住まいのひび割れは補修可能? 劣化の判断基準と補修方法

家族の暮らしを守る大切なわが家、大事に長く住み続けたいですね。でも、もしその住宅の基礎にひび割れを見つけたら……、きっと不安を感じられることでしょう。 ひび割れにも種類があります。補修する必要があるかどうかを自分で判断できれば適切な対応ができます。 そこでこの記事ではひび割れに関する基礎的な知識や、補修の目安などをご説明させていただきます。 


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ひび割れや染みーー住まいの基礎に見られる劣化とその原因


まず、住宅の基礎にできるひび割れ(クラック)の種類や原因、劣化によるひび割れが引き起こす問題などについてお話しします。

家の基礎に見られる劣化の種類とは?

住宅の基礎のひび割れは、大きく「ヘアークラック」と「構造クラック」に分けられます。

■ヘアークラック:原則として補修は不要
幅0.3mm未満のひび割れを「ヘアークラック」といいます。うっすらしたひび割れで、基礎施工時の乾燥収縮や経年劣化で発生します。原則として「補修不要のひび割れ」です。
ただし、多数のヘアークラックが同じ場所に集中していると、構造的な不具合がある可能性もあります。万一、基礎工事の不備や、家の構造、地盤の問題、地震の影響などが原因の場合、大がかりな補修が必要となることもあります。

■構造クラック:ぜひ補修の検討を 
幅0.3mm以上0.5mm未満なら「補修が望ましいひび割れ」、幅0.5mm以上は「著しいひび割れ」に相当し、「構造クラック」と呼ばれます。基礎の表面だけでなく、内部の鉄筋までひび割れが届いていると、そこから雨水が浸入する可能性も高まります。

家の基礎にひびや劣化が見られる原因とは?

そもそも基礎のひび割れ(クラック)はどうして起きるのでしょう?
その主な原因を見てみましょう。

■乾燥収縮
乾燥によってコンクリート内部の水分が蒸発し、基礎が収縮するとコンクリートが引っ張られ、その結果ひび割れてしまいます。ひび割れに最も多い原因です。

■気温変化
コンクリートは温度が急激に下がると縮む性質があり、その力がコンクリートの引張り強度を上回るとひび割れが発生します。夏場に施工された基礎などに見られる現象です。

■不同沈下
地盤が弱い場所に建つ家で発生する可能性があります。住宅が傾くとひび割れが発生します。程度によっては住宅が倒壊する危険も出てくるので注意が必要です。

■地震
地震のあとに大きなひび割れが発生したのを見つけたら要注意。基礎に何らかの問題が起こった可能性があると考えられます。

■施工不良
基礎工事の際に、コンクリートのかぶり厚さ(鉄筋から表面までの厚さ)や、強度不足などの不具合があった場合、ひび割れが発生することがあります。

■コンクリートの中性化
コンクリートは本来アルカリ性で、雨や大気中の二酸化炭素に長期間さらされるとカルシウム化合物が中性化する性質があります。中性化すると、保護していた鉄筋が錆びて膨張し、その結果ひび割れが発生します。

基礎のひびや劣化を放置すると……

基礎の補修は、ひび割れの原因や進行状態、放置した場合のリスクなどで判断します。

■ひび割れ幅が0.3㎜以上ある
ひび割れから雨水が浸入する可能性が高まります。雨水が基礎のコンクリートに浸み込み、コンクリートがもろくなるとともに、雨水によって鉄筋が腐食し、基礎の劣化が早まる危険性があります。

■ひび割れ箇所からサビが出ている
鉄筋の腐食が進行すると、ひび割れ箇所からサビが流れ出てくることがあります。これは基礎の骨組みである鉄筋の腐食がかなり進行しているサイン。住宅の耐震性にまで影響する可能性もあり、早急に補修が必要です。

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住まいのひび割れは補修リフォームで解決しよう


基礎のひび割れを見つけても、補修が必要かどうか判断するのは難しいところがあります。しかし、そのまま放置しておくと重大な事態につながってしまう恐れもあります。
まずはプロに相談し、適切な補修方法のアドバイスを受けられることをおすすめします。

劣化が見られる基礎の補修方法

■Uカットシール工法
幅の広いひび割れや、深いひび割れに対応できる補修方法です。
コンクリートのひび割れ部分を電動工具でU字型にカット(V字の場合はVカットシール工法)。そこにシーリングを埋め込み、表面をモルタルなどの補修材でカバーする工法です。強度の高いシールを貼り付けたり、エポキシ樹脂を充填することもあります。

■ビックス工法
幅0.1mm以下の細かなひび割れにも樹脂を充填でき、ひび割れによって分断したコンクリートを一体化させる効果があります。
ひび割れの表面にゴム製の注入器のついたパイプを設置し、エポキシ樹脂を注入し浸透させていきます。施工性がよく、さまざまなひび割れ工事に使用されます。

■アラミド繊維シートの貼り付け
ひび割れ補修のほか耐震補強工事にも使用されます。狭い場所でも工事しやすい工法です。
アラミド繊維は光ファイバーなどにも使われている強度の高い素材です。この繊維シートをひび割れ部分に貼り付け、その上からモルタルなどを塗布して表面を補修します。

大きな劣化がない場合でも、床下の検査を受けることにはメリットが

今すぐ補修の必要がなくても、プロに相談するメリットがあるのが「床下」の調査です。床下を見ると建物の欠陥や不具合がないか確認できるのです。

■床下のひび割れ
建物の外側から見える基礎は表面がモルタル仕上げになっています。モルタルが塗られていない床下のコンクリートにひび割れがあれば、構造クラックが発生している可能性があります。

■床下の漏水
排水管からの漏水や、基礎コンクリートの継ぎ目から浸水しているケースもあります。漏水を放置しておくと、カビ・腐食などで建物の劣化に影響を及ぼす恐れもあります。

■床下の断熱材
断熱材の施工不良や劣化が原因で、床下断熱材の落下が見つかることもあります。
ひび割れ調査と併せ、定期的な床下のチェックもおすすめします。

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家の基礎を補修する場合のリフォーム相場とは?


補修の大切さは理解しているけれども、気になるのはやはりお値段です。そこでおおまかな費用と工期を見てみましょう。

家の基礎の補修にかかる費用

■ひび割れの補修
・Uカットシール工法
4,000円~6,000円/箇所 半日~1日
※住宅全体の基礎を補修する場合の工期は約2~3日、工事費用は約10万円
・ビックス工法
10,000円~20,000円/箇所 半日~1日
・アラミド繊維シートの貼り付け
20,000円前後/m 1~3日
※20坪の家では大体30~40m前後(60~80万円)

■基礎全体の見直し
・基礎の増し打ち
補強する長さが基準で、約8~10万円/mが相場です。住宅の内部から基礎を補強する場合は、床や壁の解体と復旧が必要です。

・布基礎からベタ基礎へ
1階の床や壁をすべて解体し基礎を露出させる必要があります。そのため、解体費用と復旧費用がかかり、金額は100~300万円程度必要となります。

家の基礎の耐久年数と定期的な検査の重要性

日本では一般的に住宅の寿命は30年とされ、住宅の基礎はそれを基本に設計・施工されています。しかし住宅はきちんとメンテナンスを行うと、木造なら30年~80年、鉄骨は30年~60年、鉄筋なら50年~90年程度は持つといわれています。
新築住宅の場合は、施工業者が、1年、5年、10年など経年に合った調査を行うことが一般的です。しかし、その後の点検は自身で業者に依頼するか、自分の手で行わなくてはなりません。少なくとも5年に1度程度は、定期的に住宅の状態を確認しておくと安心です。

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まとめ

ひび割れは、ご自身で住宅の基礎の状態を判断できる格好のサインです。もし、何か気になるところが見つかったら、お気軽にナサホームまでご連絡を。住まいの状況を確認しながら、最適な補修プランのご提案をさせていただきます。