正しく知って、正しくリフォーム。住まいの耐久年数のお話

マイホームも建築後10年を迎えるころになると、あちこち汚れや傷みが気になって、そろそろリフォームのことを考え始めるころになりますね。いつごろ、どんなタイミングでリフォームすればいいのか、目安の時期を考えてみましょう。


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快適に住み続けるために、住まいや設備の耐久年数を意識しよう


耐用年数を目安に定期的なメンテナンスと、リフォームや建て替えの計画を早めに立てておきましょう。

住宅や住まいの設備にはそれぞれ耐久年数がある

■住宅の耐久年数
住宅の耐久年数とは、住宅が資産としてどれくらい価値があるのかを定めたもので「法定耐用年数」とも呼ばれます。
・木造建築
事業用(賃貸) →22年、マイホーム(自己居住用)→33年
・鉄骨鉄筋コンクリート造
事業用(賃貸) →47年、マイホーム(自己居住用)→70年
・れんが、石、ブロック造建築物
事業用(賃貸) → 38年、マイホーム(自己居住用)→57年

■住宅設備の耐久年数
住宅設備にも法定耐用年数が定められています(後述)。例えば電気設備や給排水、衛生設備は15年です(資料:国税庁・主な減価償却資産の耐用年数表)。

住宅のリフォームタイミングはいつがいいの?

・築5〜10年:早めのメンテナンスを心がける
給湯器や浴室ドア、天井、室内の壁や外壁などの破損や汚れが気になり始めるころ。シロアリ予防対策もこのタイミングで行うことがおすすめです。
・築10〜15年:水まわりの取り替えを検討
浴室、トイレ、洗面台、キッチンなどの水まわりの不具合が出始める時期です。屋根や外壁もチェックを忘れずに。壁紙の張り替えも検討しましょう。
・築15〜30年:大規模修繕が長寿命化のポイント
給排水管や建物の土台など、見えない部分の老朽化が要チェックです。シロアリも注意。
・築31年〜:リフォームまたは建て替えを考える
老朽度に合わせた大規模のリフォームを検討。家族構成やライフスタイルの変化に合わせて、建て替えも視野に入れてみましょう。

リフォームすべきか、建て替えを検討すべきか

■リフォームのメリット
・思い出や愛着を残せる
・建て替えよりも費用が比較的安価
・建て替えと比較して工事期間が短くて済む

■リフォームのデメリット
・好みの間取りを実現できず、設計が制限されることも
・耐震性やシロアリの影響、劣化や破損などで思ったより費用がかかる場合も

■建て替えのメリット
・間取りや設備を一新でき、今までとは違う住まい方が実現できる
・基準を満たしてない耐久性、耐震基準を改善
・資金計画が立てやすくローンが利用しやすい
・「検査済証」が発行され、安心して居住できる

■建て替えのデメリット
・建築費用が高額で、ローンの返済計画を綿密に考える必要あり
・解体や廃棄処理費用、固定資産税、都市計画税など建築費以外の出費も
・工事期間が長く仮住まいが必要に

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住まいの耐久年数:室内編


住宅設備となる水回りの設備をはじめ、壁、床、建具など、内装部材の耐久年数や交換時期の目安などを知っておきましょう。

水回りの設備の耐久年数

■キッチン(天板・シンク)/15~20年
ステンレスシンクの水垢が落ちない、傷がある、サビが出てきたら交換の目安です。

■水栓/10年
交換時期は、水栓レバーが重くなった、蛇口から水漏れがしたら。

■食器洗い機/10年
洗浄や乾燥がきちんとできない、水漏れがするといった症状が起こるようであれば交換を考えましょう。

■ガスコンロ/10年
着火しづらい、弱火にすると消える等の症状がでたら交換のタイミング。

■給湯器/10年
お湯の温度が不安定、異音がする、高温に設定してもお湯がぬるくなったら、交換を考えましょう。

■浴室/15~30年、システムバス/20~30年
交換の目安は、浴室の壁やバスタブのカビがひどい、バスタブが水漏れしている、水栓金具の温度調節がきかなくなってきた等。

■洗面所/15~25年
洗面台がヒビ割れている、栓をしても水がたまらない、鏡が割れている、曇りが取れない等が交換のタイミングです。

■トイレ/温水便座10~15年、便器20年~30年
掃除をしてもトイレの臭いが取れない、タンクから水漏れが止まらない、排水の流れが弱くなったら交換しましょう。

壁や床など内装の耐久年数

■壁紙(ビニールクロス)/5~10年
黄ばみ、汚れ、破れや剥がれなどが目立ってきたら交換の時期。劣化したまま放置すると、張り替える際、きれいに剥がれないことも。

■塗り壁/長寿命
塗り壁は40年以上でも問題ないと言われています。漆喰は10~20年程度。

■フローリング/10~30年以上
複合フローリング(合板や集成材などを使用)は10~15年。天然木は30年以上。歩くと軋んだり音が鳴ったりする場合は張り替えのタイミングです。

建具などの耐久年数

■リビングドア/15~20年
リビングのドアは住まいの中で開け閉めする回数が多く、常に注意・点検が必要です。

■玄関ドア/20~30年
アルミやステンレスは20~30年、木製ドアは15年~20年が目安。

■網戸の取り換えは?
網に穴が空いたり破れたりするなどの症状が出たら張り替えを。スムーズに開閉できなくなったときは網戸自体を交換しましょう。

■襖の取り換えは?
襖紙は、日焼けやたるみやシワ、シミ汚れなどがあれば張り替えを。ただし、量産型(芯材に段ボールや発泡スチロールを使用した襖)は、襖紙の張り替えができないので交換を。

■障子の張り替えは?
障子は日焼けシミなどが目立つ前、2~5年程度で張り替えするのがおすすめです。

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住まいの耐久年数:基礎・屋外編


外壁やベランダ、屋根、さらに基礎の部分も定期的なメンテナンスが住宅を長持ちさせる大切なポイントです。

外壁やベランダなどの耐久年数

■外壁の耐用年数は?
・サイディングボード(窯業系・金属系・木質系・樹脂系)/40年(どの材質もメンテナンスは7~20年ごとが目安)
・モルタル壁/30年(メンテナンスは8~10年周期)
・ALCボード/60年(メンテナンス10~15年周期)
・コンクリート壁/60~100年(メンテナンス15~20年周期)
・タイル/40年(メンテナンスは不要と言われています)

■ベランダの耐用年数は?
ベランダやバルコニーは、下地・防水層・トップコートの3層で防水加工されています。防水層の耐用年数は約10~15年で、トップコートは約5年。10年以上経過している場合は塗り替えを検討しましょう。

屋根、基礎まわりの耐久年数

■スレート屋根/30年
スレート屋根は割れやすいので、5年ごとにヒビ割れの点検・補修が必要。築15年を過ぎると釘が錆などで弱くなるので棟板金や下地木材の交換を行うと安心です。屋根と下地の全交換「葺き替え」の目安は築30~40年目。

■ガルバリウム鋼板/30~40年
メンテナンス周期は15年。棟板金と下地木材の交換を。葺き替えの目安は築30~40年目。

■トタン屋根/20~30年
メンテナンス周期は10年。錆びの除去や屋根の防水性を回復する塗装がおすすめです。築15年目に棟板金の交換、葺き替えの目安は築30年目。

■和瓦(釉薬瓦)/50年以上
メンテナンス周期は15年。棟の土台と棟瓦の解体、再設置工事をおすすめします。

■セメント瓦/30年前後 
メンテナンス周期は10年。瓦の防水性を回復する塗装などを行いましょう。棟の取り直しは築15年目、葺き替えは築30年目が目安です。

■アスファルトシングル/30~40年
メンテナンス周期は5年。接着面が剥がれることがあるので、5年おきに点検・補修を受けることを考えましょう。
棟板金の交換は築15年目、屋根材とルーフィングの交換は築30年目が目安。

■基礎コンクリート/40年
鉄筋コンクリートの寿命は、内部鉄筋の20%が錆びるまでとされています。家の土台となる基礎コンクリートは、水分によるひび割れや風化、塩害、凍害などの劣化に気をつけましょう。

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まとめ

住宅も設備機器も必要なメンテナンスを適切な時期に行い、さらにかしこくリフォームすることで、結果として長寿命につながります。不具合は「早期発見、早期修繕」が鉄則です。大丈夫かな?と少しでも迷うことがあれば、お気軽にナサホームにご相談ください。