたように耐久性も抜群。天然素材であるがゆえに人気が高く、価格も高価。
■炭化コルク
ワインの栓を作る際に出るコルクの端材を利用し、炭化させたものです。コルクは内部にたくさんの気泡があるので断熱性をはじめ、調湿性、防音性、防炎性、防水性に優れています。価格は割高です。

〔発泡プラスチック系〕
■ポリスチレンフォーム
ポリスチレン樹脂を発泡させて気泡を作り出しながら成形した素材。発泡スチロールと同じ素材で、薄くても高い断熱性があります。水や湿気にも強く、軽量で加工性に優れています。ホルムアルデヒドは含んでいません。無機質繊維系の断熱材に比べると少し割高。
■フェノールフォーム
主原料はフェノール樹脂。非常に燃えにくく、有毒ガスも出ません。耐久性が優れているので高い断熱効果を長期にわたって維持する断熱材です。価格は高価です。
■ウレタンフォーム
ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えた断熱材。発泡プラスチック系の特徴である、水や湿気に強く、軽量。熱伝導率の極めて小さいガスを含んでいるため優れた断熱性を発揮します。これも価格は高価。

断熱効果のある外壁材にも注目

外壁材そのものにも断熱性が高いものがあり、併せて使えばより効果が期待できます。ここでは板状にした建材を並べて貼り合わせる外壁材のサイディングを紹介しましょう。
■金属サイディング
ステンレスやアルミニウム、ガルバリウムを主原料とした金属系のサイディングは高いデザイン性があり、「魅せる外壁」として人気があります。性能としては、断熱性や防水性にも優れています。軽量でメンテナンスも手がかかりません。

■木質系サイディング
天然木を温かな風合いが魅力の木質系のサイディング。天然木は熱伝導が低いため高い断熱性を誇ります。遮音性・耐熱性にも優れている外壁材です。

■断熱塗料
外壁の上から塗る断熱塗料についてもお伝えしておきましょう。これはあくまで塗料なので断熱材ほどの保温・保冷の効果は期待できません。外からの熱を遮断するという外壁の断熱効果を高める補助として使うものとして認識してください。

目次へ

外壁に断熱施工をする工法と工程について


外壁への断熱材の施工は、住まいの構造によって工法が違ってきますので先の断熱材も加味しながら選択する必要があります。

2種類ある断熱工法

断熱材を施工するリフォームには外断熱と内断熱の2種類の工法がありますが、住まいの構造や断熱材の特徴によって適した工法があります。

■外張り断熱(外断熱)
ボード状の断熱材を柱の外側に張り付ける工法を外張り断熱と言います。住宅全体を断熱材で包むイメージです。
正確には、鉄骨造や木造に断熱リフォームをするのを「外張り断熱」と言い、断熱材をコンクリート構造体の外側に張り付ける鉄筋コンクリート造の場合は「外断熱」と呼びます。
住みながら施工できるのが特徴です。
適した断熱材:炭化コルク、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム
◆注意点
既存のお住まいの外側に断熱材を張り付けるので、その分、外壁が厚みを増します。すると、隣家との間にゆとりがない狭小地や住宅密集地では、施工ができない場合もありますので現状をご確認ください。

■充填断熱(内断熱)
鉄骨造や木造の外壁を形成する柱と柱の間に断熱材を入れる工法を充填断熱と言い、内断熱とも呼びます。柱と柱の間の空間を断熱材で埋めるイメージです。
外張り断熱よりコストは抑えられます。
適した断熱材:グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、羊毛、炭化コルク、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム

断熱工法の工程

外壁の断熱リフォームはどのように施工されていくのか。見積内容をチェックするのにも役立ちますので、リフォームの手順を知っておくのは大切です。

■外張り断熱の施工手順
1.既存の外壁を解体
2.壁の下地となる構造用合板を設置
3.断熱材をカットし、パズルのように躯体に張り付ける
4.気密・防水テープや釘で断熱材を仮留め
5.結露や雨漏りから守る透湿防水シートを張り付ける
6.外壁材パネルを固定するために、板状の下地材である胴縁の取り付け
7.仕上げに外壁材パネルを施工して完成
費用には断熱材費や施工費のほかに、既存住宅なら1.のように解体工事費用が別途発生します。外壁を新しくするのならその外壁材費も必要です。

■充填断熱の施工手順
1.外壁の内側の壁(屋内)に透湿防水シートを張り付ける
2.ボード状の断熱材ならカットし柱と柱の間に敷き詰める
または粒状の断熱材なら柱と柱の間に吹き付ける
3. ボード状の断熱材なら気密・防水テープや釘で断熱材を固定
4. 防湿フィルムを張り付ける
5.内装材で仕上げて完成
外張り断熱よりかは工程が少なくて済みます。ただ、吹き付けタイプの場合は、乾燥させるのに少し時間がかかります。

目次へ

外壁の断熱リフォームに必要な費用の相場は?


お住まいの家に合った断熱リフォームにはどのくらいの費用が必要か、相場を調べてみましょう。

外張り断熱でリフォームする場合の費用相場

延べ床面積35坪(115.7㎡)のお住まいなら外壁面積約135㎡、足場面積約200㎡と想定した、外張り断熱のリフォーム費用の目安です。
足場設置費:15万~20万円
既存壁の撤去費:15万~25万円(廃材処理費含む)
断熱材:10万~45万円(ポリスチレンフォーム)
※ウレタンフォーム/40万~80万円
炭化コルク/100万円〜
施工費:60万~90万円
副資材:30万~90万円(透湿防水シート・合板・胴縁など)
外壁サイディング:50万~130万円
合計:180万~400万円
(使用する断熱材や外壁サイディングの種類によって費用に差が出ます)

充填断熱でリフォームする場合の費用相場

外張り断熱と比較するため壁の面積は同じ約135㎡で計算してみました。
既存クロスの撤去費:15万~25万円(廃材処理費含む)
断熱材:15万~25万円(グラスウール)
※セルロースファイバー80万~120万円
施工費:60万~90万円
副資材:15万~30万円(透湿防水シート、防湿フィルムなど)
内装クロス貼り:20万~40万円
合計:120万~210万円

断熱塗装を行う際の費用

前述のように、断熱塗料は補助的に使用する物ですが、実際に施工するのであれば、以下のような費用感となります。

足場設置費:15万~20万円
塗料費:5万~10万円
施工費:50万~80万円
合計:70万~110万円

補助金制度を活用する

断熱リフォームでは、次のような国や自治体が提供する補助金制度を活用してみましょう。
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業
・次世代省エネ建材の実証支援事業
・住宅エコリフォーム推進事業
・住宅省エネ2023キャンペーン
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
・地方公共団体における住宅リフォーム支援制度

ナサホームの施工事例

■ニチハの横暖ルーフαを壁面に使用して断熱性能が向上

現状の雰囲気も壊さないようにしたいとのご要望で、屋根材として使うニチハの横暖ルーフα(アルファ)を壁材として代用。厚みもあり、ジョイント部の気密性を高めた新構造により、断熱材と遮熱鋼板の組み合わせで、優れた断熱性能を発揮しています。

この施工事例の詳細はこちら

目次へ

まとめ

断熱リフォームは、快適な暮らしを実現し、エコで省エネにも繋がる環境にも人にもやさしいお住まいにします。それには現状の住まいに合わせた工法や断熱材をしっかりと見定めて決めることが大切です。ナサホームなら豊富な実績とトレンド情報をもとに最適なリフォームプランの提案をさせていただきます。